地震発生時に新幹線をさらに早く緊急停止させます~新幹線早期地震検知システムの改良~

東日本旅客鉄道株式会社

〇JR東日本では、新幹線の安全な運行に資するために、新幹線早期地震検知システムを導入し、地震を速やかに検知し列車を緊急停止させる仕組みを構築しています。

〇このたび、公益財団法人鉄道総合技術研究所(以下、鉄道総研)の研究成果にもとづき、地震検知後に地震規模を推定するプロセスを改良しました。また、JR東日本研究開発センターによる検証の結果、これまでよりも早く緊急停止することが可能になりました。

〇全ての新幹線地震計(計135台)を改修し、2024年3月からの使用開始を予定しています。新幹線の地震対策を強化し、新幹線の安全性を一層向上させていきます。


1.新幹線早期地震検知システムの概要

 新幹線早期地震検知システムは、各地震計で観測された地震動に基づき、地震計から変電所へ送電を停止させ、新幹線を緊急停止するものです(図-1)。

 本システムでは、観測される初期微動(以下、P波)と主要動(以下、S波)のそれぞれを用いることにより、緊急停止の早期化と多重化を図っています。また、新幹線開業以来、地震計の増設や気象庁の緊急地震速報および国立研究開発法人防災科学技術研究所の海底地震計といった社外地震情報の活用など、さまざまな改良を重ねてきました(図-2,参考)。


 S波検知では、S波の振幅から列車を緊急停止させる仕組みとしていますが、S波よりも早く伝播するP波による検知方法は、観測したP波から地震諸元(震央距離、震央方位、地震規模(以下、マグニチュード))を推定し、推定したマグニチュードに応じた緊急停止範囲の新幹線をS波到達前に緊急停止させる仕組みとしています(図-3)。


2.P波によるマグニチュード推定方法の見直し

 マグニチュードの推定には、鉄道総研の研究成果に基づく推定式を用いています。また、この推定式は、過去の地震で得られたP波の振幅、震央距離などとその際のマグニチュードから、統計的に求めています。

 マグニチュードはP波の振幅の大きさに比例することが知られていますが、P波全体でもその振幅は時々刻々と変化するために、1秒ごとにマグニチュードを推定しています。P波の振幅は時間とともに大きくなるのが一般的ですが、これまで推定式の係数は時間に関係なく一定としていました。今回、推定式の係数を1秒ごとの時間とともに変化させることにより、P波検知1秒後から4秒後の推定精度が今までよりも改善し、実際のマグニチュードにより近い値を、より早く推定することが可能となりました(図-4)。


3.導入効果

 2022年3月16日に発生した福島県沖地震を受け今後の地震対策を検討する中で、過去3年間のP波検知により緊急停止した13地震において検証した結果、P波検知から送電停止までに要する時間が現行式の平均3.9秒から改良式では1.3秒と、平均2.6秒短縮できることがわかりました(図-5)。一例として、2022年3月16日に発生した福島県沖地震では、3.1秒の時間短縮となる結果を得ました。

 新幹線早期地震検知システムは、被害の最小化を目的に高速走行している新幹線を少しでも早く停止させるために改良を積み重ねてきました。今回の改良により、新幹線の地震対策は一層強化されます。


4.使用開始予定

 使用開始は、2024年3月を予定しています。

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会社概要

東日本旅客鉄道株式会社

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URL
https://www.jreast.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都渋谷区代々木2-2-2 JR東日本本社ビル
電話番号
-
代表者名
喜㔟陽一
上場
東証1部
資本金
20億円
設立
1987年04月