【国立新美術館】「シンポジウム:日本の現代美術の変遷—1989 年を起点として」国際シンポジウムを開催

日本現代美術を国際的な視点でとらえてきたM+のキュレーター2名および研究者、キャシー・ハルブライヒ(米国)、神谷幸江(米国)、ピー・リー(香港)登壇!

文化庁

2025年秋 、国立新美術館とM+(香港)との共同企画による展覧会「日本の現代美術1989-2010(仮称)」が、国立新美術館主催、M+共催として、国立新美術館を会場に開催されます。2024年11月8日(金)、1990年代および2000年代の日本現代美術を国際的な視点でとらえてきたキュレーターおよび研究者であるキャシー・ハルブライヒ(米国)、神谷幸江(米国)、ピー・リー(香港)の3 名の専門家を招き、シンポジウムを開催いたします。本シンポジウムにおいて、この約20年間における日本の現代美術が国際的なコンテキストにおいてどのようにとらえられてきたのか、各登壇者の証言とともに、議論を深める契機となるでしょう。

登壇者

  • キャシー・ハルブライヒ Kathy Halbreich [インディペンデント・キュレーター、フィランソロピー・アドバイザー、元ロバート・ラウシェンバーグ財団エクゼクティブ・ディレクター、元ニューヨーク近代美術館MoMA 初代アソシエイト・ディレクター]

  • 神谷幸江(かみや・ゆきえ)[美術評論家、インディペンデント・キュレーター]

  • 皮力(ピー・リー ) Pi Li[大館当代美術館 アート部門長]

  • ドリアン・チョン Doryun Chong[M+ アーティスティック・ディレクター、チーフ・キュレーター]

  • イザベラ・タム Isabella Tam[M+ キュレーター(ビジュアル・アート部門)]

  • 尹志慧(ゆん・じへ)[国立新美術館 特定研究員]

キャシー・ハルブライヒ Kathy Halbreich

インディペンデント・キュレーター、フィランソロピー・アドバイザー。
ミネアポリスのウォーカー・アート・センターのディレクター(1991–2007年)、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の初代アソシエイト・ディレクター(2008–2016年)を歴任し、ジグマー・ポルケ(2014年)および、ブルース・ナウマン(2018年)の回顧展を企画するとともに、新たなグローバル・リサーチ・プログラムを開始した。2017年にはロバート・ラウシェンバーグ財団のエグゼクティブ・ディレクターに就任し、楽しく熱心で常識にとらわれないラウシェンバーグ自身の作品制作へのアプローチを反映した学術的・慈善的なプログラムを展開。展覧会、学術機関との提携、レジデンス・プログラムなどラウシェンバーグのキャリアをより広い解釈へと開く取り組み、2025年の作家生誕100周年を記念して刊行するカタログ・レゾネの制作のほか、創造的な活動を行う人々や社会的不平等の影響を受けている人々の心身の健康を促進するための助成金授与を監督する組織である匿名の現役アーティストによる「アーティスト・カウンシル」を設立した。

神谷幸江(かみや・ゆきえ)

ジャパン・ソサエティー(ニューヨーク)ギャラリー・ディレクター、広島市現代美術館学芸担当課長、ニューミュージアム(ニューヨーク)アソシエイト・キュレーターを歴任。第12回上海ビエンナーレ(2018-2019)共同キュレーター。国内外で日本人作家個展やアジアと他地域、異分野を横断する展覧会を企画。共同キュレーションに「荒野のラジカリズム:グローバル1960年代の日本の現代美術作家たち」(ジャパン・ソサエティー、2019)、「ふぞろいなハーモニー:アジアという想像力についての批評的考察」(アジア4都市巡回、2015‒18)、「Re:Quest─1970年代以降の日本現代美術」(国立ソウル大学美術館、2013)などのグループ展がある。西洋美術振興財団学術賞を受賞(2011)。国立アートリサーチセンター専門委員、AICA(美術評論家連盟)会員、Shigeko Kubota Video Art財団(SKVAF)アドバイザー。共著に『Ravaged –Art and Culture in Times of Conflict』(Mercatorfonds/2014)、『California-Pacific Triennial』(Orange County Museum、2013)『Creamier –Contemporary Art in Culture』(Phaidon/2010)などがある。

