【研究情報】シワの原因であるエラスチンの「質」の低下に肌の敏感性が関わることを発見
― 肌ストレスを与えない無添加化粧品によるシワ予防に期待 ―
株式会社ファンケルは、シワやたるみのメカニズムの解明の一つとして、加齢によりエラスチンの「量」が減少するだけでなく、形などの「質」の変化にも着目して研究を進めています。これまでに、MPT Compact 1)を使用した肌内部エラスチン線維の非侵襲的観察によって、エラスチン線維の形状が加齢で変化することを報告しました。今回、新たにエラスチン線維の形状と角層バイオマーカー測定2)による肌の敏感性に関係性を見出しました。さらにエラスチン線維の構造維持に重要な「EMILIN-1 3)」を分解する酵素「カテプシンK 4)」が防腐剤によって増加することも確認されました。これらの知見は、“防腐剤など肌にストレスを与えるものを配合しない無添加化粧品によるシワ予防”という新しいアプローチとして、さらなる発展が期待できるものと考えています。
なお、本研究内容の一部は、第26回 IFSCC Mexico conference 2021(2021年10月18日~28日、オンライン開催)にて発表しました。
なお、本研究内容の一部は、第26回 IFSCC Mexico conference 2021(2021年10月18日~28日、オンライン開催)にて発表しました。
<研究方法と結果>
【肌の敏感性が高いほどエラスチン線維の質は低下する】
肌内部のエラスチン線維を非侵襲的に観察できるMPT Compactを使用し、20代から60代の女性35人を対象に、目尻のエラスチン線維を観察して線維の「太さ」と「直線性」の視点でスコア化(以下、エラスチンスコア)を行いました。なお、このスコアは、加齢で低下してシワの量と相関することが分かっています。その結果、同年代でもエラスチン線維の形状が異なることが分かりました(図1)。
https://www.fancl.jp/news/pdf/20210929_shiwabuinoerasuchin.pdf
そこで、同年代でもエラスチン線維構造が異なる理由を検証すべく、撮影部位から角層を採取し、当社独自の肌解析方法「角層バイオマーカー」で測定しました。肌の敏感性を表す「刺激感受性タンパク質(HSP27)」および、バリア機能に関わる「細胞乾燥タンパク質(GAL7)」の両タンパク質量をエラスチンスコアと比較した結果、特に20代から30代の若齢層で、これら二つの角層バイオマーカー値が高いことが分かりました。HSP27が高いほど敏感性も高く、GAL7が高いほどバリア機能が低下している状態です。さらに両角層バイオマーカー値が高いほど、エラスチンスコアは低いことも分かりました(図2)。
【防腐剤はカテプシンKを増加させる】
当社では、肌が敏感な方でも使用できるよう、防腐剤など肌にストレスを与えるものを配合しない無添加化粧品を製造してきました。また、肌の敏感性とエラスチン線維構造の変化が関与することが分かったため、肌ストレスの一因となる防腐剤とエラスチン線維の関係性について検証することにしました。
なお、これまでエラスチン線維構造の変化にはカテプシンKが関与することを報告してきました。
※参考:「エラスチンの構造維持には“分解させない”ことが重要」
https://www.fancl.jp/news/pdf/20211101_erasuchinnokouzouijinihabunkaisasenai.pdf
カテプシンKの増加は、エラスチン線維構造の変化を引き起こし、エラスチン線維の「質」の低下に導く可能性があります。そこで、培養線維芽細胞に化粧品で一般的に配合される防腐剤のメチルパラベンを添加し、カテプシンKの量的変化を確認しました。その結果、防腐剤処理によりカテプシンKの量が増加することを確認しました(図3)。
<研究背景・目的>
