障がい学生の就活、約7割が「困難を実感」選択肢の少なさも課題に
障がい学生の就職活動に関する実態調査

レバレジーズ株式会社が運営する障がい者就労支援サービス「ワークリア」( https://worklear.jp/ )は、障がいのある学生の就職活動の実態を明らかにするため、障がい者手帳を所持し※1、新卒での就職活動の経験がある156名を対象に、障がい学生の就職活動に関する実態調査を実施しました。
※1 障がい者手帳申請中も含む
<調査サマリー>
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主な情報源は「ハローワーク」と「学校」、一般化する就活サイトやエージェント活用は約3割に留まる
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応募社数は3社以下が半数に、7割以上が就活に困難を実感
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「一般雇用枠でオープン就労」が約3割、約3人に1人が配慮とキャリアの両立を模索
1.主な情報源は「ハローワーク」と「学校」、一般化する就活サイト・エージェント活用は約3割に留まる結果に
障がい学生が新卒の就職活動において、主に選考を進めた雇用枠は「一般雇用枠(39.7%)」が最も多く、約4割を占めました。
障がいの有無に関わらず、自身の能力を活かせるフィールドでの挑戦を視野に入れる学生が多く見受けられます。一方で、約1割は就職活動の途中で障がい者雇用枠に切り替えており、就職活動を進める中での葛藤や軌道修正の様子がうかがえます。

新卒の就職活動で企業を探す際に利用した手段やサービスを尋ねたところ、最も多かったのは「ハローワーク(46.8%)」となり、約半数を占めました。次いで、「学校の先生の紹介(41.7%)」と続きます。
学生の就職活動全体で主流となってきている「就職サイト」や「エージェント」の活用※2は、障がい学生においては約3割に留まり、情報収集のチャネルが大きく異なっていることが判明しました。

学歴別に見ると、高卒・専門短大卒では「学校の先生の紹介」が最多となりました。障がいのない学生の場合においても、高卒や専門・短大卒の就職活動では、学校に直接届く求人情報や、キャリアセンター・教員を通じた紹介で就職先を決めるケースが一般的であり、それと同様の傾向です。
一方で大卒以上では「エージェントや就職サイト」の活用も一定数活用されているものの、利用率は半数未満にとどまりました。最も多かったのは、「ハローワーク」となり、新卒市場全体と比較すると、障がい学生が活用できている就職情報の範囲が限定的であることが見受けられます。
※2 公益社団法人 全国求人情報協会,2025年7月,『2025年卒学生の就職活動の実態に関する調査』p23
( https://www.zenkyukyo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2025/07/7989bd2a4d53ba30d79ec75a2a6ac3ae.pdf )
調査対象:2025年卒業予定の大学4年生・大学院2年生 1,067名

2.応募は3社以下が半数に、7割以上が就活に困難を実感
応募した企業数については「3社以下(51.3%)」と回答した障がい学生が約半数を占めました。10社以上の企業に応募するケースも多く見られる新卒市場全体と比較すると、障がい学生の就職活動は応募数が限定的であり、活動量に大きな差があることが明らかとなりました。※3
※3 内閣府,2024年12月,『学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査』p66
( https://www5.cao.go.jp/keizai1/gakuseichosa/pdf/20241206_honbun_print.pdf )
調査対象:2024年卒業予定の大学4年生・大学院2年生 5,045名

就職活動を始める前に希望していた職種と、実際に応募した職種は、共に「事務職」が約4割で最多となりました。


こうした状況の中、7割以上の学生が就職活動を「大変だった(73.1%)」と感じています。
具体的な要因として最も多かったのは「自分にあった働き方の探し方(46.8%)」となり、次いで「応募したいと思える求人の少なさ(29.5%)」、「企業の障がいへの配慮に対する情報収集(27.6%)」と続きました。
多くの学生が、面接などの選考プロセスそのものよりも、企業探しの段階で大きな困難を抱えていることがうかがえます。


3.約3人に1人が「一般雇用枠でのオープン就労」を選択、配慮とキャリアの両立を模索
就職活動後の働き方について尋ねたところ、約3割が「一般雇用枠」で障がいを開示して働く「オープン就労」を選択していることがわかりました。これは、障がい者雇用枠や一般雇用枠といった区分そのものよりも、「自身に必要な配慮」と「望むキャリアパス」を両立させようとする、学生の姿勢を反映していると考えられます。
一方で、約2割が障がいを周囲に伝えない「クローズ就労」を選択しており、約1割が正規雇用に至らず、アルバイトや就労移行支援に進む結果となりました。就職活動の出口は多様化している一方で、依然として厳しい現実が存在することも浮き彫りとなりました。

