鉱害防止事業実施者へ最新の技術情報を提供
~令和5年度鉱害環境情報交換会をオンライン形式にて開催~
JOGMECは、鉱害防止事業実施者等を対象に鉱害防止対策に関する技術支援や情報提供等の業務を行っており、その一環として「鉱害環境情報交換会」を毎年開催しています。
今年度は、鉱害防止事業の指針である「特定施設に係る鉱害防止事業の実施に関する基本方針」(注1)が、平成25年以来10年ぶりに策定され、令和5年度~令和14年度を対象とする新たな基本方針(以下、「第6次基本方針」という。)(注2)が始まる年であることから、経済産業省や大学、国立研究開発法人の方を専門家としてお招きし、第6次基本方針に記載されている「鉱害防止事業の計画的な実施を図るため必要な事項」に関連するプログラムとしました。
(注1)特定施設に係る鉱害防止事業の実施に関する基本方針
金属鉱業等における鉱害は、他の一般産業と異なり、事業活動の終了後も坑口からの排出水、集積場からの浸透水等の坑廃水に含まれるカドミウムやヒ素といった重金属等が、人の健康被害、農作物被害等の深刻な影響を引き起こすことになるため、鉱山操業後に問題となる鉱害防止対策は、資源業界における最重要テーマの一つであると認識されています。
日本では、閉山後の鉱害防止の措置を計画的かつ確実に実施するために、昭和48年に金属鉱業等鉱害対策特別措置法(以下、「特措法」という。)を制定しました。また、特措法4条に基づき、経済産業大臣が当該鉱害防止事業の実施の時期、事業量等を「特定施設に係る鉱害防止事業の実施に関する基本方針」(以下、「基本方針」という。)として定めており、昭和48年に策定した第1次基本方針以降、10年毎に基本方針を策定しています。
(注2)第6次基本方針
令和5年4月に「特定施設に係る鉱害防止事業の実施に関する基本方針(令和5年度~令和14年度)」を策定しました。
第6次基本方針においては、鉱害防止工事の早期完了や坑廃水処理のコスト削減の加速化に加え、これまで培ってきたパッシブトリートメントの社会実装や利水点等管理の導入の推進のほか、2050年のカーボンニュートラル実現を見据えた鉱害防止事業の付加価値向上といった新たな取組を目指します。また、坑廃水処理の事業量計上に係る判断基準を明確化するとともに、今後、排水基準等を満足しつつ継続的に坑廃水処理が行われているか、適切な評価手法を検討します。
「特定施設に係る鉱害防止事業の実施に関する基本方針(令和5年度~令和14年度)」概要(PDF)(経済産業省ホームページ)
■令和5年度鉱害環境情報交換会 概要
(1)開催日時
2023年10月11日
(2)プログラム
内容 | 講演者 |
オリエンテーション | JOGMEC 金属環境事業部企画課 課長 古川 創 |
鉱害防止施策の最近の動向 | 経済産業省 産業保安グループ 鉱山・火薬類監理官付 金属鉱業等鉱害対策官 伊藤 哲郎 氏 |
パッシブトリートメントに係る研究開発等の状況 | JOGMEC 金属環境事業部 特命調査役 濱井 昂弥 |
休廃止鉱山における発生源対策事例 | 北海道大学大学院工学院 環境循環システム部門 教授 富山 眞吾 氏 |
遠隔監視システム等の研究開発の状況 | 産業技術総合研究所 研究グループ長 保高 徹生 氏 研究チーム長 古川 祐光 氏 |
海外における鉱害防止対策の先進事例 | JOGMEC金属環境事業部調査技術課 |
例年、鉱害環境情報交換会では、鉱害防止技術情報に関する講演会と鉱害防止関係施設等の見学会を実施してきましたが、令和2年度以降は新型コロナウイルス感染の影響もあったことから、オンライン形式での開催となっています。今年度も、多くの方に参加していただけるよう、オンライン形式により実施し、経済産業省、地方自治体、大学、資源開発関連会社、研究機関、コンサルティング会社、商社等より、155名の方にご参加いただき、高い関心が寄せられました。
オンライン形式による会合への参加のしやすさについては高い評価が得られておりますが、鉱害防止事業関係者との交流・意見交換の場や、各事業現場での情報収集に関する機会の創出についても一定の意見が寄せられました。JOGMECは、これらのニーズも踏まえた情報提供の在り方につき検討しつつ、今後も鉱害防止実施者を支援してまいります。
■鉱害防止支援(JOGMECウェブサイト)
(URL)https://www.jogmec.go.jp/mp_control/
リリース本文はこちら↓
https://www.jogmec.go.jp/news/release/news_10_00142.html?mid=pr231020
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