凸版印刷とblueqat、光量子計算に関する論文がIEEEの国際会議「QCE21」ポスターセッションに採択
計算時間を短縮する新規計算手法を考案し、光量子計算の可能性を示唆
凸版印刷株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:麿 秀晴、以下 凸版印刷)と、blueqat株式会社(本社:東京都渋谷区、代表:湊 雄一郎、以下 blueqat)は、光量子(※1)計算の研究を共同で推進しています。今回、その研究に関する論文がIEEE(※2)の国際会議「International Conference on Quantum Computing and Engineering (以下 QCE)」(※3)のポスターセッションに採択され、2021年10月18日(月)14:30‐15:15(MST)に発表を行いました。
本論文は、量子コンピューティングのひとつである光量子方式において、光量子計算時間を短縮化する新しい計算手法の確立に関するものです。この計算手法を用いることで、今後高速な光量子計算を実現することが期待されます。
「QCE」は量子産業に向けた量子コンピューティングとエンジニアリングの世界最大級の年次国際会議として、2020年に開始されました。ここでは、量子コンピューティングの科学とそれを取り巻く産業の発展との間のギャップを埋めるために、通常の学術会議やビジネス会議とは異なる視点で、論文発表やポスターセッションが行われます。初めての開催となった昨年は世界45の国と地域から800人以上の専門家が参加し、今年はさらに多くの参加者が見込まれています。
第2回目となる「QCE21」は2021年10月17日(日)から22日(金)に全てオンラインで開催されます。
https://qce.quantum.ieee.org/
■ 論文について
タイトル:Simulation of Continuous‐Variable Quantum Systems with Tensor Network
著者:Ryutaro Nagai (blueqat inc.), Takao Tomono (Toppan Inc.), Yuichiro Minato (blueqat inc.)
URL:https://qce.quantum.ieee.org/posters-program/
■ 研究の背景
近年、高い計算処理能力を有する次世代のコンピューターとして、量子コンピューターに対する期待が高まっています。量子コンピューターの実用化に向けて、コンピューター会社やベンチャー企業など様々な研究機関や企業がハードウエア、計算手法、ネットワーク技術などの開発を行っています。特に、ハードウエアの開発は黎明期であり、計算処理能力向上に向け、様々な方式が検討されています。なかでも、超電導方式は、開発が最も進んでいますが、動作環境を絶対零度(-273℃)付近にする必要があり、冷却するために莫大なエネルギーを消費することや大きな冷却装置を必要とし、装置の小型化も難しいことが問題となっています。一方、光量子方式は常温で動作するため消費エネルギーが小さく、装置の小型化が可能であることから、商用利用への期待が高まっていますが、計算手法の研究が十分にされてなく、計算手法の確立が期待されています。
凸版印刷とblueqatはこれらの課題に対し、これまで培ってきた光量子の取り扱いや量子情報の知見を活かして、光量子方式における光量子計算の新規計算手法を考案し、従来の方式と比較して、計算時間を27分の1に短縮することができました。これにより、今後光量子計算の高速化を実現することが期待されます。また、光量子方式を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)事業を通し、将来に向け安全・安心なデジタル社会を実現する量子コンピューターと量子通信の普及に貢献していきます。
■ 本論文の概要
(1)量子計算手法の確立
量子計算のシミュレーション手法として、テンソルネットワーク(※5)を用いて、光量子回路を構築、光量子計算を実施、計算時間を短縮させる手法を確立した。
(2)テンソルネットワーク構造をCV量子計算に適用
この新手法では、連続量(CV)量子計算(※6)に対して、Matrix Product States (MPS) (※7)で表現されるテンソルネットワーク構造で特異値分解を適用したことにより、計算時間を短縮できる結果を得ました。従来の手法と比較したところ、その新規計算手法の有効性を確認することができました。今後、他の計算手法との比較やその有効性などの効果検証を行います。
・凸版印刷
光量子の取り扱いに関する知見を活かし、光量子方式の量子コンピューティングに関する研究開発を推進しています。
具体的には、光連続量のモードを解析する手法を考案しました。本手法をより発展させて、光量子回路やそれを用いた量子通信などに適用していきます。
・blueqat
これまで培ってきた量子情報の知見を活かし、光量子コンピュータソフトウエア(シミュレータ「photonqat」)の開発を推進しています。
具体的には、光量子計算にテンソルネットワークを組み込む手法を発案しました。本計算手法をより発展させ、ミドルウエアの開発などに適用していきます。
https://blueqat.com/blueqat_official_news_ja/eb9c0c75-8209-4242-8d72-c8933b47ee4d
■ 今後の展開
光量子計算の基礎研究(計算手法、アルゴリズムなど)を推進し、ソフトウエア技術、デバイス技術の開発を通して、量子コンピューティング事業の産業応用を目指します。
■ blueqat株式会社について
本社:東京都渋谷区渋谷2-24-12 39F wework内
設立:2008年12月
代表者:湊 雄一郎
事業内容:量子コンピュータ向けのソフトウエア開発キットの提供
公式ウエブサイト:https://blueqat.com/
※1 光量子
光の粒子(光子)を使った量子コンピューターの方式の一つです。
※2 IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)
アメリカ合衆国に本部を置く電気・情報工学分野に関する世界最大の学術研究団体であり、世界160か国以上に423,000人以上の会員がいます。URL:https://jp.ieee.org/
※3 IEEE QCE
https://qce.quantum.ieee.org/
※4 超電導方式
量子コンピューターの方式の一つで、量子ビットに超電導素子を使用しています。
※5 テンソルネットワーク
量子系を効率的に計算する手法の一種です。
※6 連続値(CV)量子計算
光の位相と振幅といった、連続的に変化する値を用いた光量子計算を指します。
※7 Matrix Product States (MPS)
多数の行列の積からなる、テンソルネットワーク構造の一種です。
* 本ニュースリリースに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。
以 上
「QCE」は量子産業に向けた量子コンピューティングとエンジニアリングの世界最大級の年次国際会議として、2020年に開始されました。ここでは、量子コンピューティングの科学とそれを取り巻く産業の発展との間のギャップを埋めるために、通常の学術会議やビジネス会議とは異なる視点で、論文発表やポスターセッションが行われます。初めての開催となった昨年は世界45の国と地域から800人以上の専門家が参加し、今年はさらに多くの参加者が見込まれています。
第2回目となる「QCE21」は2021年10月17日(日)から22日(金)に全てオンラインで開催されます。
https://qce.quantum.ieee.org/
■ 論文について
タイトル:Simulation of Continuous‐Variable Quantum Systems with Tensor Network
著者:Ryutaro Nagai (blueqat inc.), Takao Tomono (Toppan Inc.), Yuichiro Minato (blueqat inc.)