当社では、これまでに加齢に伴ってエラスチン線維の構造が太く、短く、湾曲など変化することを報告してきました。この研究の中で同じ年代でもエラスチン線維構造に違いがあることが確認され、加齢とは別の要因がエラスチン線維の「質」に影響するのではと考えました。そこで今回、加齢とは別にエラスチン線維構造の変化に寄与する要因を明らかにすることを目的とし、肌の敏感性や防腐剤の影響を検討しました。
<本研究成果による製品開発>
本研究で得られた成果は、当社の肌本来の機能を高めるエラスチン研究の進化として、製品化に応用してきました。今後もさらに研究を進め、当社の強みである無添加アンチストレス研究とエラスチンの「質」を高めるアプローチを融合させた、新しいコンセプトのアンチエイジング化粧品の開発に努めてまいります。
【用語説明】
1) MPT Compact(Multiphoton Tomography Compact : JenLab社)
皮膚組織を非侵襲的に表皮から上層真皮まで断層画像で見ることができる。フェムトセカンドファイバーレーザ780nmを使用し、セカンド ハーモニック ジェネレーション(SHG)によるコラーゲン画像と、自家蛍光によりエラスチン画像が同時に得られる。「コラーゲン」と「エラスチン」を非侵襲で分離観察することができる。
2) 角層バイオマーカー測定
皮膚に貼った1枚のテープから取れた角層のタンパクを分析し、一人ひとり異なる肌状態や老化リスクを解析する当社独自の測定技術。現在の肌状態や将来的な肌トラブルを予測するカウンセリングや製品提供に活用。
HSP27: 熱ストレス、紫外線、活性酸素種などの外的ストレスにより変性したタンパク質を修復し、生体恒常性維持に関与するタンパク質。HSP27量が多いほど皮膚の敏感性が高いことを示しています。
GAL7: 細胞同士の接着に関連するタンパク質。GAL7量は、経皮水分蒸散量と相関し、皮膚のバリア性を評価できることから、乾燥リスクを表すタンパク質として角層バイオマーカー解析の指標の一つとしています。GAL7量が多いほど皮膚バリア機能が低下していることを示しています。
3) EMILIN(Elastin Microfibril Interface-located protein)-1
弾性線維を構成するフィブリリンとトロポエラスチンの間に存在し、接着の役割を持つタンパク質。
4) カテプシンK
システインプロテアーゼの一種。骨のコラーゲンを分解することが知られている。
【肌の敏感性が高いほどエラスチン線維の質は低下する】
肌内部のエラスチン線維を非侵襲的に観察できるMPT Compactを使用し、20代から60代の女性35人を対象に、目尻のエラスチン線維を観察して線維の「太さ」と「直線性」の視点でスコア化(以下、エラスチンスコア)を行いました。なお、このスコアは、加齢で低下してシワの量と相関することが分かっています。その結果、同年代でもエラスチン線維の形状が異なることが分かりました(図1)。
※参考:『シワ部位のエラスチンの「質」低下を発見』
https://www.fancl.jp/news/pdf/20210929_shiwabuinoerasuchin.pdf
そこで、同年代でもエラスチン線維構造が異なる理由を検証すべく、撮影部位から角層を採取し、当社独自の肌解析方法「角層バイオマーカー」で測定しました。肌の敏感性を表す「刺激感受性タンパク質(HSP27)」および、バリア機能に関わる「細胞乾燥タンパク質(GAL7)」の両タンパク質量をエラスチンスコアと比較した結果、特に20代から30代の若齢層で、これら二つの角層バイオマーカー値が高いことが分かりました。HSP27が高いほど敏感性も高く、GAL7が高いほどバリア機能が低下している状態です。さらに両角層バイオマーカー値が高いほど、エラスチンスコアは低いことも分かりました(図2)。
以上より、若齢者において肌のバリア機能が低下し、かつ敏感性が高い状態では、エラスチン線維の質も低下しているという結果が得られました。このことから、エラスチン線維の質の低下には加齢だけでなく、肌の敏感性も要因の一つとなっていることが明らかとなりました。
【防腐剤はカテプシンKを増加させる】
