皮膚の触覚に係る「メルケル細胞」の研究に着手

― 皮膚科学研究への応用が期待できるモデル細胞にオキシトシンの発現を確認 ―

株式会社ファンケルは、皮膚のアンチエイジングという観点から、触覚に係る感覚受容器(1)の一つである「メルケル細胞(2)」に着目した皮膚科学研究を、国立研究開発法人産業技術総合研究所の技術コンサルティングのもと、行っています。生体のメルケル細胞は、実験上の取り扱いが困難です。そこで今回、そのモデル細胞として使用 できる細胞を検討し、「ヒトメルケル細胞癌由来細胞株MCC14/2(以下、MCC14/2)(3)」に生体メルケル細胞の特徴が備わっていることを確認しました。これによりMCC14/2は、メルケル細胞と皮膚機能との関連性を解明するためのツールとして活用することが可能となりました。
またMCC14/2に神経伝達物質(4)Oxytocin(オキシトシン)(5)が発現していることも確認できました。さらに今後も、メルケル細胞と皮膚の関連性について研究を進めてまいります。
なお、本研究成果は、第29回日本バイオイメージング学会学術集会(2020年11月20、21日)で発表しました。

<研究背景・目的>
当社では、皮膚科学研究におけるアンチエイジングという観点から、加齢で鈍化する皮膚感覚に着目しています。その中で、比較的皮膚の表面にあり、かつ指先に多く存在するメルケル細胞は、皮膚の状態や化粧行為がもたらす情感にかかわりが深いのではないかと考え、メルケル細胞の新たな生理機能を解明することを目的としました。しかしメルケル細胞は、人間の生体にごく少数しか存在しないということもあり、ヒト正常メルケル細胞を実験に用いるには大きな課題がありました。
そこで、取り扱いが容易である「ヒトメルケル細胞癌由来細胞株MCC14/2」を、ヒト正常メルケル細胞のモデル細胞として使用できる可能性を検討することにしました。

<本研究成果による製品開発>
この研究成果は、メルケル細胞がかかわる科学研究の発展に貢献できると考えています。今後は、本モデル細胞を用い、新たにメルケル細胞の皮膚生理機能とのかかわりを解明していきます。さらに、加齢で衰える皮膚感覚と受容器の機能、ならびに肌老化の関係について研究を進め、その知見に基づく製品開発を進めてまいります。

【用語説明】
(1)感覚受容器
皮膚に加えられた機械的刺激(圧力や振動など)を検出する細胞や小体など
(2)メルケル細胞
1875年にDr.Merkelが触細胞として提唱した機械刺激の受容を担う感覚細胞で、魚類から哺乳類に存在する。微弱な圧力に応答することや神経伝達物質を分泌することなどが報告されている皮膚の基底層にあって感覚神経終末に接し、触覚に関係すると考えられている
(3)ヒトメルケル細胞癌由来細胞株MCC14/2
メルケル細胞癌患者より樹立した細胞(Cell Bank Australia)
(4)神経伝達物質
神経細胞同士の情報伝達を促す化学物質の総称。神経細胞で産生され、他の神経細胞を興奮させたり抑制したりして情報を伝達する
(5)Oxytocin(オキシトシン)
脳下垂体後葉で分泌される授乳期などに働く神経ホルモンで、スキンシップなどによる情動とのかかわりから「幸せホルモン」とも呼ばれる。アトピー性皮膚炎患者の皮膚では少ないという報告もある
(6)細胞骨格
細胞質に広がるタンパク線維の複雑な編み目構造で、細胞質空間を支える助けとなっている
(7)機械刺激感受性イオンチャネルPiezo2
機械刺激によって活性化され、触覚や痛覚、さらに呼吸などの多くの生理的役割にかかわっている
(8)Glutamate(グルタミン酸)
興奮性の神経伝達物質
(9)VGLUT2(vesicular glutamate transporter)
グルタミン酸の細胞内輸送に必要な分子
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