Photo by Ben Warren

皮力(ピー・リー ) Pi Li

大舘当代美術館(香港)アート部門長。元M+(香港)シグコレクション・シニア・キュレーター、学芸部長。2001-12年には中央美術学院(CAFA)の美術管理部門の副エグゼクティブ・ディレクター、2005-12年にはUniversal Studios-Beijing(後のBoers-Li Gallery)の共同設立者兼ディレクターを務めた。

キュレーションした展覧会に「Right Is Wrong: Four Decades of Chinese Art in M+ Sigg Collection」ウィットワース・ギャラリー(マンチェスター、2015年)ビルド・ムセアット(ウーメオ、スウェーデン、2014年)、「Moist: MAAP in Beijing 2002」中華世紀壇(北京、2002年)、「Fantasia」space imA(ソウル、2001年)東方現代アートセンター(北京、2002年)、「Image Is Power」何香凝美術館(深圳、2002年)などがある。

2002年には東京オペラシティアートギャラリーで開催された「アンダー・コンストラクション」、2006年には「メディアシティソウル」のキュレーターを務めた。2002年の上海ビエンナーレ、2003年のポンピドゥー・センター(パリ)での「Allors, la Chine ?」でもキュレーターを務めた。主な著書に『Action to Concept』(2015年)、『Farewell to Moralism』(2018年)、『M+ Sigg Collection: Four Decades of Chinese Art』(2021年)、『Madame Song: A Life in Art and Fashion』(2023年)がある。中央美術学院博士課程修了(美術史)。

ドリアン・チョン Doryun Chong

M+(香港)のアーティスティック・ディレクター、チーフ・キュレーター。

2013年にM+香港の初代チーフ・キュレーターに就任。2016年から2024年9月まで、副館長(キュラトリアル部門)を兼任。10年以上にわたり、M+の3つの主分野であるデザインと建築、映像、視覚芸術や、香港の視覚文化をテーマに、コレクション、展覧会、教育普及プログラム、出版物、デジタルコンテンツなど、M+のすべてのキュレーション活動とプログラムを監督している。2021年11月のM+開館に至るまで、またそれ以降も、M+コレクションを大きく成長させるとともに、同館での展覧会のキュレーションや教育プログラム実践を指揮し、香港に根差したアジア独自の視点をもって、20世紀および21世紀の視覚文化における国や文化を越える物語を前景化させている。

西九龍文化地区の芸術公園(アート・パーク)内M+パビリオンで開催された「Noguchi for Danh Vo: Counterpoint」 (2018)をはじめ、M+開館までに20以上の展覧会を企画・監督。2015年から2024年まで5回に渡る香港のヴェネツィア・ビエンナーレ参加における企画指揮を支援し、香港の新世代のアーティストやキュレーターに国際的な舞台での活躍の機会を提供した。吉竹美香との共同キュレーションによる「Yayoi Kusama: 1945 to Now」は、草間彌生のこれまでで最も包括的な回顧展であり、2022年11月にM+で開催され、批評家のみならず多くの観客からの好評を博した。同展は、2023年にはビルバオのグッゲンハイム美術館に巡回し、同美術館史上最も来場者の多い展覧会のひとつとなり、さらに2024年にはポルトガルのポルトにあるセラルヴェス美術館に巡回した。2025年3月にM+にて開催される同館とパリ国立ピカソ美術館の共催による展覧会「Picasso for Asia: A Conversation」の共同キュレーターも務める。

