【研究情報】EMILIN(エミリン)‐1の産生と分解に関わる成分を発見!シワ対策に大きな期待
エラスチンの構造維持には“分解させない”ことが重要
株式会社ファンケルは、加齢によるエラスチン線維の変化に着目してさまざまなエラスチンについての研究を進めています。今までに、シワ部位ではエラスチン線維の構造が変化していること、エラスチン線維の構造維持には構成タンパクの一つであるEMILIN‐1(1)が重要であること、を報告しています(※)。
さらに、エラスチン線維は再生されにくいことから、構造を維持するには‟分解させない”ことが重要と考え、タンパク分解酵素の一つカテプシンK(2)が、EMILIN‐1とエラスチン線維に影響を与えること「ホエイエキス(3)」が、分解酵素カテプシンKを減少させてEMILIN‐1を増やすことを発見しましたのでお知らせいたします。なお、本研究内容は、第31回 IFSCC Yokohama congress 2020(2020年10月21日~30日)、および第26回 IFSCC Mexico conference 2021(2021年10月18日~28日、オンライン開催)にて発表しました。
さらに、エラスチン線維は再生されにくいことから、構造を維持するには‟分解させない”ことが重要と考え、タンパク分解酵素の一つカテプシンK(2)が、EMILIN‐1とエラスチン線維に影響を与えること「ホエイエキス(3)」が、分解酵素カテプシンKを減少させてEMILIN‐1を増やすことを発見しましたのでお知らせいたします。なお、本研究内容は、第31回 IFSCC Yokohama congress 2020(2020年10月21日~30日)、および第26回 IFSCC Mexico conference 2021(2021年10月18日~28日、オンライン開催)にて発表しました。
<研究方法と結果>
【エラスチン線維構造の変化にはカテプシンKが関与】
皮膚組織(4)のエラスチン線維から独自の三次元構造解析手法(5)で得られたエラスチン線維構造のパラメーターと、皮膚細胞から得られた約2,700種のタンパク質発現量の解析により、カテプシンKがエラスチン線維の長さと関係することが分かりました(図1)。これにより、カテプシンKがエラスチン線維構造の変化に重要な役割を果たしている可能性が示唆されました。
次に加齢によるEMILIN‐1とカテプシンKの発現による変化を確認しました。老齢の皮膚組織では、若齢の皮膚組織と比較してEMILIN‐1は減少し、カテプシンKは増加することが分かりました(図2)。
また、カテプシンKは分解酵素の一種であり、EMILIN‐1とカテプシンKの加齢による変化が相反していることから、カテプシンKがEMILIN‐1を分解する可能性が考えられました。
そこで、EMILIN‐1にカテプシンKを添加して線維の状態を確認した結果、分解されていることが明らかになりました(図3)。
エラスチン線維の構造維持には、前述どおりEMILIN‐1が重要で、分解させずに増やす必要があります。そこで、培養線維芽細胞を用いてEMILIN‐1を増やす化粧品素材を探索した結果、「ホエイエキス」がEMILIN‐1のタンパク質発現量を増やすことが分かりました。さらに「ホエイエキス」は、EMILIN‐1の分解酵素カテプシンKの発現量を減少させることも分かりました(図4)。
以上の結果より、①エラスチン線維の構造変化に重要なEMILIN‐1の分解にはカテプシンKが関与、②そのカテプシンKの発現減少とEMILIN‐1の発現増加に「ホエイエキス」が有効の2点を確認しました。エラスチン線維の構造変化は、加齢によるシワやたるみに大きく影響します。良い状態で構造維持することがシワやたるみの対策になることから、「ホエイエキス」には今後大きく期待できると考えます。
当社ではこれまでに、透明化した皮膚組織を三次元的に構造解析し、加齢に伴うエラスチン線維の構造が太く、短く、曲がってしまい、その変化にEMILIN‐1が関わっているということを報告してきました。しかし、EMILIN‐1が加齢で減少し、エラスチン線維の構造が変化してしまう原因やメカニズムは解明できておりませんでした。
今回エラスチン線維構造に重要なEMILIN‐1の変化する原因を明らかにし、改善方法の探索を目的としました。
<本研究成果による製品開発>
本研究で得られた成果は、これまでの行ってきた肌本来の機能を高めるエラスチン研究の新たな知見とし、製品化に応用していきます。今後もさらに研究を進め、新しいコンセプトであるエラスチンの質を高めるアンチエイジングの化粧品開発に努めてまいります。
(※)参考資料
https://www.fancl.jp/news/pdf/20191129_hifunotoumeikakijutsuemilin1.pdf
https://www.fancl.jp/news/pdf/20210929_shiwabuinoerasuchin.pdf
【用語説明】
