奥多摩町・つなぐ森にて「林業と生物多様性の共生」に関する共同研究を開始
~ 50種の重要種が生息する森の豊かさ保持するため、東京大学 先端科学技術研究センターと適切な森林計画の策定・実行を実施 ~

本プレスリリースのポイント |
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1. 当社グループでは2022 年より奥多摩町に「つなぐ森」を保有 |
2. 国内の大学研究機関で生物多様性に関しトップクラスの研究実績を持つ東大先端研との共同研究を開始 |
3. 合計約1.4haの主伐済みエリアにて生物多様性と両立するより適切な森林施業の手法を探る |
野村不動産ホールディングス株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:新井 聡、以下「野村不動産ホールディングス」)と東京大学先端科学技術研究センター(所長:杉山 正和、以下「東大先端研」)は、林業と生物多様性の共生に関して、未来に課題を残さない森づくりのモデルケースの確立を目的に、野村不動産グループが保有する「つなぐ森(東京都西多摩郡奥多摩町)」を実証フィールドとした共同研究(本共同研究)について契約締結しましたことを、お知らせいたします。
今後本共同研究として、「つなぐ森」における幼齢人工林を生物多様性が豊かな草地環境として維持するための施業手法の開発を推進し、林業と生物多様性の共生を目指してまいります。

1.本共同研究の背景
①生物多様性に対する国内外の状況
現在、世界的に自然・生物多様性の損失が深刻化し、その影響が懸念されています。世界経済フォーラム(WEF)の試算によれば、世界で創出された総GDP の半分以上の経済価値が、自然資本に依存しており、その自然資本の劣化は社会経済の持続可能性に対する明確なリスクとされています※1。2022 年12 月に開催された生物多様性条約第15 回締約国会議(COP15)では、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、2030 年ミッションとして「生物多様性の損失を止め反転させること(ネイチャーポジティブ)」が掲げられています。
日本国内においては、国土の約3 分の2 を森林が占め、さらにそのうち約4 割を人工林が占めていることから、人工林の適切な森林サイクルを維持することが、生物多様性に加えて、地球環境保全、土砂災害防止機能、水源涵養など森林の有する多面的機能の保持に繋がります。そのため令和6 年には、国として林業において生物多様性を高める森林管理の手法を示した「森林の生物多様性を高めるための林業経営の指針」が策定されており、現在、生物多様性と両立する森林施業の手法やその効果をモニタリングする指標等について知見が順次蓄積されはじめている状況です。
※1 『自然関連リスクの増大:自然を取り巻く危機がビジネスや経済にとって重要である理由』2020 年、世界経済フォーラム
②東大先端研と野村不動産ホールディングスの生物多様性への取り組み
生物多様性・生態系サービス分野の研究として、東大先端研の森 章(もり あきら)教授(以下「森教授」)はこれまでに“Assessing the priorities of stakeholders regarding forest ecosystem services in Japan(Journal of Applied Ecology)※2”の論文を発表する等、国内の大学研究機関の中で生物多様性に関してトップクラスの研究実績を有しています。
※2 https://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/news/release/20250306.html
野村不動産ホールディングスは、2022 年より「つなぐ森」を軸に「気候変動や生物多様性の損失等の社会課題の解決」と、自社グループでの「不動産開発事業等での利活用」の両立を目指す「森を、つなぐ」東京プロジェクトを推進してきました。「つなぐ森」には、絶滅危惧種のヒガシヒダサンショウウオ、ギンラン等、50 種の重要種※3 の生息を確認しており(2025 年5 月時点)、この貴重な森の豊かさを保全するため、「野村不動産グループ生物多様性方針」に基づいて、つなぐ森の目指す姿(4 つのKGI)を定めています。当該KGI のひとつである「林業と生物多様性の共生」に対するKPI として、「草地環境の創出面積」や「地域性種苗の植林本数」を定め、生態系への負荷が少ない主伐等を計画的に進める等、外部の専門家や地域の共創パートナーとともに生物多様性の保全に取り組んでいます。
また推進にあたっては国内外の専門的な知見が不可欠であることから、生物多様性に関して専門性を有する大学教授・奥多摩地域の専門家等から『「森を、つなぐ」東京プロジェクト 生物多様性有識者会議』を組成しており、東大先端研 森教授もその1人として参画しています。
今後、本共同研究において東大先端研は、研究計画への助言、調査データ解析、施業技術の開発等を担い、野村不動産ホールディングスでは実証の場(つなぐ森)・地域資源の提供、実施体制の構築等を担い、共同研究を開始してまいります。
※3 下記に記載の選定基準のいずれかにおいて、各々記載の分類に該当する種を重要種と定義する
・IUCNレッドリスト:深刻な危機(CR)/危機(EN)/危急(VU)
・環境省レッドリスト2020:絶滅危惧Ⅰ類(CR)/絶滅危惧ⅠB類(EN)/絶滅危惧Ⅱ類(VU)/純絶滅危惧(NT)/情報不足(DD)
・東京都レッドデータブック2023(本土部):絶滅危惧Ⅰ類(CR)/絶滅危惧ⅠB類(EN)/絶滅危惧Ⅱ類(VU)/純絶滅危惧(NT)/情報不足(DD)
・絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(通称:種の保存法):国内希少動植物種に指定された種

