国内初、水素ステーションへのAEM水電解装置導入と水素製造・販売の開始
本ステーションは、2016年の営業開始以来、敷地内で都市ガスから製造した水素を販売してきました。昨年度末、非化石証書(*3)が付与された実質再生可能エネルギー100%の電気に切り替えを行うとともに、このたび、Enapter(エナプター)社製のAEM水電解装置を導入することで、CO2フリー水素の製造・販売を実現いたします。
AEM水電解装置は、他の水電解方式と比べて新しい技術であり、採用実例がまだ多くない状況です。一方で、構造がシンプルであり、小型のモジュールを組み合わせることで水素製造量を柔軟に調整可能であること、スペースが限られる場所への導入が期待できること、セル部材(*4)に用いる材料の選択肢が広く、セルスタックの低コスト化が可能であることなどの特長を有します。
東京ガスは、本ステーションへの導入を通じて、今後更なるAEM水電解装置の適切なシステム構成や運転管理等の知見獲得を進めます。その上で、工場や水素ステーション等において、水素使用量実態に応じた規模のAEM水電解装置の導入支援や、水素供給ビジネスの展開を目指します。
AEM水電解装置の詳細仕様
メーカー | Enapter(エナプター) |
吐出出力 | 0.8 MPa |
水素純度 | >99.999 %(*5) |
消費電力量 | 4.8 kWh/Nm3 |
消費水量 | 0.4 L/Nm3 |
水素製造量 | 0.5 Nm3/h・モジュール |
導入設備概要
Enapter(エナプター)社製AEM水電解装置30モジュールを組み合わせ、水素製造量15 Nm3/h規模の設備を導入しています。モジュール単位で操作が可能であり、単体で障害が発生した際も設備全体の運転を継続できる冗長性を備えています。
また、水素製造装置の稼働率を上げるために、夜間も水素製造を行い、併せて導入した水素タンクに1 MPa未満で貯蔵します。
■システム全体フロー図
東京ガスグループは、経営ビジョン「Compass2030」で掲げた「CO2ネット・ゼロへの挑戦」に向け、脱炭素化に向けた技術開発の早期実現を図り、CO2ネット・ゼロをリードすることで、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」に貢献してまいります。
*1:Anion Exchange Membrane(陰イオン交換膜)の略称。
*2:東京ガス調べ(2023年6月現在)
*3:再生可能エネルギー指定有の非化石証書。
*4:触媒、セパレータ、イオン交換膜、集電体等のセル構成部品。
*5:ドライヤー(除湿装置)により水分を除去した後の純度。
【参考】千住水素ステーション概要
営業開始日 | 2016年1月12日 |
所在地 | 東京都荒川区南千住3-28-1 |
敷地面積 | 約950 m2 |
充填圧力 | 82 MPa |
供給方式 | オンサイト方式 |
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