(1)EMILIN(Elastin Microfibril Interface-located protein)‐1
弾性線維を構成するフィブリリンとトロポエラスチンの間に存在し、接着の役割を持つタンパク質。
(2)カテプシンK
システインプロテアーゼの一種。骨のコラーゲンを分解することが知られている。
(3)ホエイエキス
乳酸菌から得られた発酵物を調整した水溶液。アミノ酸や糖を含んでいる。
(4)皮膚組織
本研究は、ヘルシンキ宣言の倫理的原則に基づき、北里大学および株式会社ファンケルの倫理委員会で承認を受け、倫理的配慮のもとに入手した皮膚組織を用いて行っている。
(5)三次元構造解析手法
組織の透明化により、3次元的に撮影した画像を画像処理や画像演算で形状の各パラメータを計測する方法。
【エラスチン線維構造の変化にはカテプシンKが関与】
皮膚組織(4)のエラスチン線維から独自の三次元構造解析手法(5)で得られたエラスチン線維構造のパラメーターと、皮膚細胞から得られた約2,700種のタンパク質発現量の解析により、カテプシンKがエラスチン線維の長さと関係することが分かりました(図1)。これにより、カテプシンKがエラスチン線維構造の変化に重要な役割を果たしている可能性が示唆されました。
【カテプシンKはEMILIN‐1を分解する】
次に加齢によるEMILIN‐1とカテプシンKの発現による変化を確認しました。老齢の皮膚組織では、若齢の皮膚組織と比較してEMILIN‐1は減少し、カテプシンKは増加することが分かりました(図2)。
また、カテプシンKは分解酵素の一種であり、EMILIN‐1とカテプシンKの加齢による変化が相反していることから、カテプシンKがEMILIN‐1を分解する可能性が考えられました。
そこで、EMILIN‐1にカテプシンKを添加して線維の状態を確認した結果、分解されていることが明らかになりました(図3)。
【EMILIN‐1を増やしてカテプシンKを減らす化粧品素材「ホエイエキス」】
エラスチン線維の構造維持には、前述どおりEMILIN‐1が重要で、分解させずに増やす必要があります。そこで、培養線維芽細胞を用いてEMILIN‐1を増やす化粧品素材を探索した結果、「ホエイエキス」がEMILIN‐1のタンパク質発現量を増やすことが分かりました。さらに「ホエイエキス」は、EMILIN‐1の分解酵素カテプシンKの発現量を減少させることも分かりました(図4)。
以上の結果より、①エラスチン線維の構造変化に重要なEMILIN‐1の分解にはカテプシンKが関与、②そのカテプシンKの発現減少とEMILIN‐1の発現増加に「ホエイエキス」が有効の2点を確認しました。エラスチン線維の構造変化は、加齢によるシワやたるみに大きく影響します。良い状態で構造維持することがシワやたるみの対策になることから、「ホエイエキス」には今後大きく期待できると考えます。
<研究背景・目的>
当社ではこれまでに、透明化した皮膚組織を三次元的に構造解析し、加齢に伴うエラスチン線維の構造が太く、短く、曲がってしまい、その変化にEMILIN‐1が関わっているということを報告してきました。しかし、EMILIN‐1が加齢で減少し、エラスチン線維の構造が変化してしまう原因やメカニズムは解明できておりませんでした。
今回エラスチン線維構造に重要なEMILIN‐1の変化する原因を明らかにし、改善方法の探索を目的としました。
<本研究成果による製品開発>
本研究で得られた成果は、これまでの行ってきた肌本来の機能を高めるエラスチン研究の新たな知見とし、製品化に応用していきます。今後もさらに研究を進め、新しいコンセプトであるエラスチンの質を高めるアンチエイジングの化粧品開発に努めてまいります。
(※)参考資料
https://www.fancl.jp/news/pdf/20191129_hifunotoumeikakijutsuemilin1.pdf
https://www.fancl.jp/news/pdf/20210929_shiwabuinoerasuchin.pdf
【用語説明】
(1)EMILIN(Elastin Microfibril Interface-located protein)‐1
弾性線維を構成するフィブリリンとトロポエラスチンの間に存在し、接着の役割を持つタンパク質。
(2)カテプシンK
システインプロテアーゼの一種。骨のコラーゲンを分解することが知られている。
(3)ホエイエキス
乳酸菌から得られた発酵物を調整した水溶液。アミノ酸や糖を含んでいる。
(4)皮膚組織
本研究は、ヘルシンキ宣言の倫理的原則に基づき、北里大学および株式会社ファンケルの倫理委員会で承認を受け、倫理的配慮のもとに入手した皮膚組織を用いて行っている。
(5)三次元構造解析手法
組織の透明化により、3次元的に撮影した画像を画像処理や画像演算で形状の各パラメータを計測する方法。
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