サイキンソーとYKK APが「断熱窓・睡眠・腸内フローラ」の関連性を共同調査
~東京都「断熱改修アクセラレータ」にて、住環境への意識が低い一般生活者への認知拡大を目指し、脱炭素と健康長寿を両立する新しい住宅価値を提案~
株式会社サイキンソー(本社:東京都渋谷区 代表取締役:原 洋介)とYKK AP株式会社(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:魚津 彰)は、東京都が推進した2025(令和7)年度の「断熱改修アクセラレータ」プログラム(※1)に参画しました。両社は「断熱改修で家族の健康力UP ~腸内細菌叢でわかる健康力~」をテーマに、住宅の「断熱窓」と居住者の「腸内細菌叢(以下、腸内フローラ)」の関係について共同調査を実施。その結果、両者が深く連動している可能性が示唆されました。

これまで別々の領域として扱われてきた「住環境」と「腸内フローラ」の観点を掛け合わせた本プロジェクトは、「住環境の快適性」と「腸内フローラ」などの健康指標の関係解明を目的とした先進的な取り組みです。本件に関する調査の概要、主な成果、および今後の展望について、以下にお知らせいたします。
調査背景
住宅において、冬の暖房時の熱の約5割が窓から逃げ、夏の冷房時には約7割の熱が窓から侵入するなど、最も熱の流出入が大きい場所は「窓」であり、窓の断熱性能は室内の温度変化や快適性に直結しています。
一方で近年の研究により、「腸内フローラ」は食物の消化吸収のみではなく、全身の健康や免疫力に深く関わっていることが明らかになってきました。この腸内フローラは、食事習慣、睡眠・運動習慣といった様々な生活習慣の影響を受け変化することから、腸内フローラの状態は、健康状態を反映するバロメーターの1つと考えることができます。
両社は、断熱改修の価値を従来の「省エネ」、「室温維持」という視点にとどめず、「居住者の体内環境」という新たな付加価値に着目しました。本プロジェクトは、住環境による健康状態を腸内フローラの視点から調査することで、「断熱窓」の新たな価値を創造するとともに、人々の断熱改修への認知度・モチベーションを高めることを目的として調査を実施しました。
調査方法
YKK APの従業員、および腸内フローラ検査「Mykinso(マイキンソー)」を利用した一般生活者(Mykinsoユーザー)を対象に、住環境(断熱窓の有無、断熱性能の体感等)、睡眠、体調に関する独自のアンケートを設計し、計326名分のアンケートデータを収集しました。あわせて、YKK AP従業員を対象にプログラム期間中に「Mykinso」検査を実施し、125名分の腸内フローラデータを取得しました。(調査実施期間:2025年11月から2026年2月)
これらのアンケートデータおよび腸内フローラデータを用いて統計解析を行い、「断熱窓の認知度」、「断熱がもたらす住環境の快適性」、「断熱窓と睡眠の関係」、「断熱窓・睡眠と腸内フローラの関係」について検証しました。
1. 一般生活者(Mykinsoユーザー)における「窓環境への意識」
本調査ではまず、新規に設計した住宅に関する設問(「窓サッシの素材」「窓ガラスの種類」)を通じ、一般生活者(Mykinsoユーザー)の住環境に対する関心度を検証しました。その結果、日々住宅建材に携わるYKK AP従業員と比較して、一般生活者は両設問において「わからない」と回答した割合が高く、日常的な窓枠や仕様に対する意識の低さが窺える結果となりました。
【「わからない」と回答した割合の比較】
窓サッシの素材: 一般生活者 31% / YKK AP従業員: 5%
窓ガラスの種類: 一般生活者 21% / YKK AP従業員: 5%

さらに、2026年7月現在、東京都が実施している断熱窓改修における「補助金の認知度」と「断熱窓と睡眠の関係」に関する設問でも同様に、一般生活者では「知らなかった」と回答した割合が高く、同様に認知度が低いことが判明しました。
【非認知の割合の比較】
断熱窓の補助金非認知度: 一般生活者 64% / YKK AP従業員: 5%
断熱窓と睡眠の関係の非認知度: 一般生活者 48% / YKK AP従業員: 19%

