「後継者難倒産」、初の年間500件超え 不在率は改善も、経営者の高齢化リスクはなお続く
全国企業倒産集計2023年11月報 別紙号外リポート:後継者難倒産
<調査結果(要旨)>
「後継者難倒産」、初の年間500件超え
集計期間:2023年11月30日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク
後継者不在のため事業継続の見込みが立たず倒産した「後継者難倒産」は、2023年11月に46件発生した。1-11月の累計件数は509件となり、12月を残して年間の最多件数を更新、初の500件超えとなった。主因別にみると、厳しい経営状況が続き後継者が事業を継ぐことをためらい、倒産に至った「販売不振」(269件)が大半を占めた。また、「経営者の病気、死亡」(210件)により経営者が不在になる、または後継者が継いだものの事業継続が困難になったケースも目立った。
データバンクが算出した2023年の「後継者不在率」は53.9%と、前年の水準を6年連続で下回るなど、「後継者問題」は改善傾向が続いている。その一方で、事業承継「適齢期」とされる60歳代の代表者の後継者不在率は37.7%、70歳代も約3割で後継者が決まっていない。代表者の高齢化が進むにつれ、病気や死亡により事業継続がままならなくなるほか、「後継者育成」が頓挫し、承継完了が間に合わずに事業継続を断念するリスクは高まってきている。後継者が不在のなか、十分に業績が改善しないままゼロゼロ融資の返済や各種コスト負担などに追われる企業を中心に、後継者難倒産は今後も増加する可能性が高い。
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