コロナ禍はすでに過ぎ次のステージへ 書店向けWeb商談会2021秋 結果報告書
有志の出版社等29社からなる書店向けWeb商談会実行委員会は、2021年10月4日(月)~10月22日(金)の3週間、今回で4回目となる「書店向けWeb商談会2021秋」を開催致しました。出版社を中心に玩具メーカーなど131社が出展、書店員など209名が参加し、著者や書店員、出版社によるオンラインイベントも行われました。今回は東京の書店や販売会社で運営するリアルの商談会「書店大商談会」実行委員会と初の共同開催となりました。さらに今回は史上初となる「全国書店フェアアイデアコンテスト」も開催いたしました。
《書店向けWeb商談会 2021秋 開催概要》
会期:2021年10月4日(月)~10月22日(金)の3週間
商談方法:参加者がTimeRexで出展社と商談時間を予約し、Zoomで商談実施
主催:書店大商談会+書店向け Web 商談会実行委員会
特設ページURL:https://dms838.wixsite.com/web-shodankai
- 結果概要
出展社は131社と前回158社から17%減、参加者も209名と前回256名から18%減。
取引金額も全体は20,650,072円(上代)と、前回26,364,390円から22%減。
▼書店向けWeb商談会 2021秋 結果報告の詳細は以下をご覧ください
https://dms838.wixsite.com/web-shodankai/report
- 商談の様子
- イベントの様子
- 総括:書店向けWeb商談会 実行委員長 三芳寛要(パイ インターナショナル代表)
さて今回は、ワクチン接種が急速に進んだ結果、長く続いた緊急事態宣言の解除直後の開催となり、もはや「参加者の意識は既にコロナ禍中ではなかった」という点がこれまでの開催と大きく異なりました。コロナ禍をきっかけとして始めた本商談会は、4回目にしてその導入期が終わり、今後はウィズコロナ、あるいはポストコロナ時代の新しいコミュニケーションツールに移行することを期待されていることが、アンケート結果からわかりました。アンケートの結果を紹介しながらこれまでの4回を通して総括したいと思います。
- 数値的指標からみる変化
また注目すべきは、「業務時間内に商談した」書店員の割合が増え続けている点です。第一回開催時(2020年6月)では62%が「業務時間内に商談した」とし、残りの約4割が業務時間外の参加でした。「他にすることはないのかと上長に言われた」など、当初は「オンライン商談を業務として認められない」という声がありました。しかし第二回(2020年10月)は63%、第三回(2021年4月)は70%、そして今回は75%と増加を続け、業務時間内のオンライン商談が徐々に正式な業務として認められつつあることを示しています。これらの参加者の意識の変化を見ると、オンライン商談の導入期は既に過ぎたと感じます。
一方で、今回多忙な時期にも関わらず全国から209名もの書店員が参加し、そのうち99名が初めての参加者であったことは書店大商談会との共同開催の成果であり「新たな出会いの場」としての機能を今回も十分果たすことができたと受け止めています。
- 成長期のサービスに必要なこと
◆「雑談サロン」
書店が参加する敷居を下げ、商談の機会を増やすためにZoomを一定時間解放し、入退室自由とした「なんか話したい人、寄っといで!書店向けWeb商談会雑談サロン雑談サロン」を計8回実施。出版社側は主に参加した書店の立地や扱う商品を聞きながら要望を引き出し、要望にあった出版社を紹介するなど商談の活性化に役立てた。
◆一般の大学生による本の仕入から書店運営まで実践体験
オンラインイベント「『書店の研究』公開ゼミ-私たちがいま、本屋に夢中になる理由-啓林堂書店+奈良女子大学文学部2021書店ゼミ」を実施。学生たちはその後、出版社とのオンライン商談にも参加し、選書と仕入れを行った。仕入の結果は啓林堂書店奈良店において今年12月から書店内書店「ホンノムシ書店」として結実する予定。
◆史上初「全国書店フェアアイデアコンテスト」
・全国の書店から店頭で行われる「フェア」のアイデアを募集し、107つのアイデアが集まり、HP上で公開。書店知恵袋ともいえる「フェアアイデア・データベース」を残した。
・集まったアイデアに対し、書店64名・読者101名、合計165名によるオンライン投票が行なわれた。「シャーロック・ホームズ」の“贋作”だけ集めたフェア「その男、ホームズ?」(堀江良文堂書店 佐藤秀行さん)というアイデアにSNS上でミステリーファンが敏感に反応するなど、一般読者も盛り上がりを見せた。
・グランプリには「明日、返品される予定の本たち」(ふたば書房 代表取締役社長 洞本昌哉さん)が選出された。グランプリ受賞式の様子は業界各紙や一般紙である読売新聞全国版でも取り上げられた。書店からは「今日からすぐに取り組める素晴らしいアイデア」、早速「明日返品される、と書いたPOPを書籍につけた」などと、書店店頭の活性化につながった。
メーカーが一方通行で発信するのではなく、このように消費者や周辺事業者を双方向に巻き込み、共に物語を紡ぎ、大きなムーブメントを作り出すマーケティング手法は「ナラティブ」と呼ばれています。衰退しつつあるとされる出版文化を再起動する新しいサービスを考える際には、ナラティブであることがカギになると実感しました。
- 今後の開催について
従って今後開催する場合は、もはやコロナ対策としての「リアル商談の代替ツール」ではなく、真に新しい時代のコミュニケーションツールとして開催されることが求められています。そのためのヒントは前述の双方向性とナラティブです。
開催する場合の時期については、書店へのアンケート結果では10月を要望する声が最も多い(54%)ため、2022年10月となるでしょう。
- 書店大商談会との今後の関係
◆一度一緒にやってみたことはよかったが、数字的には結果が振るわなかったので、今後はパンフレットへの参加を必須とする必要はない。
◆リアルな商談のかわりのオンライン商談ということではなく、リアルはリアルの良さがあり、オンラインはオンラインならではの良さを追求すべきである。それは、やはり地域格差のないことと、スピード感である。
◆またリアルとオンラインで実行組織を分けて考えるべきではない。いずれも書店・販売会社・出版社の利益を目指して実施していることなのだから、それら関係者が書店大商談会の一員となり、その書店大商談会の中にリアル部門とオンライン部門があり、それぞれを相互補完するべく一体となって考えられるようになるのが望ましい。
具体的には、今後さらに話し合いを続け、決定していきたいと思います。
以上をもって今回の報告とさせていただきます。
皆様、今回も読者のみなさんの笑顔のために、ご協力いただき本当にありがとうございました。
▼このほかの詳細なアンケート結果について、Web商談会のHPからダウンロードできます。
https://dms838.wixsite.com/web-shodankai/report
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