CO2圧入利用プロジェクトの地下評価に関する発表が物理探査学会の「最優秀発表賞」を受賞
JOGMECが株式会社INPEXと実施した物理探査に関する研究の成果について、令和5年度物理探査学会149回秋季学術講演会(2023年10月11日~13日)で行った発表が高く評価され、最優秀発表賞を受賞しました。
JOGMECは、株式会社INPEXと、新潟県柏崎市においてクリーンな水素・アンモニア製造及び枯渇ガス田へのCO2圧入利用の一貫実証試験(実証試験)を推進しています。
本実証試験において地下にCO2を圧入するにあたり、事前に地下の構造を把握する必要があり、その方法として坑井間地震探査(注)が提案されました。今回の研究により、坑井間地震探査を実施するために必要となる受発震範囲等のデータ取得仕様が明らかとなり、今後想定されるCO2圧入利用事業やCCS(Carbon dioxide Capture and Storage:CO2回収・貯留)事業において求められるCO2モニタリング(CO2の地下での広がりの把握等)に貢献する成果が得られました。
JOGMECはこれらの知見を基に、エネルギーの安定供給やカーボンニュートラル社会の実現に寄与する技術の開発と普及を進めてまいります。
(注)坑井内に震源と受振器を降下させ、いろいろな深度で地震波を計測する地震探査手法。
受賞した発表概要は以下の通りです。
■ 発表タイトル
枯渇ガス田でのCO2圧入を目的としたDASケーブルを用いた坑井間地震探査のフィージビリティスタディ
■ 発表者
藤本暁(JOGMEC)、加藤文人(JOGMEC)、河野昭博(INPEX)、島野恭史(JOGMEC)、小西祐作(JOGMEC)
■ 受賞概要
本実証試験において地下にCO2を圧入するにあたり、事前の地下構造の把握や貯留層キャラクタリゼーションを目的として坑井間地震探査が提案されました。坑井間地震探査は通常の地表地震探査と比較し、高解像度に地下構造を把握可能である反面、坑井間距離や受発震の範囲に制約があります。
本実証試験においては光ファイバーケーブルを用いたDAS(Distributed Acoustic Sensing)が坑井内の受振器として利用される計画です。DASは通常用いられる地震計(ジオフォン)と比較して高密度かつ効率的にデータ取得が可能である一方、ジオフォンとは異なる感度特性を有するため、坑井間地震探査への適用には事前の検証が必要です。さらに、本実証試験においてはCO2圧入層(枯渇ガス層)における坑井間距離が大きく、坑井間地震探査が適用可能かどうかは未知数でした。
そこで、当該研究では、CO2圧入井を坑井間地震探査の受振井、生産井を発震井と想定し、波線追跡法を用いたDASの感度評価と、FWI(フルウェーブフォームインバージョン)による坑井間地震探査のフィージビリティスタディを行いました。
その結果、本実証試験において坑井間地震探査を実施するために必要となる受発震範囲等のデータ取得仕様が明らかとなりました。
■ 参考
新潟県柏崎市におけるクリーンな水素・アンモニア製造及び枯渇ガス田へのCO2圧入利用の一貫実証試験の実施について(2022年11月15日)
(URL)https://www.jogmec.go.jp/news/release/news_01_00027.html
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https://www.jogmec.go.jp/news/release/news_10_00149.html?mid=pr231108
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