シェアオフィスの利用が生産性やウェルビーイングの向上に寄与 三井不動産「ワークスタイリング」と東京大学が4千人以上のワーカーを対象に共同調査

レターのポイント |
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・三井不動産のシェアオフィス「ワークスタイリング」と三井デザインテック、東京大学大学院経済学研究科・稲水伸行准教授は、シェアオフィスの利用効果を定量的に把握するため、4千人以上のワーカーを対象に調査し、統計分析調査を実施。 ・調査の結果、組織が柔軟な働き方を許容し、ワーカーが業務内容に応じてシェアオフィスを利用することが、組織へのコミットメントや集中度、チームワーク、他者貢献、自己成長、自己裁量を高めることが分かった。 ・三井不動産は本調査の成果をふまえ、企業やワーカーに積極的なシェアオフィスの活用を提案し、各企業の働き方改革への貢献を目指す。 |
三井不動産株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:植田俊、以下「三井不動産」)が展開するシェアオフィス「ワークスタイリング」は、三井デザインテック株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:村元 祐介、以下「三井デザインテック」)と東京大学大学院経済学研究科・稲水伸行准教授とともにシェアオフィスの利用効果を定量的に把握するため、2022年と2024年の2回にわたり統計分析調査(以下「本調査」)を実施しました。三井不動産は本調査で得られた結果をもとに、シェアオフィスの利用が生産性やウェルビーイングの向上に寄与する有効な選択肢であると捉え、企業やワーカーに活用を提案してまいります。
■研究の背景
リモートワークの普及により、シェアオフィスやコワーキングスペースを活用する働き方が広がっています。しかし、こうした柔軟な働き方が生産性や働く人の意識にどのような影響を与えるのか、定量的な検証は十分に行われていません。場所にとらわれない働き方が生産性の向上につながることを明らかにするため、調査を実施しました。


■調査概要・結果
本調査はまず、【①シェアオフィス利用者へのアンケート調査】で、シェアオフィスの利用と効果(「生産性」「組織へのコミットメント」「クリエイティビティ」など)の相関関係を調べました。次に、【②EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社のワーカーを対象とした追跡調査】で、シェアオフィス未経験者に3ヶ月間「ワークスタイリング」を利用してもらい、利用前後の回答結果の違いを分析。同期間にシェアオフィスを利用しなかったワーカーも調査し、両者の回答結果を比較することで、シェアオフィス利用による効果であることを確認しました。
① シェアオフィス利用者へのアンケート調査
調査期間:本調査2022年10月、追加調査2023年1月
回答者数:合計4118名(本調査3694名、追加調査424名)
調査対象:首都圏の従業員数100名以上の企業に勤める22~59歳の正社員
調査手法:インターネットアンケート
調査結果:
調査対象を三つのタイプ【(A)オフィス型、(B)オフィス+自宅型、(C)シェアオフィスも利用するハイブリッド型】に分けて調査した結果、(C)は「生産性」「組織へのコミットメント」「ワークエンゲージメント」「クリエイティビティ」「イノベーション」「集中度」「職務満足度」など多くの項目の数値が有意に高くなっており、相関関係が認められました。

② EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社のワーカーを対象とした追跡調査
調査期間:(事前調査)2024年5~6月、(事後調査)2024年8~9月
回答者数:(事前調査)195名、(事後調査)222名
調査対象:調査協力企業に勤める22~59歳の従業員
調査手法:インターネットアンケート
調査結果:アンケートの回答を分析研究した結果、シェアオフィスを利用することで、「組織へのコミットメント」「集中度」、そして「はたらく人の幸せ因子」(※)のうちの4項目(「チームワーク」「他者貢献」「自己成長」「自己裁量」)の数値が有意に高くなっており、因果関係が認められました。
※「パーソル総合研究所・慶應義塾⼤学前野隆司研究室」の研究で開発された働く人の幸せを測る尺度。これらの因子によって幸せに働いている実感が高められるといわれています。 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/well-being/img/Well-Being_AtWorkScale.pdf

■まとめ
本調査により、シェアオフィスの利用が生産性や働く人の幸せ(ウェルビーイング)向上に寄与することが明らかになりました。また、稲水伸行准教授は追跡調査の結果から、以下のことを考察しました。
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シェアオフィスには個人用ブースや会議室があり、業務に応じて最適な環境を選べるため、個人の集中度が上がり、それに伴って、チームとしてのパフォーマンスやチームワークも向上する。
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シェアオフィスの利用により、働く場所の選択肢が広がり、ワーカーが自身の予定に合わせて柔軟に働けるようになるので、自己裁量が高まる。
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シェアオフィスの利用は、企業がワーカーに対して柔軟な働き方を提供する意思決定であり、そのような企業の決定に対して、組織へのコミットメントの向上につながっている可能性がある。
三井不動産は本調査の成果をふまえ、シェアオフィスの活用が生産性やウェルビーイングを向上させるために有効な選択肢であると捉え、企業やワーカーに積極的な活用を提案してまいります。
■ 「ワークスタイリング」 について https://mf.workstyling.jp/
三井不動産は、2017年4月よりシェアオフィス「ワークスタイリング」を展開しており、急速に進む働き方の多様化に合わせてサービスを展開してまいりました。2025年8月現在、総拠点数は提携するSTATION WORKと合わせて約580拠点となり、会員企業約1,250社、会員数約32万人にご契約いただいております。「すべてのワーカーに『幸せ』な働き方を。」をパーパスに据え、シェアオフィスという場の提供にとどまらず、利用者一人一人が「幸せな働き方」を見つけるきっかけとなるサービスを提供しています。
■ 「COLORFUL WORK」 について https://www.mitsuifudosan-office.jp/
三井不動産では、「COLORFUL WORK」 をスローガンに、誰もが⾃分のカラーを活かして働くことができ、単に「働く」だけではなく様々なライフスタイルが実現できるように、ワークプレイスやワークスタイルの多様化に取り組んでいます。これらの取り組みを通じて、『三井のオフィス』 をご利⽤の皆様が 「Work」 も 「Life」 も充実して過ごすことができる新しい働き方の実現をサポートしていきます。
■ 三井不動産グループのサステナビリティについて
三井不動産グループは、「共生・共存・共創により新たな価値を創出する、そのための挑戦を続ける」という「&マーク」の理念に基づき、「社会的価値の創出」と「経済的価値の創出」を車の両輪ととらえ、社会的価値を創出することが経済的価値の創出につながり、その経済的価値によって更に大きな社会的価値の創出を実現したいと考えています。
2024年4月の新グループ経営理念策定時、「GROUP MATERIALITY(重点的に取り組む課題)」として、「1.産業競争力への貢献」、「2.環境との共生」、「3.健やか・活力」、「4.安全・安心」、「5.ダイバーシティ&インクルージョン」、「6.コンプライアンス・ガバナンス」の6つを特定しました。これらのマテリアリティに本業を通じて取組み、サステナビリティに貢献していきます。
【参考】
・「グループ長期経営方針」 https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/innovation2030/
・「グループマテリアリティ」 https://www.mitsuifudosan.co.jp/esg_csr/approach/materiality/
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