URL:https://qce.quantum.ieee.org/posters-program/
■ 研究の背景
近年、高い計算処理能力を有する次世代のコンピューターとして、量子コンピューターに対する期待が高まっています。量子コンピューターの実用化に向けて、コンピューター会社やベンチャー企業など様々な研究機関や企業がハードウエア、計算手法、ネットワーク技術などの開発を行っています。特に、ハードウエアの開発は黎明期であり、計算処理能力向上に向け、様々な方式が検討されています。なかでも、超電導方式は、開発が最も進んでいますが、動作環境を絶対零度(-273℃)付近にする必要があり、冷却するために莫大なエネルギーを消費することや大きな冷却装置を必要とし、装置の小型化も難しいことが問題となっています。一方、光量子方式は常温で動作するため消費エネルギーが小さく、装置の小型化が可能であることから、商用利用への期待が高まっていますが、計算手法の研究が十分にされてなく、計算手法の確立が期待されています。
凸版印刷とblueqatはこれらの課題に対し、これまで培ってきた光量子の取り扱いや量子情報の知見を活かして、光量子方式における光量子計算の新規計算手法を考案し、従来の方式と比較して、計算時間を27分の1に短縮することができました。これにより、今後光量子計算の高速化を実現することが期待されます。また、光量子方式を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)事業を通し、将来に向け安全・安心なデジタル社会を実現する量子コンピューターと量子通信の普及に貢献していきます。
■ 本論文の概要
(1)量子計算手法の確立
量子計算のシミュレーション手法として、テンソルネットワーク(※5)を用いて、光量子回路を構築、光量子計算を実施、計算時間を短縮させる手法を確立した。
(2)テンソルネットワーク構造をCV量子計算に適用
この新手法では、連続量(CV)量子計算(※6)に対して、Matrix Product States (MPS) (※7)で表現されるテンソルネットワーク構造で特異値分解を適用したことにより、計算時間を短縮できる結果を得ました。従来の手法と比較したところ、その新規計算手法の有効性を確認することができました。今後、他の計算手法との比較やその有効性などの効果検証を行います。
■ 2社の役割
・凸版印刷
光量子の取り扱いに関する知見を活かし、光量子方式の量子コンピューティングに関する研究開発を推進しています。
具体的には、光連続量のモードを解析する手法を考案しました。本手法をより発展させて、光量子回路やそれを用いた量子通信などに適用していきます。
・blueqat
これまで培ってきた量子情報の知見を活かし、光量子コンピュータソフトウエア(シミュレータ「photonqat」)の開発を推進しています。
具体的には、光量子計算にテンソルネットワークを組み込む手法を発案しました。本計算手法をより発展させ、ミドルウエアの開発などに適用していきます。
https://blueqat.com/blueqat_official_news_ja/eb9c0c75-8209-4242-8d72-c8933b47ee4d
■ 今後の展開
光量子計算の基礎研究(計算手法、アルゴリズムなど)を推進し、ソフトウエア技術、デバイス技術の開発を通して、量子コンピューティング事業の産業応用を目指します。
■ blueqat株式会社について
本社:東京都渋谷区渋谷2-24-12 39F wework内
設立:2008年12月
代表者:湊 雄一郎
事業内容:量子コンピュータ向けのソフトウエア開発キットの提供
公式ウエブサイト:https://blueqat.com/
※1 光量子
光の粒子(光子)を使った量子コンピューターの方式の一つです。
※2 IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)
アメリカ合衆国に本部を置く電気・情報工学分野に関する世界最大の学術研究団体であり、世界160か国以上に423,000人以上の会員がいます。URL:https://jp.ieee.org/
※3 IEEE QCE
https://qce.quantum.ieee.org/
※4 超電導方式
量子コンピューターの方式の一つで、量子ビットに超電導素子を使用しています。
※5 テンソルネットワーク
量子系を効率的に計算する手法の一種です。
※6 連続値(CV)量子計算
光の位相と振幅といった、連続的に変化する値を用いた光量子計算を指します。
※7 Matrix Product States (MPS)
多数の行列の積からなる、テンソルネットワーク構造の一種です。
* 本ニュースリリースに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。
以 上
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