当社では、肌が敏感な方でも使用できるよう、防腐剤など肌にストレスを与えるものを配合しない無添加化粧品を製造してきました。また、肌の敏感性とエラスチン線維構造の変化が関与することが分かったため、肌ストレスの一因となる防腐剤とエラスチン線維の関係性について検証することにしました。
なお、これまでエラスチン線維構造の変化にはカテプシンKが関与することを報告してきました。
※参考:「エラスチンの構造維持には“分解させない”ことが重要」
https://www.fancl.jp/news/pdf/20211101_erasuchinnokouzouijinihabunkaisasenai.pdf
カテプシンKの増加は、エラスチン線維構造の変化を引き起こし、エラスチン線維の「質」の低下に導く可能性があります。そこで、培養線維芽細胞に化粧品で一般的に配合される防腐剤のメチルパラベンを添加し、カテプシンKの量的変化を確認しました。その結果、防腐剤処理によりカテプシンKの量が増加することを確認しました(図3)。
以上の結果より、防腐剤を始めとしたさまざまな肌ストレスを与えるものによる肌の敏感性増加が、エラスチン線維の「質」変化に関係していることが考えられました。つまり、そのような肌にストレスを与えない無添加化粧品によるスキンケアは、シワ予防につながることが期待されます。
<研究背景・目的>
当社では、これまでに加齢に伴ってエラスチン線維の構造が太く、短く、湾曲など変化することを報告してきました。この研究の中で同じ年代でもエラスチン線維構造に違いがあることが確認され、加齢とは別の要因がエラスチン線維の「質」に影響するのではと考えました。そこで今回、加齢とは別にエラスチン線維構造の変化に寄与する要因を明らかにすることを目的とし、肌の敏感性や防腐剤の影響を検討しました。
<本研究成果による製品開発>
本研究で得られた成果は、当社の肌本来の機能を高めるエラスチン研究の進化として、製品化に応用してきました。今後もさらに研究を進め、当社の強みである無添加アンチストレス研究とエラスチンの「質」を高めるアプローチを融合させた、新しいコンセプトのアンチエイジング化粧品の開発に努めてまいります。
【用語説明】
1) MPT Compact(Multiphoton Tomography Compact : JenLab社)
皮膚組織を非侵襲的に表皮から上層真皮まで断層画像で見ることができる。フェムトセカンドファイバーレーザ780nmを使用し、セカンド ハーモニック ジェネレーション(SHG)によるコラーゲン画像と、自家蛍光によりエラスチン画像が同時に得られる。「コラーゲン」と「エラスチン」を非侵襲で分離観察することができる。
2) 角層バイオマーカー測定
皮膚に貼った1枚のテープから取れた角層のタンパクを分析し、一人ひとり異なる肌状態や老化リスクを解析する当社独自の測定技術。現在の肌状態や将来的な肌トラブルを予測するカウンセリングや製品提供に活用。
HSP27: 熱ストレス、紫外線、活性酸素種などの外的ストレスにより変性したタンパク質を修復し、生体恒常性維持に関与するタンパク質。HSP27量が多いほど皮膚の敏感性が高いことを示しています。
GAL7: 細胞同士の接着に関連するタンパク質。GAL7量は、経皮水分蒸散量と相関し、皮膚のバリア性を評価できることから、乾燥リスクを表すタンパク質として角層バイオマーカー解析の指標の一つとしています。GAL7量が多いほど皮膚バリア機能が低下していることを示しています。
3) EMILIN(Elastin Microfibril Interface-located protein)-1
弾性線維を構成するフィブリリンとトロポエラスチンの間に存在し、接着の役割を持つタンパク質。
4) カテプシンK
システインプロテアーゼの一種。骨のコラーゲンを分解することが知られている。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
- 種類
- その他
- ビジネスカテゴリ
- スキンケア・化粧品・ヘア用品ダイエット・健康食品・サプリメント
- ダウンロード