M+以前は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)(2009–2013年)、ミネアポリスのウォーカー・アート・センター(2003–2009年)、サンフランシスコのアジア美術館(1999–2000年)に勤務。工藤哲巳(2008)、ホァン・ヨン・ピン(黄永砯)(2005)などの大回顧展や、戦後日本美術の総括として「Tokyo 1955–1970: A New Avant-Garde」(2012年)などの歴史的に重要な展覧会を企画。このほか、アジア、北米、ヨーロッパにおいて、出版やレクチャーなどの幅広い活動とともに、数多くの賞の審査員やシンポジウム等でのパネリストを務めている。現在ミュンヘンのハウス・デア・クンストにおけるサウンディング・ボードの一員である。

カルフォルニア大学バークレー校において、学士号と美術史の博士号を取得。

Doryun Chong, Deputy Director, Curatorial and Chief Curator, with Dots Obsession—Aspiring to Heaven’s Love (2022) at Yayoi Kusama: 1945 to Now, 2022 © YAYOI KUSAMA Photo: Dan Leung. Image courtesy of M+, Hong Kong

イザベラ・タム Isabella Tam

イザベラ・タムは視覚文化を扱う美術館であるM+香港のビジュアル・アート部門キュレーター。専門はアジアのコンテンポラリー・アートで、特にグローバルな現代の言説における中国美術、日本美術、写真の並行的発展や交流に研究の重点を置いている。同美術館開館に向けてアジア現代美術の第一級のコレクションの構築とともに、オープン記念の展示企画を作るチームの一員として活動。企画・担当した展覧会に、「Right Is Wrong: Four Decades of Chinese Art in M+ Sigg Collection」(ビルド・ムセアット、ウーメオ―、2014年、ウィットワース・ギャラリー、マンチェスター、2015年)、 「M+ Sigg Collection: From Revolution to Globalisation」(2021-2023年)、「Sigg Prize 2023」(2023年)、また、大規模な個展として「Yayoi Kusama: 1945 to Now」(2022年)がある。2024年12月に開幕する「Yasumasa Morimura & Cindy Sherman: Masquerades」のキュレーターも務める。 2023年にはトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)のキュレーター招聘プログラムに参加。2011年にはロンドンのホワイトチャペル・ギャラリーでキュラトリアル・フェローとして滞在。また、Three Shadows Photography Awards(三影堂摄影奖) 2024とソニーワールドフォトグラフィーアワード 2025の国際審査員も務める。

尹志慧(ゆん・じへ)

国立新美術館特定研究員。国立国際美術館(2015-19年)、芦屋市立美術博物館(2020-21年)を経て現職。「遠距離現在 Universal / Remote」展(2023-24年、熊本市現代美術館、国立新美術館、広島市現代美術館)を企画。携わった展覧会に、「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」(2022年、国立新美術館)、「芦屋の時間 大コレクション展」(2020年、芦屋市立美術博物館)、「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime」(2019年、国立国際美術館)など。

プログラム内容

  1. ご挨拶:逢坂惠理子[国立新美術館長]

  2. ご挨拶・展覧会概要:ドリアン・チョン[M+アーティスティック・ディレクター、チーフ・キュレーター]

  3. 基調講演:キャシー・ハルブライヒ[インディペンデント・キュレーター、フィランソロピー・アドバイザー、元ロバート・ラウシェンバーグ財団エクゼクティブ・ディレクター、元ニューヨーク近代美術館MoMA初代アソシエイト・ディレクター]

  4. プレゼンテーション1:神谷幸江[美術評論家、インディペンデント・キュレーター]

  5. プレゼンテーション2:皮力(ピー・リー)[大館当代美術館 アート部門長]

  6. 展覧会におけるリサーチプロセス:イザベラ・タム[M+キュレーター(ビジュアル・アート部門)、尹志慧(国立新美術館特定研究員)]

  7. ラウンドテーブル

  8. Q&A

  9. 終わりの挨拶

開催概要

シンポジウム:日本の現代美術の変遷ー1989年を起点として

開催日:2024年11月8日(金)

