脱アルミを可能にするPTP用のプラスチックフィルムを開発
医薬品向けにバリア性能を付与し、国内市場に適した印刷を実現
大日本印刷株式会社(DNP)は、PTP(Press Through Package)*1のアルミ箔をPTP用シートと同じ材質のポリプロピレン(PP)に置き換え可能で、バリア性能を付与したPTP用PPフィルムを開発しました。
これまでは、PTPをリサイクルする際に、PTP用シートとアルミ箔を分離する工程が必要でした。PTP用PPシートと今回開発したPPフィルムを組み合わせてモノマテリアルのパッケージにすることで生活者の利便性を確保し、印刷適性や密封性を兼ね備えることで日本の医薬品市場での要求も実現します。


【開発の背景】
欧州連合(EU)が2025年2月に包装・包装廃棄物規則(Packaging and Packaging Waste Regulation:PPWR)を発効したことを受けて、モノマテリアル包材の導入に向けた動きが加速しています。持続可能な社会の実現を目指すこのような潮流に対して、医薬品メーカーなどもリサイクル可能な包材の導入の検討を進めています。このようなニーズに対してDNPは、バリア性能を付与したPTP用PPフィルムを開発し、PTP用PPシートと組み合わせることでモノマテリアル包材を実現することができます。
【PTP用PPフィルムの特長】
1.バリア性能とリサイクル性を両立
従来のPTP用PPフィルムは、アルミ箔と同様に製剤を押し出しやすい特殊な加工を施していることで、水蒸気などのバリア性能を付与することが困難でした。この課題に対してDNPは今回、独自のコンバーティング(材料加工)技術を活用し、バリア性能を高め、水蒸気透過度*2 0.2g/m2・day以下*3を実現しました。アルミ箔を使用することなく、透明材料の薄膜層で構成することでリサイクル性も高めています。
2.日本の医薬品市場で求められる印刷適性や密封性を実現
従来のPTP用PPフィルムは、アルミ箔と比べて耐熱性が低く、熱による伸縮が大きいため、必要な情報を記載するための印刷適性や製剤を保護するためのPTP用シートとの密封性に課題がありました。今回DNPは、材料や加工条件の工夫によって、国内のさまざまな規格基準に対応できる印刷適性と印刷後に必要な密封性を担保できるPTP用PPフィルムを開発しました。
3. 透明性と吸湿性を兼ね備えたシートとの組み合わせで製剤の品質を保持
製剤などの流通・販売時に水分・湿気による品質低下を防ぐ「医薬品包装向けPTP用樹脂シート」*4と、今回開発したPTP用PPフィルムを組み合わせることで、水蒸気に対するバリア性能をさらに高めます。これにより湿気に弱い製剤でも長期間の品質保持を図ることができます。

【今後の展開】
DNPは、本製品を医薬品メーカー向けに提供し、2030年度までに累計10億円の売上を目指します。また、2025年6月に開発した「医薬品包装向けPTP用樹脂シート」とともに本製品のサンプルを提供します。なお、DNPは、2025年7月9日(水)~11日(金)に東京ビッグサイト西ホール4階で開催される「第27回インターフェックス ジャパン[医薬品][化粧品]製造展」のDNPブース(W3-20)で本製品を紹介します。
*1 PTP → 薬を包装する方法の一つで、錠剤やカプセルをプラスチックとアルミ箔で挟んだシート状のもの。プラスチック部分を強く押すことでアルミ箔が破け、中の薬を1錠ずつ取り出せる。
*2 水蒸気透過度→ Water Vapor Transmission Rate(WVTR)。フィルムの物性値で、1m2のフィルムを1日で通過する水蒸気の量。
*3 保証値ではなく開発品の実測値
*4 医薬品包装向けPTP用樹脂シート → https://www.dnp.co.jp/news/detail/20176872_1587.html
※記載されている会社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。
※記載内容は発表日現在のものです。今後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
※PTP用PPフィルムに関するお問い合わせ → https://biz.mkt.global.dnp.co.jp/l/819623/2025-05-19/5zxmy5
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