これらの結果から、住環境や具体的な支援制度への理解・関心はまだ薄い現状が明らかになりました。今後はこれら「住環境への意識の低さ」や「断熱改修における認知度」という問題点を改善し、住環境や断熱性能に対する社会的な関心を高めていくことが課題と考えられます。
2. 断熱窓がもたらす住宅の快適性
本調査において、自宅の断熱性能や室内環境に関する主観評価と断熱窓の有無を分析することで、断熱窓と住まいの快適性の関連性を調査しました。
具体的には、「自宅の断熱性能の主観評価」が高い層、および「冬場における部屋間(寝室・リビング・廊下など)の温度差が気にならない」と回答した層のいずれにおいても、自宅に「断熱窓(複層ガラスや樹脂サッシなど)」を設置している方の割合が高いことが分かりました。

これらの結果から、断熱窓の設置は、製品の仕様や設計上の数値にとどまらず、住居内の温度差を低減させるなど、居住者が日々の生活の中で実感できる「体感としての断熱効果」が非常に高いことが示唆されました。
3. 断熱窓による室温の安定化がもたらす睡眠への影響
本調査において、睡眠時の室内環境に関する項目を調査したところ、断熱窓の設置が睡眠の質や快適性に多角的な好影響を与えていることが明らかになりました。
具体的には、「断熱窓がある」と回答した居住者は、「ない」と回答した居住者に比べ、「冬場に寝室が寒くて寝付きにくい」、「夏場に寝室が夜遅くまで熱を持っていて寝苦しい」と感じる割合が低いことが分かりました。これらの結果から、断熱窓は季節を問わず、冬の寒さと夏の暑さの両方に対して高い効果を発揮し、就寝時の適切な温度環境の維持に貢献していることが窺えます。

さらに、断熱窓がある環境では「自身の体感として、理想の就寝温度に調整できている」と回答した方の割合が高く、「睡眠全体の評価」においても良いと回答した割合が高いことが判明しました。

これらの結果から、断熱窓の設置は単に室温を安定させるだけでなく、居住者が体感として理想の就寝環境をコントロールしやすくなり、結果として包括的な睡眠の質の改善に寄与していると考えられます。
4. 断熱窓の有無および睡眠の質と腸内フローラの関係
最後に、住環境(断熱窓の有無)と睡眠の質が、居住者の腸内フローラに与える影響を分析したところ、両方の比較において共通して「ラクノクロストリジウム属」と「アドレクルーツィア属」(※2)という2つの菌の存在量(腸内フローラ内の割合)に統計的な差異が確認されました。
具体的な菌の動向として、ラクノクロストリジウム属は、自宅に「断熱窓がある」と回答した居住者、および主観的な睡眠の質が「良い」グループにおいて多く存在する傾向が見られました。一方、アドレクルーツィア属の存在量についてはその逆の挙動を示しており、「断熱窓がない」居住者、および睡眠の質が「悪い」グループにおいて多く存在していることが分かりました。