2.本共同研究の内容
本共同研究では、植林樹種及び草刈の有無の異なる4 区画を、「つなぐ森」の中の2023 年度主伐エリア(約0.8ha)と2024 年度主伐エリア(約0.6ha)の2 つの植林地に2 セットずつ配置し、植林・保育を行います。それらの土地のモニタリングを実施し、実証結果は今後の造林作業に適宜反映する等、共同研究を継続しながら、より適切な森林計画の策定・実行を実施してまいります。

【ご参考】
■東京大学先端科学技術研究センターについて
東京大学先端科学技術研究センターは学術の発展と社会の変化から生じる新たな課題へ挑戦し、新領域
を開拓することによって科学技術の発展に貢献することを使命とする研究所として、1987 年に設立。
教授・准教授を含め、約150 名の教員と約300 名の大学院学生が、環境・エネルギーや材料など大きく6 つのカテゴリーのもと研究活動を展開しています。https://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/。
■野村不動産グループの主な生物多様性への取り組み
2030 年までに取り組むべき5 つの重点課題(マテリアリティ)の一つに「生物多様性」を掲げ、「野村不動産グループ生物多様性方針」および、グループの基幹事業である住宅事業および都市開発事業においては、両部門共通となる生物多様性保全のための取組み「Link NATURE Action」を策定しています。
建物開発においては、「木造ハイブリッド構造の採用」や「木造共用棟の設置」等の木材活用を推進し、「植林」「保育」「収穫」という「森林サイクル」を循環させることで、適切な生態系を保つだけでなく、自然災害の防止や脱炭素への貢献を目指しております。
https://www.nomura-re-hd.co.jp/sustainability/environment/biodiversity.html
■「つなぐ森」概要
所 在 :東京都西多摩郡奥多摩町
面 積 :実測 約130ha (登記簿 約79ha)
立 木 :スギ・ヒノキ 74.2% (平均林齢63年)、広葉樹 25.8%
その他 :敷地内林道(寸庭線/奥多摩町所管林道) 、寸庭川(奥多摩町管理河川)あり

<「森を、つなぐ」東京プロジェクト公式サイト>
当社グループが「つなぐ森」を含む東京の自然と都市を舞台に、気候変動や生物多様性の損失等の社会課題の解決を含む社会的インパクトの創出と新たな価値創造に伴う企業成長を目指し推進している「森を、つなぐ」東京プロジェクトについてご覧いただけます。
https://www.minnade-tsunagu.com/mori_wo_tsunagu/index.html

※野村不動産グループの重点目標(マテリアリティ)を国連のSDGs(持続可能な開発目標)に当てはめて整理しております。サステナビリティの取組み詳細は以下をご確認ください。
URL:https://www.nomura-re-hd.co.jp/sustainability/
【ご参考】
野村不動産グループ2030 年ビジョン「まだ見ぬ、Life & Time Developer へ」の実現を目指し、グループ全体で、人びとの「幸せ」と社会の「豊かさ」の最大化を追求するため、2025 年4 月に新たな経営計画を公表しました。
<経営計画に定める3カ年計画の方針概要>

※3 カ年計画は長期経営方針を基に、特に注力する事業方針と戦略を示したものになります。
※経営計画の詳細は【野村不動産グループ 経営計画】をご確認ください。
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