ガザ:イスラエルが国際NGOの登録を規制──人道援助の継続が危機に

国境なき医師団

パレスチナで人道援助活動を行う国際的な非政府組織(NGO)は、イスラエル政府の新たな登録規則により、2026年1月1日から登録を取り下げられる危機に立たされている。登録が取り下げられた場合、国際NGOはパレスチナ・ガザ地区とヨルダン川西岸地区において援助活動ができなくなる恐れがある。ガザで活動する最大の医療援助団体の一つである国境なき医師団(MSF)は、ガザの大勢の人びとが命にかかわる援助を受けられなくなると警告する。

多くの患者で過密状態となるガザ南部のナセル病院。空きベッドはなく廊下や屋外スペースも患者で埋め尽くされている=2025年8月12日撮影 © MSF

公平で独立した活動の継続を

ガザの保健医療体制がすでに破壊されている中、経験豊富で独立した人道援助団体が活動できなくなることは、パレスチナにさらなる悲劇をもたらすことにつながる。MSFはイスラエル当局に対し、すでに制限されている人道援助を、これ以上減らすべきではないとして、国際NGOがガザにおいて公平で独立した活動を維持・継続できるよう求める。

MSF緊急対応コーディネーターのパスカル・コワサールは「2025年だけでも、MSFは約80万件の外来診療を行いました。これからさらに活動を拡大し、ガザの崩壊した保健医療体制を支援しようとしています。NGO登録が無事されれば、2026年も活動を強化する予定です」と今後活動拡大の可能性があることを示した。

 MSFは命にかかわる医療を大規模に提供してきたが、それでもガザの人びとの圧倒的なニーズを満たすには十分ではない。MSFは2025年だけでも、1億ユーロを超える予算を投入し、10万件以上の外傷対応、400以上の病床ケア、約1万人に対する2万2700件の外科手術、約80万件の外来診療、4万5000件の予防接種、1万件以上の分娩介助、4万回以上の個別の心のケアと6万人以上に対するグループセッション、7億リットル以上の水配給、約1億リットルの清潔な水の生産を行ってきた。

命綱の医療継続が危機に

2026年、MSFはガザでの人道援助活動に1億~1億2000万ユーロ(約1846億~2215億円)の予算投入を見込んでいる。MSFが提供する支援は、保健医療体制の崩壊により、ガザでは受けられないものが多くを占める。

仮にMSFがイスラエル当局の意向で2026年にガザへのアクセスを失えば、ガザの多くの人びとが医療、水、命にかかわる支援を受けられなくなる。MSFの活動は、破壊された医療システムをサポートすることによって、ガザの約50万人にサービスを提供している。

MSFは活動を継続するため、イスラエル当局との建設的な対話を模索している。

 ガザでMSFは、現在6つの公立病院の支援、2つの仮設病院の運営、4つの診療所の支援、栄養失調のための入院治療センターの運営を行っている。さらに最近、傷の手当てやその他の一般的な医療サービスを提供する医療拠点を新たに6カ所開設した。MSFは1989年からパレスチナで活動している。

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業種
医療・福祉
本社所在地
東京都新宿区馬場下町1-1  FORECAST早稲田FIRST 3階
電話番号
-
代表者名
村田慎二郎
上場
未上場
資本金
-
設立
1992年12月