【岡山大学】リンゴ酸による植物の環境ストレス適応機構の解明 -植物も、ストレス解消に爽快な酸味の『リンゴ酸』を利用!!!-

国立大学法人岡山大学

2022(令和4)年 9月 4日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
 



<発表のポイント>
  • 様々な代謝経路の中間体としてありふれた化合物であるリンゴ酸が、植物の気孔開閉運動を制御する仕組みを明らかにしました。
  • ヒトや土壌微生物が分解でき、食品添加物にも利用されているリンゴ酸を使った、安全性や環境に配慮した新たな作物の生産技術の開発につながることが期待されます。


◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:槇野博史)の大学院環境生命科学研究科(農)博士後期課程の三俣好令大学院生(当時)、同大学学術研究院環境生命科学学域(農)の宗正晋太郎准教授、村田芳行教授らの研究グループは、様々な代謝経路の中間体としてありふれた化合物であるリンゴ酸が、植物の気孔開閉運動を制御する仕組みを明らかにしました。

 植物は様々な環境の変化に応答してリンゴ酸を細胞外に放出します。また過去の研究から、植物にリンゴ酸を与えると気孔の閉鎖が起こることが明らかとなっていましたが、その分子機構は不明でした。本研究では、リンゴ酸の標的分子として気孔閉鎖にかかわる陰イオン輸送体とタンパク質リン酸化酵素を同定し、リンゴ酸が気孔閉鎖を誘導する分子機構を明らかにしました。

 今後、ヒトや土壌微生物が分解でき、食品添加物にも利用されているリンゴ酸を使った、安全性や環境に配慮した新たな作物の生産技術の開発につながることが期待されます。

 本研究成果は2本の論文として、2022年7月22日に日本農芸化学会が発行する国際科学誌「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」オンライン版、2022年7月25日に英国の科学雑誌「New Phytologist」オンライン版に掲載されました。
 



◆研究者らからのひとこと
<三俣好令大学院生(当時)>
 岡山大学で行った研究成果を論文として発表できて光栄です。10月からは中国北京大学現代農業研究所で植物の研究を続けてまいります。研究を通して作物増産を実現し、人口増加が続く世界の食糧供給に貢献することが目標です。

三俣好令大学院生(当時)三俣好令大学院生(当時)

<村田芳行教授と宗正晋太郎准教授>
 岡山大学大学院環境生命科学研究科生物機能化学講座(農学部農芸化学コース)にて、生化学・物理化学・遺伝学など多彩なアプローチを用いて植物の環境ストレス応答機構を解き明かす研究を行っています。興味のある方はご連絡ください。

村田芳行教授と宗正晋太郎准教授(右)村田芳行教授と宗正晋太郎准教授(右)


◆論文情報
 論文1

 論 文 名: Extracellular malate induces stomatal closure via direct activation of guard-cell anion channelSLAC1 and stimulation of Ca2+ signaling
 掲 載 紙: New Phytologist
 著  者: Yoshiharu Mimata, Shintaro Munemasa, Toshiyuki Nakamura, Yoshimasa Nakamura, Yoshiyuki Murata
 D  O  I: 10.1111/nph.18400
 U  R  L: https://nph.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/nph.18400

 論文2
 論 文 名: Malate induces stomatal closure via a receptor-like kinase GHR1- and reactive oxygen species-dependent pathway in Arabidopsis thaliana
 掲 載 紙: Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
 著  者: Yoshiharu Mimata, Shintaro Munemasa, Fahmida Akter, Israt Jahan, Toshiyuki Nakamura, Yoshimasa Nakamura, Yoshiyuki Murata
 D  O  I: 10.1093/bbb/zbac122
 U  R  L: https://academic.oup.com/bbb/advance-article-abstract/doi/10.1093/bbb/zbac122/6648702?redirectedFrom=fulltext&login=false


◆研究資金
 本研究は、以下の支援を受けて実施しました。
  • 日本学術振興会「科学研究費助成事業」基盤研究(C)(18K05557)
  • 日本学術振興会「科学研究費助成事業」挑戦的研究(萌芽)(21K19087)
  • 日本科学協会「笹川科学研究助成」(2021-4068)


◆詳しい研究内容について
 リンゴ酸による植物の環境ストレス適応機構の解明-植物も、ストレス解消に爽快な酸味の『リンゴ酸』を利用!!!-
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r4/press20220825-1.pdf


◆参 考
・岡山大学大学院大学院環境生命科学研究科
 https://www.gels.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学農学部
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/
 

岡山大学津島キャンパス(岡山市北区)岡山大学津島キャンパス(岡山市北区)



◆本件お問い合わせ先
 岡山大学 学術研究院 環境生命科学学域(農)
  教授 村田芳行
  准教授 宗正晋太郎
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1 岡山大学津島キャンパス
 TEL:086-251-8310
 https://www.gels.okayama-u.ac.jp/profile/kouza/areas06_biochem.html

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

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上場
未上場
資本金
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設立
1949年05月