大日本印刷とBIPROGY 量子技術・AIを活用した物流業務効率化の本格的な研究を開始
NEDOの「量子・古典ハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」の初期仮説検証から本格研究フェーズへ
大日本印刷株式会社(DNP)とBIPROGY株式会社は、2023年11月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「量子・古典ハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」*1に採択され、量子技術とAIを活用した物流業務効率化アプリケーション開発に向けた初期仮説検証に取り組んでいます。両社は2025年1月に初期仮説検証の研究成果をNEDOに報告し、厳正な審査の結果、今回、ステージゲート審査を通過しました。これによって両社は2025年4月1日から、本格研究フェーズでの研究・開発を進めていきます。


【DNP・BIPROGYの研究開発テーマ】*2
両社は、量子アニーリング*3と古典AI技術*4を組み合わせた「量子・古典ハイブリッド技術」で、(1)「物流・交通分野における配送計画(BIPROGY担当)」と(2)「倉庫内のピッキング計画(DNP担当)」の最適化等の課題解決に向けて、アプリケーションを開発しています。
DNP担当のピッキング計画最適化アプリケーションに関する研究開発と成果は以下の通りです。

■DNPの初期仮説検証フェーズの研究開発と成果
DNPは、膨大な選択肢から最適な解を抽出する「組合せ最適化問題」を高速で処理する「DNPアニーリング・ソフトウェア」*5を用い、配送品のピッキングの作業状況・進捗に合わせてリアルタイムで作業者の作業順序や移動経路を最適化するアプリケーションを開発しました。開発したアプリケーションの評価は、DNPの工場でのピッキング作業のデータを利用し、デジタル上のシミュレーションや模擬環境を通じて効果を検証してきました。
従来は作業開始前に立案した計画に基づいて作業していましたが、作業状況に応じてリアルタイムに高速で計画を立案するアプリケーションの開発に成功しました。実証時の行ったシミュレーションの結果、従来手法と比較して全体の総移動距離を約29%削減、他人とのすれ違い回数を約44%削減しました。これにより、総作業時間を約6.4%短縮できました。
■DNPの本格研究フェーズの研究テーマについて
DNPは初期仮説検証の研究成果を活用し、自律走行搬送ロボット(Autonomous Mobile Robot:AMR)等のロボットと作業者が協働して行うピッキング作業を最適化するアプリケーションを開発します。AMRの稼働の制御や作業順番等の管理の機能と、作業効率の改善度合いを事前に検証できるバーチャルシミュレーション機能の開発を想定しています。DNPは今後の本格研究で開発したアプリケーションを提供し、物流・倉庫業界の作業時間やロボットの移動距離の短縮などを目指します。
【今後の展開】
DNPとBIPROGYは、今回の事業で開発するアプリケーションの本格的なサービス展開を目指します。この取り組みによって、生産年齢人口の減少等による物流・倉庫業界の輸送力不足や、CO₂排出量の削減ニーズなど、社会課題の解決に向けた量子技術の社会実装に貢献していきます。
*1 「量子・AIアプリケーション開発・実証」委託事業 → https://www.nedo.go.jp/koubo/CD3_100350.html
*2 BIPROGYの研究開発テーマについて → https://www.biprogy.com/pdf/news/nr_250327_1.pdf
*3 量子アニーリング:量子力学を用いて開発された計算手法の一種で、組合せ最適化問題を解くことが主な目的
*4 古典AI技術:従来のスーパーコンピューターやサーバー等を活用したAI技術
*5 DNPアニーリング・ソフトウェア → https://www.dnp.co.jp/biz/solution/products/detail/20169909_1567.html
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