NEC、大阪大学、大阪モノレールが「通学定期券発行におけるマイナンバーカードおよび顔認証技術によるデジタル本人証明・資格証明活用」の実証実験を実施
日本電気株式会社(本社:東京都港区、取締役 代表執行役社長兼CEO:森田 隆之、以下 NEC)、国立大学法人大阪大学(所在地:大阪府吹田市、総長:熊ノ郷 淳、以下 大阪大学)、大阪モノレール株式会社(所在地:大阪府吹田市、代表取締役社長:谷口 友英、以下 大阪モノレール)は、DX推進およびデジタル技術を活用した社会実装の一環として、通学定期券発行における利便性向上や業務効率化、不正申請防止に向けた実証実験を本年3月に共同実施しました。
本取組では、大阪モノレール千里中央駅において、大阪大学の学生等が参加して、マイナンバーカードと、生体認証技術および「検証可能な資格証明」(以下VC、注1)を活用したソリューション「NEC Digital Identity VCs Connect」(注2)による、オンライン上での本人証明や資格証明を行い、通学定期券購入までの実証実験を行いました。実証実験により、真正性の高い認証や有用性を確認し、大阪大学学生及び職員の通学定期券購入手続きにおける利便性向上や業務効率化に大きな効果があることを確認できました。

背景
学生が通学に必要な定期券を購入する場合、特に新年度は、大学において短期間に多量の通学証明書を発行する必要があり、鉄道会社でも通学定期券購入者の通学証明書の確認作業等が膨大な件数となり大きな負担が生じています。また、学生は通学証明書の申請・受け取りや定期券購入に時間を費やすなどの負担も発生します。その他、他人になりすまして定期券を不正に購入されるなどのリスクもあります。
こうした課題の解決に向け、デジタル技術の活用により通学定期券発行に関わる皆さまの利便性向上や窓口業務の効率化、不正申請の防止に取り組む必要があります。
大阪大学では本年1月からデジタル学生証の運用が開始されており、将来の機能拡張を見据え、通学定期券購入における学生や大学、鉄道会社の職員の負担軽減に資する取組みとして、本実証実験に協力いただきました。
実証実験の概要
本実証実験では、安全性の高いマイナンバーカードと、なりすまし等の不正利用を防止できる生体認証(顔認証)技術を組合わせることで、真正性の高い本人証明を実現しました。さらに、デジタル証明書には、オンライン上で流通性が高く、他の情報との照合を行いやすいVCを採用しました。これにより、信頼性の高い本人確認や資格確認を、全てオンライン上で完結できることを本実験では検証しました。
実証実験で学生が定期券発行を行うまでの手順
-
マイナンバーカードを読み取り、顔認証により本人確認したうえでデジタル本人証明書を取得。
-
大学の通学証明書発行サイトにデジタル本人証明書を提示し、デジタル通学証明書を取得。
-
鉄道会社窓口に掲示のQRコードを読み取り、サイト上にデジタル通学証明書を提示。証明書改ざん検証・顔認証による本人確認で、デジタル通学証明書の真正性を確認。
-
鉄道会社窓口にて通学定期券を発行。(模擬)

※将来の活用イメージ(下図)では、学生は鉄道会社の窓口には行く必要はなく、全てオンライン上で定期券購入が可能。
※NECは本実証実験に関する特許を出願中。

今後に向けた取り組み
従来、利用者本人の確認や資格証明を行う場面においては、窓口等での目視確認が行われており、利用者にとっては場所や時間の制約、事業者にとっては業務負荷や不正申請の防止が課題とされてきました。
このような課題を解決するため、NECでは、長年培ってきた生体認証技術を活用したVCによる分散型アイデンティティ(注3)の認証・本人確認の基盤整備に取り組んでいます。

大阪大学では、中期経営計画で掲げる「OUマスタープラン2027」(注4)のもとDXを推進しており、大阪大学コミュニティのすべてのステークホルダーに対する生涯IDとして、OUID(注5)の発行と付加価値の高いサービス提供を目指しています。本年1月、OUIDと連携した「デジタル学生証・教職員証」の導入は、快適なキャンパスライフの実現を推進するのみでなく、学外での活用も視野に含めた取組みとなっています。今回の知見を活かし、本デジタル身分証の拡張性を進め、より便利で安全なサービス展開を目指すとともに、本仕組みを他大学や企業と連携しながら、社会全体に還元して参ります。
NEC、大阪大学、大阪モノレールは、今回の実証実験での検証で得られた知見を活かし、組織をまたいだサービスの連携やさらなるデータ活用の社会実装を推進していきます。
以上
(注1)Verifiable Credentialsの略。デジタル形式で安全に管理できる証明書のことで、第三者によって信頼性が確認された情報を持ち主が自身で管理し、必要に応じて相手に証明できる仕組みです。VCの大きな特徴は、ユーザーが自分の情報を自分で管理できることと、提示時にその情報の真正性を第三者が検証できることです。
(注2)生体認証技術を活用したVerifiable Credentials
https://jpn.nec.com/web3/index.html
(注3)個人が自分のアイデンティティ(氏名、住所、属性などを含む自身に資する情報)を自分で管理する仕組みです。自分のアイデンティティの多くは企業や政府が管理していますが、分散型アイデンティティでは、自身のスマートフォンや自身が管理するクラウド環境上に記録されるため、第三者に依存せず、本人だけがコントロールできます。
(注4)OUマスタープラン2027 ー生きがいを育む社会を創造する大学へー
https://www.osaka-u.ac.jp/ja/guide/strategy/ou_masterplan2027
(注5)大阪大学に関わるすべての構成員の統合 ID 基盤。
https://www.d3c.osaka-u.ac.jp/service/ouid/
<本件に関するお問い合わせ先>
NEC 文教・科学インテグレーション統括部
E-Mail:ess-didvc@gpsd.jp.nec.com
国立大学法人 大阪大学
OUDX推進室 副室長・教授 鎗水 徹(やりみず とおる)
TEL:06-6879-8793
E-mail: yarimizu.toru.oudx@osaka-u.ac.jp
OUDX推進室 准教授 釜池 聡太(かまいけ そうた)
TEL:06-6879-8793
E-mail: sota.kamaike.cmc@osaka-u.ac.jp
情報推進部デジタル戦略推進室 中村・喜多・安田
TEL:06-6879-8806
E-mail: zyosui-oudx@office.osaka-u.ac.jp
大阪モノレール株式会社 運輸部業務課
TEL:06-6875-3132
すべての画像