【松江高専・大島商船高専】浦川准教授、末次准教授、JAXA小惑星探査機「はやぶさ2」のフライバイ探査で二つの世界初に貢献

松江工業高等専門学校(島根県松江市 校長:和田清 以下「松江高専」)の浦川准教授と大島商船高等専門学校(山口県大島郡周防大島町 校長:藤本隆士 以下「大島商船高専」)の末次准教授が、日本時間、2026年7月5日(日)18時30分、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が成功させた小惑星「トリフネ」へのフライバイ探査(高速接近通過による探査)に参加しました。また、7月30日(木)には小惑星への接近距離が世界最小であることや、レーザーによる距離測定結果の詳細が明らかになりました。
「はやぶさ2」は、2020年に当初の目的である小惑星「リュウグウ」の探査とサンプル回収を成功させました。燃料の残っていた「はやぶさ2」は拡張ミッションとして、小惑星「トリフネ」へフライバイ探査を行うこととなりました。この探査は、「はやぶさ2」が「トリフネ」の近くを秒速約5kmで通過するわずかな時間に行うものです。「はやぶさ2」はフライバイ用の探査機でないため、カメラをはじめとする観測装置の角度を変えることができません。そのため、探査を実現させるには、トリフネの位置を高精度に測定し、「はやぶさ2」を「トリフネ」に衝突しないギリギリの地点を通過させる必要があります。
浦川准教授が担当したのは、フライバイに至る前、「はやぶさ2」から遠方に観測された「トリフネ」の画像を解析し、その位置を高精度に測定することです(JAXA、Jet Propulsion Laboratory(NASA/JPL)、日本電気株式会社(NEC)、富士通株式会社、日本スペースガード協会と協力して実施)。この高精度に求まった位置を元にして、「はやぶさ2」は「トリフネ」に近づいていきます。※1,2
最終的には、トリフネの中心から約744m(トリフネ表面から約400m)という、非常に近い距離で「はやぶさ2」を「トリフネ」にフライバイさせることに成功しました。これは、これまで行われた太陽系天体のフライバイ探査の中で、最も天体に近付いた記録とされています。※3
このように極めて近距離でのフライバイが成功したため、さまざまな科学観測を実施することができました。その一つが、末次准教授が担当したレーザー高度計※4を用いた「はやぶさ2」と「トリフネ」の間の距離測定です。「はやぶさ2」に搭載されたレーザー高度計は、1秒に1回レーザーを照射して対象までの距離を測定します。しかし、フライバイ時に「トリフネ」がレーザー高度計の視野内に入る時間は2秒にも満たず(図1)、そのわずかな時間内に反射レーザーを確実に検知する必要がありました。そのため、約半年にわたり綿密な準備を進めてきました。こうした準備が功を奏し、フライバイ本番ではトリフネ最接近の約4秒前と約3秒前に反射レーザーを検知し、それぞれ約20 kmおよび約15 kmの距離を測定するという、当初の予想を上回る2回の測距に成功しました。まるで疾走する馬上から的を射抜く流鏑馬(やぶさめ)のように、一瞬の小惑星フライバイでレーザーによる距離測定を実現したのは、世界で初めての成果です。※5
※1光学電波複合方法:地上の基地局(アンテナ)と「はやぶさ2」の間で電波を送受信し「はやぶさ2」の位置や速度を正確に測定する電波航法と、「はやぶさ2」のカメラで撮影された「トリフネ」の位置を測定する光学航法を組み合わせたもの。浦川准教授は光学航法部分を担当。
※2フライバイの約2時間前からは「はやぶさ2」自身が自律的に「トリフネ」へ向かうオンボードの航法誘導ソフトウェアによる制御に切り替わります。
※3JAXA- 小惑星探査機「はやぶさ2」、太陽系天体フライバイ探査における最小距離を更新(https://www.jaxa.jp/press/2026/07/20260730-1_j.html)
※4レーザー高度計:照射したレーザーが目標天体の表面で反射してくるまでの時間を正確に計測することで,探査機と目標天体間の距離を高精度で測定する機器です。
※5JAXA- 小惑星探査機「はやぶさ2」、世界初の小惑星フライバイ時のレーザ測距に成功
(https://www.jaxa.jp/press/2026/07/20260730-2_j.html)


松江工業高等専門学校について
松江工業高等専門学校は1964年、機械工学科、電気工学科、土木工学科の3つの学科を有する国立高専として創設されました。高専は5年間一貫教育の工学教育を行う実践的技術者養成機関として、1961年6月に学校教育法の一部改正により創設された教育機関で、以来、職業に必要な実践的かつ専門的な知識及び技術を有する創造的な人材育成を行う高等教育機関として歩んできました。本校も高専の歴史とともに歩み続け、現在は、機械工学科、電気情報工学科、電子制御工学科、情報工学科、環境・建設工学科の5学科に発展した5年制の本科と、生産・建設システム工学専攻、電子情報システム工学専攻を有する2年制の専攻科を置き、毎年約220名の卒業生と修了生、総計約9千名を社会に送り出しています。

【学校概要】
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 松江工業高等専門学校
所在地:島根県松江市西生馬町14-4
校長:和田 清
設立:1964年
URL: https://www.matsue-ct.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関
大島商船高等専門学校について
大島商船高等専門学校は、1897年(明治30年)に設立された船舶職員養成学校を前身としています。約130年にわたる歴史を有し、日本の海運業や地域産業の発展に大きく貢献してきました。本校は、中学校卒業後に入学する本科3学科(商船学科〔5年6か月制〕、電子機械工学科〔5年制〕、情報工学科〔5年制〕)と、専攻科2専攻(海洋交通システム学専攻、電子・情報システム工学専攻)から成る高等教育機関です。約700名の学生が、山口県東部の屋代島(周防大島)の豊かな自然に囲まれた広大なキャンパスで学び、勉学や課外活動に積極的に取り組んでいます。

【学校概要】
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 大島商船高等専門学校
所在地:山口県大島郡周防大島町大字小松1091番地1
校長:藤本 隆士
URL:https://www.oshima-k.ac.jp/
事情内容:高等専門機関・高等教育機関
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