<ワークリア事業部責任者・津留有希子氏からの一言>
今回の調査により、応募企業数が3社以下にとどまる学生が半数を占めていることや、情報収集もハローワークや学校経由が中心となるなど、多くの障がい学生が、現在の新卒市場全体の傾向と比較してキャリア選択の機会を限定されている実態が浮き彫りになりました。
その中でも特に注目すべきは、就活で大変だったことの上位に「応募したいと思える求人の少なさ」と「企業の障がいへの配慮に対する情報収集」がランクインした点です。
障がい者雇用の求人票において「具体的にどのような配慮が受けられるのか」が不明瞭なケースは少なくありません。
自身の障がい特性によりコミュニケーションに不安を抱える障がい学生の場合、面接の場で必要な配慮を自ら的確に質問し、交渉することは非常に大きな困難を伴うことがあります。実際の支援の現場では、「自分に合う配慮が得られるか分からない」という不安から、応募自体を断念してしまうケースは少なくありません。これが、「応募したい求人が少ない」という学生側の感覚に繋がる、一つの要因であると推察されます。
この課題を解決するため、企業側はまず「通院への配慮」「業務指示の方法」「物理的な環境整備」など、自社で提供できる配慮の内容を、求人票の段階で具体的に明記することが重要です。もちろん、初めて障がい者雇用を受け入れる企業にとっては、何から書けばよいか分からず、記載が難しいケースもあるかもしれません。その場合は、ハローワークなどの公的機関、あるいは専門知識を持つ第三者に相談してみることも有効な手段です。
こうした情報開示への一歩こそが、学生の不安を取り除き、企業と学生双方にとってのより良いマッチング機会を創出する第一歩となるでしょう。
◆津留有希子氏・プロフィール
中途採用事業本部 ワークリア事業責任者
立教大学コミュニティ福祉学部(社会福祉士取得)卒業後、2020年レバレジーズ新卒入社。若年層領域に特化したハタラクティブの法人営業に従事し、2年目には名古屋支店の拠点長を歴任。同年に全社のベストセールス賞を受賞。
2023年よりワークリア事業部サービス責任者に。就任後2年間で組織を180%拡大、従業員定着率90.7%を達成。

<調査概要>
調査対象:障がい者手帳を所持する※1新卒での就職活動の経験がある、20~34歳の男女156名(※1 障がい者手帳申請中の方も含みます)
調査年月:2025年9月26日~30日
調査方法:インターネット調査
回答者数:156名
調査主体:レバレジーズ株式会社
実査委託先:GMOリサーチ&AI株式会社
ワークリア( https://worklear.jp/ )
ワークリアは、世の中の障がい者雇用を活性化することを目指す、就労支援サービスです。
未経験・就業経験の少ない精神発達障がい者を中心に自社で雇用し、120種類を超える業務を提供しながら一人ひとりの「可能性」を最大限に引き出す体制を整えています。組織規模は直近2年で180%に拡大しながらも定着率は90%超えを達成。この独自のノウハウを活かし、障がいのある方と雇用する企業双方の負担を軽減するサテライトオフィスの運営や就職支援も行い、持続可能な就労をサポートしています。
レバレジーズ株式会社( https://leverages.jp/ )
本店所在地 : 東京都渋谷区渋谷二丁目24番12号 渋谷スクランブルスクエア24階 /25階
代表取締役: 岩槻 知秀
資本金 : 5,000万円
設立 : 2005年4月
事業内容 : 自社メディア事業、人材関連事業、システムエンジニアリング事業、システムコンサルティング事業、M&Aアドバイザリー事業、DX事業、メディカル関連事業、教育関連事業
社会の課題を解決し関係者全員の幸福を追求し続けることをミッションに、インターネットメディア・人材・システムエンジニアリング・M&Aの領域で国や業界をまたいだ問題解決を行なっています。2005年に創業以来、黒字経営を継続し、2024年度は年商1428億を突破しました。各分野のスペシャリストが集うオールインハウスの組織構成と、業界を絞らないポートフォリオ経営で、時代を代表するグローバル企業を目指します。
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