純文学作家デビューの登竜門、第54回新潮新人賞が「新潮」11月号にて発表! 史上最多の応募(2630篇)から選ばれた受賞作は大型新人・黒川卓希の近未来小説「世界地図、傾く」に決定。
あの政治家銃撃事件は予見されていた? 衝撃の新潮新人賞デビュー作。
2052年、日本は事実上の移民国家となった。母語と母国、国際と国粋、愛と性が揺らぎ、トリックスター的政治活動家が暗躍する――30年後の日本を舞台に、日本と日本語と「愛」の未来を描き、その未来から「現代」を照射する大胆で無謀なデビュー作、黒川卓希「「世界地図、傾く」を10月7日発売の「新潮」11月号にて発表します。
第54回新潮新人賞が、選考委員(大澤信亮、小山田浩子、鴻巣友季子、田中慎弥、又吉直樹)の議論を経て、黒川卓希(25歳)の「世界地図、傾く」に決定した。舞台は2052年の日本。春になれば「パンまつり」が開催されるのは2022年の現在と変わりないが、30年後の日本は事実上の移民国家となり、国際的な価値観と国粋的な価値観が分裂しながら混在している。学校は英語を公用語とする「インター」と日本語を用いる「ナショ」に分かれ、国籍雇用均等法が施行されようとしている。語り手はふたり。言葉と味覚の共感覚を持ち、女装家と同棲していた青年アキト。「日本語は淘汰される」という価値観の親に育てられた韓日ハーフのアセクシャル的な女性ユイ。そして、多言語多民族国家を象徴するかのような政治活動家キヌアのトリックスター的暗躍と悲劇が物語をドライブさせる――なんとも大胆で無謀なデビュー作の誕生だ。
■選評より(抜粋)
又吉直樹選考委員
「全体を通して逸話の一つ一つに読み応えがあり、言葉遊びのように短文を連ねる箇所も単純な穴埋めに終わらず、物語と繋がりを持たせながらイメージを拡げていく言葉が選択されていた。限定された世界の中で現実の価値基準を揺るがせようとする試みにも惹かれた。」
大澤信亮選考委員
「✕をつけようと思ったが、できなかった。才能があるからだ。荒唐無稽(とも一概に言えないが)な未来世界や作中人物たちを、まるで目の前に存在するように堂々と語りきってしまえる作者のふてぶてしさは、いいと思った」
■著者紹介:黒川卓希(くろかわ・たかき)
1996年11月10日、兵庫県生まれ。25歳。東京工業大学理学院数学系中退。横浜市立大学医学部在学中。神奈川県在住。
■書籍データ
【誌名】「新潮」2022年11月号
【本体定価】1,200円(税込)
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