CCCアートラボによる≪Might Be Classics≫プロジェクト第3弾、渡辺志桜里 個展「BLUE」を2月23日(金・祝)より開催。環境保護と国家の関係を 「種」の視点から考察。
渋谷広域圏においてにぎわいをつくることをめざし取り組みが始まった「まちづくり協定」。その一環としてCCCアートラボでは≪Might Be Classics≫プロジェクトを企画しています。2023年10月に続く第3弾は、現代美術家・渡辺志桜里 個展「BLUE」を、2月23日(金・祝)~3月10日(日)にかけて開催します。作品発表の期間中、2月29日(木)には渡辺志桜里と映画監督の坂本麻人によるトークセッションと、DJによるパーティを予定しています。
CCCCアートラボ|https://www.ccc-artlab.jp/news/2024/02/7020/
概要
現代美術家・渡辺志桜里は「種の保存法」に着目したインスタレーション作品《RED》を現在展覧中です(※)。《RED》は、「種の保存法」制定にあたって議論された中心的な生物をモチーフに、国家によって形作られた生態系がどのような未来を辿りうるのかを探る作品です。少子化が問題視される中、日本国民にとって「種の保存法」が内包しているナショナリズムとは何か、という観点において出産や生殖といった個人の身体に関わる問題を再考しています。
そして今回、その作品の対になる展示として《BLUE》を、≪Might Be Classics≫プロジェクトの第3回として行います。《BLUE》では、1960年に日本に持ち込まれた特定外来魚・ブルーギルをモチーフに、人間の多様性の成立過程について考察しています。
※2024年3月10日(日)まで「百年後芸術祭 -いちかわ芸術祭」(千葉県誕生150周年記念いちかわ芸術祭実行委員会)にて開催。
アーティストステートメント
ブルーギルは「特定外来生物による生態系などに係る被害の防止に関する法律」により、”飼育・栽培、保管、運搬、販売・譲渡、輸入、野外に放つ事”が規制され、釣り場でも外来魚ボックスに棄てるなど、処理が勧められる魚である。ナショナル・ジオグラフィック(2022年1月12日)によれば、歴史を遡るとこの魚は、1960年にシカゴ市長から現上皇・明仁氏に送られ、戦後の爆発的な人口増加を支えるタンパク源として期待された”プリンスフィッシュ”だったという。いつしか忘れられ、人知れず繁栄した日本のブルーギルであるが、DNA解析によれば、送られた17匹のうち15匹が始祖となる事が明らかになっている。一方で世界的に生物多様性の減少ということが問題視され、”レッドリスト”正式名称”The IUCN Red List of Threatened Species”と呼ばれるリストが国際自然保護連合によって作成され、絶滅危惧種の保護が進められている。
ここで問題になるのは自然保護といった時にドメスティックな種の選択が迫られるという事である。在来種、あるいは外来種といったものが移り行く環境の中でいかに曖昧な定義であるか、選択されるものとされないもの……、環境保護と国家の関係を 「種」という視点から考察する本展は、少子化対策が国策として勧められる一方で、難民問題や種族間の争いなど、人間の多様性はいかにして成立するのか。異種を通して生物全体の種の絶滅と保護と排除の抱き合わせの関係を考察したいと思う。
渡辺志桜里
アーティストプロフィール
渡辺志桜里(わたなべしおり)
1984年⽣まれ。2017年東京藝術⼤学⼤学院美術研究科彫刻専攻修了。全体性を主軸に、個々が集合した現象と、その個に携わる⾝体の境界といったものに焦点を当てて制作。
主な展覧会に、MEET YOUR ART FESTIVAL 2023「Time to Change」(山峰潤也キュレーション,2023)「とうとうたらりたらりらたらりあがりららりとう」展(企画/キュレーション,2022)、「水の波紋展」(ワタリウム美術館主催,2021)、「ベベ」(WhiteHouse, 2021)、「Dyadic Stem」(The 5th Floor, 2020) 。
展覧会情報
≪Might Be Classics#3≫ 渡辺志桜里「BLUE」
会期|2024年2月23日(金・祝)~3月10日(日)※月曜休廊
会場|SACS(東京都渋谷区桜丘町16−12 桜丘フロントビル 1階)
時間|12:00~20:00
入場|無料
企画制作|CCCアートラボ
共催|東急不動産株式会社
宣伝美術 | PRETEND
機材協力 | エプソン販売株式会社
協賛|中村酒造場
期間中にトークセッション&DJイベントを開催します
会期中、会場にてイベントを開催します。最新情報につきましては下記のURLからご確認
ください。随時情報発信いたします。お申込み不要、フリードリンクです。
日時|2月29日(木)
-19:00~20:00 トークセッション
テーマ「エイリアン・エコロジー」ゲスト:坂本麻人× 渡辺志桜里
-20:00~22:00 DJイベント
Instagram|https://www.instagram.com/mightbeclassics/
坂本 麻人 Asato Sakamoto
大阪生まれ。東京在住。ドキュメンタリー映像作家。2023年公開のドキュメンタリー映画『ミルクの中のイワナ』の監督・プロデューサーとして活動。過去には、岩手県・遠野市を舞台に死生観をテーマにした映像作品『DIALOGUE WITH ANIMA』を監督し、またカルチュラル・スタディーズツアー「遠野巡灯篭木(トオノメグリトロゲ)」の総合演出、プロデューサーとして活動。その他に、研究プロジェクトJST/ERATOxHITE『脳AI融合プロジェクトxHITE』の映像作品や、アーティスト長谷川 愛の映像作品『Shared Baby』(森美術館「未来と芸術」展 出品)や市原えつこ『未来 SUSHI 研究者は語る』(森美術館「六本木クロッシング2022」展 出品)などの監督・監修を担当。映像プロダクションTHE LIGHT SOURCE主宰、一般社団法人 Whole Universeの理事。
≪Might Be Classics≫ とは
東京、渋谷の「これまで」を見つめ、
「これから」を見据え、
明日からの生活へ示唆を与えてくれる。
その示唆の先にあるものが、100年後の定番や常識、
あるいは伝統かもしれない。
そんな気になるアート、そういうのもアート、
というプロジェクトです。
「まちづくり協定」とは
詳細はプレスリリースをご覧ください。
https://www.ccc.co.jp/news/2023/20230530_002524.html
≪Might Be Classics≫第1弾 菅野歩美「明日のハロウィン都市」
≪Might Be Classics≫第2弾 光岡幸一「魂心の一撃」
CCCアートラボ
CCCアートラボは、企画会社カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社の中で「アートがある生活」の提案をする企画集団です。わたしたちは「アートがある生活」の提案を通じて、アートを身近にし、誰かの人生をより幸せにすること、より良い社会をつくることに貢献したいと考えています。これまで行ってきた、店舗企画やアートメディア、商品開発やイベントプロデュースなど、長年の実業経験を通して培った知見をもとに、わたしたちだからできるアプローチで企画提案をします。
https://www.ccc-artlab.jp/
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