時間:15:00~18:00(14:30開場)(途中15分間の休憩をはさみます)

会場:国立新美術館 3階 講堂

対象:どなたでも

参加方法:当日11時より1階・中央インフォメーションにて整理券を配布いたします。

定員:200名

料金:無料

主催:国立新美術館、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁

企画協力:M+

協力:アートウィーク東京

WEBページ:https://www.nact.jp/event/2024/005795.html

 

日本の現代美術と世界 1989‒2010(仮称)

Reference Image: Tatsuo Miyajima, "Mega Death," 1999 ©Tatsuo Miyajima, ©Estate of Shigeo ANZAÏ, 1999. Courtesy of ANZAÏ Photo Archive, The National Art Center, Tokyo

国立新美術館は、香港の現代美術館 M+(エムプラス)との初めての共同企画により、「日本の現代美術と世界 1989‒2010(仮称)」(2025年9月3日~12月8日)を開催いたします。
本展は1989年から 2010年までの約20年間に焦点をあて、日本の現代美術を振り返るものです。昭和が終わり平成元年を迎えた 1989年と、2011年の東日本大震災という大きな節目に挟まれたこの20年は、冷戦の終結とともにグローバル化が進み、国内外を問わず、政治、経済、文化、市民生活が大きく変化した時代です。
国や地域の枠組みを超えて、国際交流を重ねながら変化してきた日本の現代美術の軌跡をたどる本展は、この時期を象徴する作品と、諸地域で醸成されたアートプロジェクトというふたつの軸が絡みあうように構成され、国内外で活躍してきた日本人アーティストとともに海外のアーティストも取り上げます。本展覧会は、日本の現代美術の姿を、文化的な対話と参加による、多様かつゆるやかなネットワークとして描きだします。これは、日本の現代美術の独自性を強調するという従来の視点とは異なる見かたを提案する試みです。
本展覧会では、変化に満ちたこの時代に、日本の現代美術がいかに歴史的遺産やアイデンティティの多様性といった主題に取り組んできたか、いかに新しいコミュニティの可能性を模索してきたかを紹介します。また、グローバル化が進み始めて最初の20年にあたるこの時期に、日本の美術と視覚文化が世界に与えた影響を考察します。

開催概要

展覧会名:日本の現代美術と世界 1989‒2010(仮称)

英文表記:Japanese Contemporary Art and the World 1989-2010 (working title)

会期:2025年9月3日(水) ~ 2025年12月8日(月)

休館日:毎週火曜日

開館時間:10:00~18:00

※毎週金・土曜日は20:00まで

※入場は閉館の30分前まで

会場:国立新美術館 企画展示室1E

主催:国立新美術館

共催:M+

観覧料:未定

お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

展覧会ホームページ:https://www.nact.jp/exhibition_special/2025/JCAW/

国立新美術館

国立新美術館は、芸術を介した相互理解と共生の視点に立った新しい文化の創造に寄与することを使命に、2007年、独立行政法人国立美術館に属する5番目の施設として開館しました。以来、コレクションを持たない代わりに、人々がさまざまな芸術表現を体験し、学び、多様な価値観を認め合うことができるアートセンターとして活動しています。具体的には、国内最大級の展示スペース(14,000㎡)を生かした多彩な展覧会の開催や、美術に関する情報や資料の収集・公開・提供、さまざまな教育普及プログラムの実施に取り組んでいます。

M+

香港の西九龍文化地区に位置し、近現代の視覚文化を紹介するアジア最大級の美術館です。20世紀から21世紀にかけてのビジュアル・アート、デザイン、建築、ムービング・イメージ、香港のビジュアル・カルチャーの収集、展示、解釈を専門としています。

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
京都府京都市上京区下長者町通新町西入藪之内町85番4
電話番号
075-451-4111
代表者名
都倉俊一
上場
未上場
資本金
-
設立
1968年06月