【高島屋】第35回(2024年度)タカシマヤ文化基金 受賞者・助成先決定
2024年11月11日に行われた公益信託タカシマヤ文化基金運営委員会において、第35回 (2024年度)タカシマヤ美術賞の受賞者および助成団体が下記のとおり決定いたしました。
■タカシマヤ美術賞(助成金 各200万円):3名
〇 宮田 彩加(みやた・さやか)さん〈テキスタイル〉
〇 鈴木 ヒラク(すずき・ひらく)さん〈現代美術〉
〇 持田 敦子(もちだ・あつこ)さん〈現代美術〉
■ 団体助成(助成金 3団体で195.5万円):3団体
〇 名古屋市美術館 所在地:愛知県名古屋市
〇 宇都宮美術館 所在地:栃木県宇都宮市
〇 デザイン史学研究会 所在地:東京都練馬区
タカシマヤ文化基金について
高島屋は、1909年に広く一般の方に美術品を紹介する「現代名家百幅画会」を開催、1911年に美術部を創設するなど、人々の暮らしの中に美と文化を提供し続けてきました。そのような歴史と伝統のもと、1990年に公益信託タカシマヤ文化基金を設立、新鋭作家や美術文化の保存・発掘・振興に寄与する団体などへの助成を行っています。基金は専門家からなる運営委員会によって運営され、高島屋はオブザーバーとしての役割を担っています。
新鋭作家に対する賞(タカシマヤ美術賞)は、1作品への賞ではなく、その作家のこれまでの活動と将来性から選考するものとなっています。毎年、「タカシマヤ美術賞」として作家には一人200万円、団体に対しては各回総額200万円を上限とした助成を行っております。
第1回~第5回は「新鋭作家奨励賞」、第6回以降は「タカシマヤ美術賞」として昨年度34回を迎え、これまでの受賞作家は94作家、助成団体はのべ75団体に達しました。
※贈呈式は2025年1月27日(月)に開催致します。
■タカシマヤ美術賞(助成金 各200万円)
〇宮田 彩加(みやた・さやか)さん〈テキスタイル〉
◆手芸好きの祖母をはじめとした家族のもとで育ち、刺繍を始める。独自のアイディアで手刺繍やミシン刺繍を駆使し、意図的につくる糸の絡まりやほつれ、糸の物質感、存在感を活かし、鮮やかな色彩に自身のテーマを託して表現する。実験的制作に取り組む中で、新たな技法を生み出し、強烈な印象を残している作家。
1985年京都府生まれ。2012年京都造形芸術大学大学院芸術表現専攻修士課程染織領域修了
2014年「京展」京展賞、2024年令和5年度京都市芸術新人賞受賞。
【主な展覧会・その他活動】
個展
・2020年「かりのいと」日本橋髙島屋美術画廊(東京)
・2022年「裏腹のいとはよすが」岐阜現代美術館(岐阜)
・2024年「いまいま」大阪髙島屋ギャラリーNEXT(大阪)
グループ展
・2017年「新宿髙島屋美術画廊10周年記念~そして広がる~」新宿髙島屋美術画廊(東京)
・2022年「工芸、ここが素敵!」京都文化博物館(京都)
・2024年「札幌国際芸術祭2024」北海道立近代美術館(北海道)
〇鈴木 ヒラク(すずき・ひらく)さん〈現代美術〉
◆平面・彫刻・映像・パフォーマンスなど、多岐にわたる制作を展開し、国内外でドローイングの領域を拡張し続けている。ドローイング研究のためのプラットフォームを主宰するなど、現代美術の領域において、制作と理論両面での活躍を見せる注目の作家。
1978年宮城県生まれ 神奈川県出身。2001年武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業、2008年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了、2011年財団法人東京都歴史文化財団の助成により英国ロンドン芸術大学チェルシー校に滞在。2017年The international FID Prize drawing contest(パリ)グランプリ受賞。
【主な展覧会・その他活動】
個展
・2003年「鈴木ヒラク個展」―INAXギャラリー2(東京)
・2015年「かなたの記号」―国際芸術センター青森(青森)
・2023年「今日の発掘」―群馬県立近代美術館(群馬)
グループ展
・2009年「愛についての100の物語」―金沢21世紀美術館(石川)
・2016年 第8回恵比寿映像祭「動いている庭」―恵比寿ガーデンホール(東京)
・2024年 日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション―東京都現代美術館(東京)
〇持田 敦子(もちだ・あつこ)さん〈現代美術〉
◆既存の空間や建造物に、壁面や足場などの仮設的な性格をもつ異物を挿入・貫通させたインスタレーション作品を発表。祖母の住居の縁側と室内の一部を円形にくり抜き回転させた作品など、常に表現の可能性を追求し続けている。
1989年東京都生まれ。2013年武蔵野美術大学造形学部日本画学科卒業、2018年東京藝術大学大学院先端芸術表現学科修了、2018年バウハウス大学ワイマール大学院 Public Art and New Artistic Strategies 修了。2018年「T家の転回」齋藤精一賞 受賞(CAF賞 2018)今村有策賞 受賞(アートアワードトーキョー丸の内 2018)、2021年「Steps」片岡真美賞 受賞(TERRADA ART AWARD 2021)
【主な展覧会・その他活動】
・2019年「リボーンアートフェスティバル」(宮城)
・2021年「北アルプス国際芸術祭 2020-2021」(長野)
・2021年「TERRADA ART AWARD 2021ファイナリスト展」(東京)
・2021~2023年 プロジェクト「解体」(長野)
・2024年パブリック・アートプログラム「APK PUBLIC」TODA BUILDING(東京)
