【国立文楽劇場】今さら聞けない「忠臣蔵」 ~文楽劇場で「忠臣蔵」に出会う~
文楽公演のご案内
年末の風物詩「忠臣蔵」をご存じですか?
「忠臣蔵」は、元禄15年12月14日(新暦では1703年1月30日)、赤穂浪士47人が旧主の敵の元に討ち入り、旧主の恨みを晴らした、という事件の通称です。
以前は12月になると、テレビで「忠臣蔵」のドラマが放送され、兵庫県赤穂市の「赤穂義士祭」がニュースに取り上げられ、師走といえば「忠臣蔵」でした。
ですが、近年は「忠臣蔵」を扱った放送も少なくなり、聞いたことはあるけど、よく知らないという方もいらっしゃるかもしれませんね。
国立文楽劇場では、「忠臣蔵」を題材とした『仮名手本忠臣蔵』を、現在上演中の11月文楽公演と、それに続く初春文楽公演にて、発端となる大序から九段目までを上演いたします。公演をよりお楽しみいただけるよう、「忠臣蔵」についてご紹介いたします。
「忠臣蔵」のあらまし
時は元禄15年、師走半ばの未明、元赤穂藩浅野家家老の大石内蔵助をはじめとする赤穂浪士47人が、江戸の本所松坂町の吉良邸に討ち入り、旧主の仇を討ち取りました。本懐を遂げた赤穂浪士達は、その後、高輪泉岳寺へと向かい、亡き主君の墓前に憎き仇の首をささげます。雪の降る夜の江戸市中を、雁木模様の羽織を着けた赤穂四十七士が歩く姿は、「忠臣蔵」ドラマの名場面の一つです。
「日本三大仇討ち」の一つともされるこの事件の発端は、討ち入りから遡ること1年9か月前、元禄14年3月に江戸城松の廊下でのことです。その日、江戸城では江戸幕府が朝廷から派遣された勅使を迎えていました。勅使饗応役にあたっていた赤穂藩主浅野内匠頭長矩が、突如、幕府の儀式や典礼を司る高家の吉良上野介義央に斬りかかったのです。内匠頭は居合わせた幕臣らに取り押さえられ、その後、五代将軍徳川綱吉によって即日切腹を命じられました。それにより、赤穂藩は御取り潰しとなります。
しかし、一方の吉良はお咎めなしとなりました。これに反発したのが、浅野家の旧臣達です。当時は「喧嘩両成敗」が慣例でしたが、内匠頭のみが一方的な処分を受けたことを不服とした赤穂浪士達は、やがて仇討ちを計画するようになります。そして、その翌年の師走、その本懐を遂げました。
では、なぜこの討ち入り事件を「忠臣蔵」と呼ぶのでしょうか。そのきっかけとなったのが、現在、国立文楽劇場で上演中の『仮名手本忠臣蔵』です。
「赤穂四十七士の討ち入り」から「忠臣蔵」へ
赤穂四十七士の討ち入りのニュースは、瞬く間に大衆に広がりました。そして、討ち入り事件を取り入れた歌舞伎の演目が上演され、人形浄瑠璃、浮世草子などが次々に作られていきます。それらの先行作を巧みに取り入れつつ、まったく新しい趣向を用いて作られた決定版ともいえるのが、人形浄瑠璃の『仮名手本忠臣蔵』です。刃傷事件から47年後の寛延元年(1748)、大坂の道頓堀にあった竹本座という人形浄瑠璃の劇場で初演されました。この興行は大当たりし、およそ5か月間のロングランとなりました。その後、歌舞伎にも取り入れられ、四十七士の仇討ちを描いた作品の決定版となりました。
そして、この仇討ち事件は次第に「忠臣蔵」と称されるようになり、演劇や絵画、落語、講談、読み物など、幅広いジャンルにわたって、多くの人々に親しまれてきました。
『仮名手本忠臣蔵』について
当時、当代に起こった政治的事件をそのまま劇化することは禁じられていたので、作者たちは様々な時代に仮託してこの事件を描きました。『仮名手本忠臣蔵』は、南北朝の動乱を描いた『太平記』を作品世界とし、室町時代の物語として描いています。そのため、吉良上野介は室町幕府高官の高師直、浅野内匠頭は同じく室町幕府の武将の塩冶判官(人形浄瑠璃文楽では「塩谷判官」)に仮託しています。また、大石内蔵助は大星由良助、寺坂吉右衛門は寺岡平右衛門というように、少しもじった名前で登場します。
『仮名手本忠臣蔵』は、先にも述べたように先行作品を巧みに踏まえつつも、そこに新たな趣向を加え、忠義と色と金をめぐる悲劇的な人間ドラマとなっています。
11月文楽公演では、第1部で塩谷判官が刃傷に至り、切腹するまでを上演しています。
第2部では仇討ちに関わる人々の心理や行動に焦点を当てた、いわば仇討ちの裏側を描いた場面をお楽しみいただきます。
続く、初春文楽公演では、許婚であったものの、塩谷判官の刃傷と切腹をきっかけに、結婚が叶わない若い男女と、それぞれの両親の葛藤を描いた場面をご覧いただきます。
公演中は、お得な幕見席や特別割引もございます。
時代を越えて日本人に愛されてきた「忠臣蔵」に、国立文楽劇場で出会いませんか?
皆様のご来場をお待ちしております。
国立文楽劇場開場40周年記念
11月文楽公演
上演中~11月24日(日)
第1部 午前11時開演 (午後3時18分終演予定)
仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
大 序 鶴が岡兜改めの段・恋歌の段
二段目 桃井館力弥使者の段・ 本蔵松切の段
三段目 下馬先進物の段・腰元おかる文使いの段・
殿中刃傷の段・裏門の段
四段目 花籠の段・塩谷判官切腹の段・
城明渡しの段
第2部 午後4時開演 (午後8時20分終演予定)
靱猿(うつぼざる)
仮名手本忠臣蔵
五段目 山崎街道出合いの段・二つ玉の段
六段目 身売りの段・早野勘平腹切の段
七段目 祇園一力茶屋の段
HP
日本語 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2024/611/
English https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2024/611/?&lan=e
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千穐楽翌日の11月25日からはオンライン配信でもお楽しみいただけます。詳細はこちら。
国立文楽劇場開場40周年記念
吉田和生文化功労者顕彰記念
初春文楽公演
令和7年1月3日(金)~1月26日(日) ※15日(水)
第1部 午前11時開演 (午後1時40分終演予定)
新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)
座摩社の段
野崎村の段
第2部 午後2時15分開演 (午後4時55分終演予定)
仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
八段目 道行旅路の嫁入
九段目 雪転しの段
山科閑居の段
第3部 午後5時30分開演 (午後7時50分終演予定)
本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)
道行似合の女夫丸
景勝上使の段
鉄砲渡しの段
十種香の段
奥庭狐火の段
HP
日本語 https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2024/202501bunraku/
English https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2024/202501bunraku/?lan=e
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