刃物メーカー貝印と医療福祉施設等、「まとまりマッシュ食」自動調理器の実証実験を開始

~静岡県のファルマバレーセンター等が連携し、家庭での実用化を見据えた検証を推進~

貝印株式会社

 グローバル刃物メーカーの貝印株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長兼CEO:遠藤 浩彰)は、2026年9月から、公益財団法人ふじのくに医療城下町推進機構(以下:ファルマバレーセンター)、社会福祉法人小羊学園「つばさ静岡」、アポロメーカー株式会社と連携し、小児系施設や高齢者向け施設など複数の医療・福祉施設において、嚥下障害のある方向けの新しい食形態「まとまりマッシュ食」を簡便に調理できる自動調理器の実証実験を開始します。

 本実証実験では、貝印が開発した「まとまりマッシュ食」自動調理器の試作品を実際の医療・介護現場で使用し、調理品質や操作性、実用性などを検証するとともに、より使いやすい製品への改良を進めます。また、調理を行う介護従事者や実際に食事を召し上がる方を対象に、食べやすさや満足度、調理負担などについて調査を実施します。

 機器の開発だけでなく、メニューや運用方法の検討も進めることで、介護食を取り巻く課題の解決と、食を通じた生活の質(QOL)の向上を目指します。本取り組みでは、摂食嚥下リハビリテーション医療や介護食に精通した専門家の知見を取り入れながら、同分野に積極的に取り組む医療・福祉施設と連携し、将来的な家庭向け製品の実用化を見据えた現場検証を進めてまいります。

「食べる楽しみ」と「作る負担軽減」を両立する「まとまりマッシュ食」

 嚥下障害のある方に従来提供されてきたペースト食は見た目や食感、味わいの面で課題があることに加え、食事を楽しみにくいという声も聞かれます。また噛むことが減ることで口腔嚥下機能への影響が懸念される場合もあります。こうした課題に対し、ペースト食と普通食の中間に位置する新しい食形態として「まとまりマッシュ」が提案されています。「まとまりマッシュ」とは舌や歯ぐきで押しつぶせる柔らかさで、粒がありつつもバラバラにならないようにまとめて嚥下しやすくした食事のことです。

 焼き魚や肉料理などのパサつきのある食材も、粘性のある食材(穀類や芋類等)と一緒にマッシュすることで、粒がばらけずにまとまりのある食事にすることができます。トロミ剤や水を添加することなくできるので、食材本来の風味や味を損なうことなく「食べる楽しみ」と「安全性」の両立を叶えてくれる新たな嚥下配慮食です。

 今回開発する自動調理器は、このまとまりマッシュを誰でも手軽に調理できることを目指したものです。家族と同じ食事を楽しみたい、そんな「食べる側」「作る側」双方の願いを「負担を強いることなく」叶える調理機器の開発を目指します。

医療・介護現場の声をきっかけに、産官学連携で開発を推進

 本プロジェクトは、社会福祉法人小羊学園「つばさ静岡」の医務部長である淺野一恵医師から、「まとまりマッシュ食をより簡単に作れる機器を開発できないか」という相談が寄せられたことをきっかけに始まりました。

 淺野医師は、アポロメーカーおよびファルマバレーセンターとともに、医療・介護現場で実用しやすい機器の開発を模索していましたが、既存の技術や製品では対応が難しい状況がありました。そこで、静岡県東部を中心に医療・福祉機器開発を支援するファルマバレーセンターのコーディネートにより、貝印が参画。現場の課題と、ものづくり企業の技術を掛け合わせる共同研究として本格的に検討が進みました。

 本取り組みは、公益財団法人静岡県産業振興財団が公募した「令和7年度 医療機器産業基盤強化推進事業助成金」にも採択されており、社会的意義と事業化可能性の両面から期待されています。

老舗刃物メーカーの技術を医療・介護食領域へ応用

 貝印は、包丁やカミソリをはじめとする刃物製品に加え、調理器具・調理家電・医療機器など、人々の暮らしと専門領域を支えるものづくりを続けてきました。本プロジェクトでは、長年培ってきた調理技術や製品開発の知見を医療・介護食領域へ応用し、「食べる喜び」を支える新たな価値の創出に取り組んでいます。

 自動調理器には、貝印の調理器具ブランド「SELECT100®」のコードレスブレンダーで培った電動回転技術を活用しています。毎分約14,000回転のハイパワーモーターと、長年の刃物づくりで培った刃の設計技術を組み合わせることで、従来は手作業では時間や手間がかかっていた「まとまりマッシュ食」の調理を、自動かつ安定した品質で行えるよう開発を進めています。

 

 貝印は、創業以来培ってきた「切る」技術とものづくりの力を活かし、誰もが安心して食を楽しめる社会の実現を目指してまいります。

9月より複数施設で実証実験を開始

 2026年9月より、「つばさ静岡」をはじめとする複数の医療・福祉施設において実証実験を開始します。食べる方・調理する方双方の使用感や調理工程における負担、運用上の課題などを検証し、家庭での利用も見据えた製品改良を進めます。

 まずは摂食嚥下リハビリテーション医療や介護食への関心が高い先進的な施設との連携を進め、将来的な製品化に向けて、現場に根ざした検証を重ねてまいります。

社会福祉法人小羊学園「つばさ静岡」 医務部長・医師 淺野一恵氏 コメント

 摂食嚥下に課題を抱える人にとっても、食事は栄養を摂るためだけのものではなく、日々の楽しみや生活の質にも関わる大切な時間です。一方で、医療・介護の現場では、安全性に配慮しながら、食べる方の満足感や作る側の負担軽減を両立することに難しさがあります。「まとまりマッシュ食」をより簡単に、安定して作ることができれば、食事の選択肢を広げる一助になると考えています。今回の実証実験を通じて、現場での使いやすさや改善点を確認しながら、より実用的な形につなげていきたいです。

【プロフィール】
社会福祉法人小羊学園「つばさ静岡」医務部長・医師。医療型障害児入所施設・療養介護施設である同施設にて、重症心身障害児者の医療・生活支援に携わる。嚥下に課題を抱える方の食事支援に取り組み、「まとまりマッシュ食」の発起人として本プロジェクトに参画。

貝印が目指す、医療・介護領域における新たなものづくり

 貝印は本取り組みを通じて、嚥下障害のある方が食べる喜びを感じられること、そして支える方の負担を少しでも軽減できることを目指しています。

 製品の普及そのものだけでなく、介護食をめぐる社会課題に対し、企業の技術と現場の知見を掛け合わせて解決策をつくることも、本プロジェクトの重要な意義です。今後も貝印は、医療・介護現場との連携を深めながら、ものづくりを通じた社会課題の解決に取り組んでまいります。

 また、実証実験で得られた知見については、将来的に日本摂食嚥下リハビリテーション学会をはじめとする専門領域での発表や展示も視野に入れ、医療・介護現場から在宅介護に至るまで新たな食支援の選択肢として社会実装を目指してまいります。

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会社概要

貝印株式会社

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URL
https://www.kai-group.com
業種
製造業
本社所在地
東京都千代田区岩本町3-9-5
電話番号
0120-016-410
代表者名
遠藤浩彰
上場
未上場
資本金
-
設立
1908年06月