■団体助成(助成金 3団体で195.5万円)
〇名古屋市美術館
助成内容
朝見香城資料群の撮影・調査・分類・目録(記録集)の作成および関連資料の調査 資料の収蔵および目録(記録集)の公開(所在地:愛知県名古屋市)
名古屋市美術館は、主に20世紀以降の美術を扱う美術館として昭和63年(1988年)に開館しました。建築は、黒川紀章による設計で、随所に日本の伝統建築物に着想を得た意匠が取り入れられています。「エコール・ド・パリ」「メキシコ・ルネサンス」「現代の美術」「郷土の美術」の4つの収集方針に基づいたコレクションの形成、国内外の近現代美術を中心とした展覧会の開催や、調査研究、教育普及事業などを展開しています。
このたびは、朝見香城資料群の撮影・調査・分類・目録(記録集)の作成および関連資料の調査、資料の収蔵および目録(記録集)の公開を行います。
朝見香城(1890~1974年)は、兵庫県姫路市出身の日本画家です。出身は関西ですが、20代に名古屋に移住して以降、生涯名古屋を活動拠点とし、当地の日本画振興に多大なる貢献をした画家です。近年遺族のご厚意により画室の調査をする機会を得たことで、作品以外の資料群、具体的には書簡・画帖・団体展や公募展の出品目録など膨大な資料群が残されていることが判明しました。特に書簡については、竹内栖鳳、福田平八郎といった京都画壇を代表する日本画家のものも多数含まれ、大正~戦後にかけての中京日本画壇と京都画壇の交流を示す極めて重要な資料群となっています。
本事業では、上記の資料群を整理・記録・撮影、書簡については翻刻した上で、名古屋市美術館の特別資料として収蔵、長期的な活用が可能な状態にすることを目的とします。また、朝見が所属していた京都の西山翠嶂の画塾・青甲社の目録類の調査を行い、その成果を資料群と結び付けることで、資料群の位置づけを明確にし、その価値の再発見の促進も併せて行いたいと考えております。
資料の撮影や整理・翻刻の委託料、青甲社の目録類が一括で保管されている京都府立京都学・歴彩館への出張経費、成果報告書の印刷費や郵送料などに助成金を活用します。(名古屋市美術館)
〇宇都宮美術館
助成内容
企画展「信仰の光と理性の光 フランス近代の宗教とライシテ」(仮称)開催記念シンポジウム「美術、宗教、ライシテ」(仮称)の実施 (所在地:栃木県宇都宮市)
宇都宮美術館は、宇都宮市制100周年を記念して1997年3月にオープンしました。里山の姿を残す緑豊かな自然環境の中で、みなさまの憩いの場、芸術文化活動の拠点施設となることを目的とし、主に20世紀以降の国内外の美術・デザイン、および宇都宮市にゆかりの美術作品を収集・公開しています。また、年間4~5回開催している企画展においては、海外・国内の優れた作品を紹介しています。
当館のコレクションを構成する主要な分野のひとつとして、フランス近代の作品が挙げられます。当館では、これまでにも収蔵品の特徴を活かした企画展を開催して参りました。2025年秋には当館の収蔵作品を活用しつつ、国内のさまざまなコレクションから作品をお借りして、企画展「信仰の光と理性の光 フランス近代の宗教とライシテ」(仮称)を開催します。本展は、フランス近代の宗教とライシテというテーマでフランス近代美術史を問い直すという世界的にも初の試みです。また、民主主義社会の成立過程における美術の変遷を歴史的に検証することで、民主主義社会における美術のあり方を再考する機会にもなると考えております。本展の開催にあわせて行う記念シンポジウム「美術、宗教、ライシテ」(仮称)では、美術史分野の専門家のみならず、宗教学、政治学等の諸分野の研究者を招聘し、発表と討論を行います。本展の投げかけるテーマに一層踏み込んだ内容について、多角的な視点から議論を行っていきたいと考えています。
シンポジウム登壇者招聘のための費用等、本シンポジウム開催に関する諸費用に助成金を活用いたします。(宇都宮美術館)
〇デザイン史学研究会
助成内容
「アート・デザインと平和を考える-戦後80年-」(仮称)シンポジウムの開催(所在地:東京都練馬区)
デザイン史学研究会は、広く国内外の会員相互のネットワークを構築し、学術的交流を深めるとともに、デザイン史学をこの国でさらに発展させることを目的として、2002年の秋に創設されました。研究者、歴史家、大学院生、デザイナー、工芸家、キュレーター、プロモーター、コレクター、ジャーナリストなどの会員により構成され、会誌「デザイン史学」の刊行、研究発表会やシンポジウムの開催をはじめとして、デザインの歴史と文化に関する研究発表と討論の場を積極的に提供し、国内的にも国際的にも新たな知見を発信しています。
創設以後、毎年、時代と社会を反映するテーマで国内外のスピーカーを招いてシンポジウムを行ってきました。第2回は、「戦後復興期の日本デザイン」であり、そのほかジェンダー、メディア、アジア、現代の都市生活、オリンピックといった社会的問題と深く関わるテーマを選び、国内外から第一人者を招いて、小規模ながら密度の濃い催しを実現してきました。
2025年は、戦後80年という節目にあたります。そこで、より一般公開の意義の高いテーマと登壇者を招聘したく、今回の助成金申請となりました。一般の聴衆が関心を抱いてくださるようなトピックで3つの研究発表を行い、さらにメインイベントとして、広島出身であり舞踏歴が70年を超え、中国との国交樹立以前から同地へ招聘され舞台を披露するなど草の根から国際平和を支えてこられたバレエダンサー、森下洋子氏との対談を行います。小規模の学術団体としては開催費用の捻出が困難であるため、今回の申請に至った次第です。(デザイン史学研究会)
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