住環境の仕様と日々の睡眠の質という異なる要素が、腸内細菌の増減において一致した挙動を示したことは、両者が深く連動している可能性を示唆しています。この結果は、住宅を断熱窓に改修することが睡眠の質を向上させ、それが腸内環境における特定の菌の良好なバランスへとつながっているという可能性を示しています。(「断熱窓」のうち、「二重窓」を菌の存在量解析に使用)
5. 今後の展望
今回の共同調査により、住宅の断熱性能と快適感の関係への認知度の問題および、住環境の断熱性能と特定の腸内細菌の関係性がある可能性が示唆されました。「家を温かく保つこと」が体内環境の安定、ひいてはウェルビーイング(Well-being)に寄与している可能性を示す一歩となりました。
本調査は「相関関係」を探索した初期的な位置づけであるため、両社は次のステップとして、実際に住宅へ断熱窓を取り付けることによる腸内細菌への直接的な効果を明らかにする介入調査の実施や住環境と腸内環境の双方を改善、向上を目指した事業化等を検討してまいります。今後も、「断熱窓」の新たな価値を創造するとともに、人々の断熱改修への認知度・モチベーションを高めることで、脱炭素社会への貢献と、人々が健やかに暮らせる健康長寿社会の実現を同時に叶える新しい住宅価値の提案を行ってまいります。
※1:「断熱改修アクセラレータ」プログラムについて
東京都が推進する、断熱窓の普及と新サービス創出を目指す官民連携プログラム。本共同調査は、YKK APとサイキンソーが「断熱改修で家族の健康力UP ~腸内細菌叢でわかる健康力~」テーマに掲げ参画したものです。効率(タイパ・コスパ)が重視される現代において、自宅の快適性と居住者の健康データ(腸内フローラ)の相関を解析し、『QOLの常識を窓から変える』ことに挑戦。住環境を整える大切さと「暮らしの心地よさ」という新たな価値の発信を目指しています。
※2:「ラクノクロストリジウム属」と「アドレクルーツィア属」について
ラクノクロストリジウム属:腸内において「酪酸」を作り出す能力を持つ「酪酸産生菌」のグループの一つです。日本人の95%以上が保有しているとされており、多くの人の腸内に広く定着している一般的な常在菌として知られています。
アドレクルーツィア属:大豆などに含まれる成分を代謝し、「エクオール」を作り出す「エクオール産生菌」のグループの一つです。日本人における保有率は約半数(2人に1人)にとどまっており、個人によって腸内での保有状況が大きく分かれる細菌です。
断熱窓改修について
YKK APは、住宅の高断熱化を通じた健康・快適な住環境づくりを推進しています。断熱窓への改修は、内窓「ウチリモ」設置の場合1窓あたり約60分、窓交換「マドリモ」の場合約半日で実施できます。住まいの中で一番熱の出入りが大きい窓を改修することで、「夏涼しく冬暖かい」快適な空間をつくり、ヒートショック等の健康リスクを低減するほか、光熱費削減、CO2削減(環境負荷低減)にも貢献します。
腸内フローラ検査「Mykinso」について
自宅で簡単にできる腸内フローラの検査サービスです。腸内フローラの良し悪しを5段階で評価する「腸内フローラ総合判定」に加え、ビフィズス菌や酪酸産生菌などの有用菌、肥満や⼤腸がんのリスクに関係がある要注意菌など、お腹の状態を10項目で確認できます。加えて、一人ひとりの腸内フローラに合わせた改善のアドバイスをお伝えします。また、全国 1,500 件以上の医療機関で受けられる「マイキンソー プロ(Mykinso Pro)」も展開しています。
・サービスサイト:https://mykinso.com/

会社概要
【株式会社 サイキンソー】
「細菌叢で人々を健康に」を企業理念に掲げ、腸内フローラをはじめとする常在細菌叢と心身の健康・疾患リスクとの関連を解明し、人々の日常に個別最適な解を提供することで、誰もが自然と健康になれる社会を目指しています。その一環として、腸内環境の状態を把握することが健康維持・増進に繋がるとの考えから、自宅で手軽にできる腸内フローラ検査「マイキンソー(Mykinso)」を開発しました。日本人の大規模な菌叢データベースと高度なデータサイエンス技術を活用し、検査サービスの拡張やOEM開発、システム構築支援、匿名加工情報の研究利活用推進など、菌叢データに基づく事業を多角的に展開しています。

・会社名:株式会社サイキンソー
・設立 :2014年11月19日
・所在地:東京都渋谷区代々木1-36 -1 オダカビル2階
・代表者:代表取締役 原 洋介
・主な共同研究先:大阪大学微生物病研究所
【YKK AP株式会社】
YKK APは、「Architectural Products(建築用工業製品)で社会を幸せにする会社。」をパーパスに、安全・快適な住空間を作る「窓」や「ドア」、美しい都市景観をつくる「ビル建材」、アルミの知識や技術を用いた高品質な「アルミ形材(産業製品)」などを提供しています。材料・製造設備・製品までを自社で開発・生産する「一貫生産体制」により、社会課題の解決に貢献する高品質で高性能な建材をグローバルで展開し、持続可能な社会の実現に貢献します。

・会社名:YKK AP株式会社
・設立 :1957年7月22日
・所在地:東京都千代田区神田和泉町1
・代表者:代表取締役社長 魚津 彰
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