OKI、次世代AIデータセンターを支える1.6Tbpsクラス高速伝送PCBの「高周波ビア高精度シミュレーション技術」を開発
高周波化により顕在化する多層PCBのビア特性制御を、自社製造プロセスを考慮したシミュレーションベース設計により実現し開発期間を短縮
OKIグループのプリント配線板(PCB)事業会社であるOKIサーキットテクノロジー(社長:鈴木 正也、本社:山形県鶴岡市、以下OTC)は、次世代AIデータセンターを支える1.6Tbpsクラス高速伝送PCBの高精度なビア(注1)特性制御を実現する「高周波ビア高精度シミュレーション技術」の開発に成功しました。新技術の活用で、高周波・高密度化により顕在化する多層PCBのビア特性を制御し、お客様の高速伝送PCBの開発と量産立上の期間短縮に貢献します。
生成AIシステムの急激な普及・進化によりAI半導体やAIサーバー、データセンターの大容量化・高速化が進んでいます。これらの機器に実装されるPCBでは、多層化・構造の複雑化(注2)が進んでおり、高速伝送を阻害する伝送損失や信号反射の低減への対策が重要になっています。特に多層PCBの層間を電気的に接続するビアに関しては、高速伝送で使用される高周波信号が変化する構造的な変化点となっており、信号の反射を抑えるビアの特性インピーダンス(注3)制御が重要な要素技術のひとつとなっています。

このため、高周波用途のPCB開発では、最終的な信号品質を設計段階で検証するSIシミュレーション(注4)で用いる、高精度なビアモデルが不可欠となっています。一方で、基本周波数(注5)が50GHzを超える高周波帯域になると、従来のモデリング手法(注6)では、製造プロセスやばらつきが起因となる影響や高周波領域での物性値(注7)を正確に表現することが困難で、実際の特性(実測結果)と相関のとれたシミュレーション結果を得ることが難しく、大きな課題となっていました。


OTCでは、これらの課題を解決するために、複雑化する高周波ビアの特性を考慮した「高周波ビア高精度シミュレーション技術」の開発に成功しました。具体的にはPCB製造前段階に、新技術のシミュレーション結果に基づきビアの構造・寸法・製造マージンを自社工場の製造ラインに合わせて総合的に検証・最適化し、信号品質の要求を満たす最適条件を抽出します。自社で長年蓄積してきた評価データをもとに、仕上り寸法や製造ばらつき、材料物性値などのパラメータを独自データベースとして構築しており、3次元電磁界解析ツールを活用した高精度なビアモデリングを可能とし、実機における確実な信号特性の確保を実現しました。
なお、OTCは、2025年11月20日から11月22日までヒルトン福岡シーホークで開催されるアジア唯一の半導体ウエハのカンファレンス「SWTest Asia 2025」(ブース番号:512)に出展します。
用語解説
注1:ビア(VIA HOLE)
多層PCBの層間を電気的に接続する穴。
注2:ビア構造の複雑化
一般的な一括積層で製造したPCBの表裏を接続する貫通ビアに加え、表層から内層の一部のみへ接続する非貫通ビア、1層ずつ積層しながら積上げるビルドアップなど構造が多様化。
注3:インピーダンス
交流回路での電圧と電流の比をインピーダンスといい、インピーダンスの大きさは、交流回路の電流の流れにくさを表す。インピーダンスが大きいほど回路に流れる電流は小さくなり、インピーダンスが小さいほど回路に流れる電流は大きくなる。
注4:SIシミュレーション
Signal Integrity;信号品質を確保するためのシミュレーション。
注5:基本周波数
デジタル信号は、基本となる周波数の奇数整数倍の周波数成分である高調波が複数重なって構成される。
注6:従来のモデリング手法
物理的な寸法や電気特性を表現する比誘電率や誘電正接などのパラメータを、材料メーカーなどが公開している公称値で表現する方法
注7:物性値
シミュレーションにおける、PCBの基材、銅箔などの電気的な特性を表現するパラメータ。基材の比誘電率、誘電正接や導体の表面ラフネスなど。
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