関東大震災100年の節目、企業の認知度は約4割
「関東大震災100年」に対する企業の意識調査
そこで、帝国データバンクは関東大震災の認知度や震災に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2023年5月調査とともに行った。
<調査結果(要旨)>
『関東大震災から100年』であることを知っている企業は42.5%
「100年であることを知っている」かつ震災への備えに「取り組んでいる」企業は16.5%
※調査期間は2023年5月18日~5月31日、調査対象は全国2万7,930社で、有効回答企業数は1万1,420社(回答率40.9%)。
※本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
※株式会社帝国データバンク
『関東大震災から100年』であることを知っている企業は42.5%
2023年9月1日が関東大震災から100年の節目を迎えることを知っているか尋ねたところ、「100年であることを知っている」と回答した企業は42.5%だった。
都道府県別にみると、「東京」(52.9%)や「神奈川」(52.1%)、「千葉」(51.4%)など関東の都県で割合が高く、全体を大きく上回った。
一方で、「100年であることを知らない、分からない」企業は57.5%と半数超にのぼった。
「100年であることを知っている」かつ震災への備えに「取り組んでいる」企業は16.5%
震災への備えに取り組んでいるか尋ねたところ、「取り組んでいる」と回答した企業は38.0%だった。
一方で、「100年であることを知っている」かつ震災への備えに「取り組んでいる」企業は全体の16.5%と2割以下であった。
「100年であることを知っている」かつ「取り組んでいる」企業を従業員数別にみると、従業員50人以下の企業では16.5%を下回ったものの、51人以上の企業では16.5%を超えており、従業員数が多くなるにつれ、その割合が高くなる傾向がみられた。
特に、「1,000人超」の企業では、38.9%と最も高く、従業員数に比例して認知度や備えが進んでいる状況がうかがえる。
本調査の結果、2023年9月1日が関東大震災から「100年であることを知っている」企業は4割超となった。「東京」や「神奈川」など関東に本社を置く企業、原発事故の「福島」、平成28年熊本地震の「熊本」など過去に被災した地域では認知度が高い結果となった。
震災への備えに「取り組んでいる」企業は3割台だった。しかし、100年であることを知ったうえで震災への備えに「取り組んでいる」企業は2割以下にとどまった。ただし、従業員数が多くなるほど、認知度や震災への備えに「取り組んでいる」割合が高くなる傾向がみられた。
首都直下地震や南海トラフ地震など、今後の発生が予見され危機管理への重要性が高まっている。しかし、2023年5月に行った帝国データバンクの調査[1]によると、BCPの策定率は18.4%と2割を下回っている。BCPの策定や震災への備えなどは事業拡大に比べて優先順位が低くなる傾向があり、こうした取り組みはすぐには効果が見えにくい。企業価値の維持・向上のためにも、不測の事態に対して平時から備えておくことは重要であり、非常時の対処方法の策定や確認、見直しなどが必要であろう。
(参考)関東大震災から1年後の手記
関東大震災から1年後に帝国興信所(現:帝国データバンク)の社員が震災当時のことを振り返った手記がある。
「火災が起こらなかったならば‥‥‥吾々(われわれ)会社の生命とも称すべき大切の書類を無くするようなことはなかったと思います。」
左記の画像にはこのように書いており、書類が火災によって消失したことを嘆いている。また、別の社員は「興信所にもどり、重要書類を自動車に運んだ。」と記しており、混乱した状況下でも資産の保護に走っている様子がわかる。
震災により東京本社の調査報告書の多くは燃えてしまったが、各支店から謄本などを取り寄せたことにより、業務に支障が出なかったとしている。当時と現在では、情報の保存の仕方が異なる部分があるものの、拠点分散や重要なデータのバックアップを用意するなど現在に活かせる部分があるといえよう。
出典:『震災手記』 吉田弥三郎(調査第四部)(1924年、帝国データバンク史料館所蔵)
[1] 帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2023年)」(2023年6月26日発表)
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