介護について話すことで、介護へのイメージはポジティブに変化︕子世代の就業者は抱え込みがち︖外部サポートの利⽤意向が低く、周りには頼りたくない傾向が明らかに
ダスキン ヘルスレント 「親⼦で 向き合う介護レポート 2024」
株式会社ダスキン(本社:大阪府吹田市、社長:大久保 裕行)が展開するヘルスレント事業※1は、9月16日(月・祝)の「敬老の日」を前に、60〜80代の親世代1,000人、20〜50代の子世代1,000人を 対象に介護に関する実態調査を行いました。本調査は、2022年から行っている「#いま親のいまを知ろう」プロジェクト※2の一環で3回目となる今回は、「介護」について親子で話し始めるタイミングや、子世代の就業者※3の介護に焦点を当て調査しました。
◆本リリース トピックス◆
<介護のイメージ> 介護経験者の方が、介護をポジティブに捉える傾向
●変わらぬ「介護」のネガティブなイメージ。介護経験者は「親孝⾏」「恩返し」「家族の絆」などポジティブに捉える傾向。
<介護についての話し合い> 親子で話し合っている割合は少なく、話し合うタイミングも遅い傾向
●介護について親⼦で話した経験は親世代16.5%、⼦世代25.2%と少なく、
「親が病気や入院、介護が必要になって」初めて話し合った人が約5 割とタイミングも遅い。
●一方、介護について親⼦で話すことで、介護イメージはポジティブなものに変化。
>>となりのかいご 代表理事 川内 潤さんに聞く
親子で話し合うべきは戦術・手段ではなくミッションです
<子世代就業者の介護> 外部サポート利⽤意向が低く、抱え込みやすい
●⼦世代の就業者は、デイケアなど外部サービスのサポートを望む声は低い。
●⼦世代の就業者は、「⼦どもは親の暮らしをサポートすべきだと思う」という気持ちが強く、抱え込みやすい。
>>となりのかいご 代表理事 川内 潤さんに聞く
課題解決能⼒が暴⾛︖ 働く人の“介護マインドチェンジ”を
※1 ヘルスレント事業︓シニアライフの安心と快適な暮らしのサポートを目的に、主に介護保険制度が適⽤される介護⽤品・福祉⽤具のレンタルや販売を⾏う事業。
※2 「#いま親のいまを知ろう」プロジェクトについて︓ダスキン ヘルスレントが「#いま親のいまを知ろう」をコミュニケーションワードに、いつか直面する介護への備えとして、いまから準備することの⼤切さをご紹介するプロジェクトです。2022 年に開始し、第1 弾では、親も⼦もお互いを気遣うばかりに親の「⽼い」に向き合えない親⼦関係が明らかになり、昨年発表した第2 弾では、「介護」や「家族」に対して、親⼦や性別で違った考えを持っていることが分かりました。
※3 ⼦世代の就業者︓公務員・会社員・⾃営業・⾃由業を選択した就業者(629 人)。専業主婦・主夫は除きます。
■ダスキン ヘルスレント 「親子で向き合う介護レポート 2024」調査概要
●調査時期︓2024 年6 月19 日(水)〜6 月21 日(⾦)
●調査対象︓親世代=⾃⾝の年齢が60〜80 代で別居の⼦どもがいる男⼥1,000 人(介護経験あり500 人・なし500 人)
⼦世代=⾃⾝の年齢が20〜50 代で60〜80 代の別居する親がいる男⼥1,000 人(介護経験あり500 人・なし500 人)
●調査方法︓インターネット調査
●調査委託先︓マクロミル
※構成比(%)は小数第2 位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
■調査結果
介護に対するイメージ・考え方︓介護経験者の方が介護をポジティブに捉える傾向
変わらぬ「介護」のネガティブなイメージ
介護のイメージを聞くと、「精神的な負担が⼤きい」(69.5%)、「肉体的な負担が⼤きい」(63.5%)などネガティブなイメージが高く、2023 年調査とほぼ同様の傾向が⾒られました。
Q. 一般的な「介護」のイメージ上位10項目(複数回答)
介護経験者は「親孝⾏」「恩返し」「家族の絆」など、介護をポジティブに捉える傾向が⾼くなる
介護のポジティブなイメージについて介護経験のあり・なしで比べると、介護経験がある親世代は「親孝⾏」(介護経験あり47.0%︓介護経験なし24.6% 22.4 ポイント差)や「恩返し」(介護経験あり29.8%︓介護経験なし13.8% 16.0 ポイント差)などポジティブなイメージが高くなっています。
⼦世代も「親孝⾏」(介護経験あり30.4%︓介護経験なし21.6% 8.8 ポイント差)と、介護経験がある方がポジティブなイメージが高くなっています。
Q. 介護経験別 「介護」のイメージ (複数回答)
介護経験で介護の考え方が変化、「プロに頼ると安心」は⾼まり、「⾃分の手で介護すべき」は低下
介護経験がある1,000 人に、介護経験の前と後での介護に対する考え方の変化を聞きました。
「介護のプロに頼ると安心」は、介護経験前は46.7%でしたが、経験後は64.5%と17.8 ポイント高くなり、「外部の介護サービスを利⽤するべき」も経験前43.7%から経験後65.0%と21.3 ポイント、杖や介護ベッドなど介護・福祉⽤具は早めに利⽤するべき」(29.8%→43.8%)も 14.0 ポイント高くなっています。逆に、「高齢者施設に入所させるのは抵抗がある」(25.0%→11.3%)は13.7 ポイント、「家族の介護を他人に任せるのは罪悪感がある」(18.6%→6.2%)は12.4 ポイント、「家族は⾃分の手で介護すべき」(14.7%→7.7%)は7.0 ポイントと低くなっています。実際に介護を経験することで、介護のプロのサービスやアイテムを利⽤するメリットを実感する人が多いようです。
Q. 介護経験者に聞く、介護経験前と後での介護に対する考え方の変化 (複数回答)
介護についての話し合い︓親子で話し合っている割合は少なく、話し合うタイミングも遅い傾向
親世代約5 割、子世代約7 割が介護について家族で事前に話し合うことは「難しい」と感じている
介護について親子で話した経験は、親世代16.5%、子世代25.2%
将来の介護について事前に話し合うことは難しいと思うかと聞くと、親世代の53.2%、⼦世代の66.6%が「難しいと思う」と答えました。そこで、親世代には⾃分⾃⾝の、⼦世代には親の介護について、親⼦で話し合った経験を聞くと、親世代が⾃⾝の介護について⼦と話し合った経験は16.5%、⼦世代が親の介護について親と話し合った経験は25.2%と、親と⼦の感覚にギャップが⽣じています。
また介護について親と話し合った⼦世代(252 人)に、初めて介護について話し合ったきっかけを聞くと、「親が病気や入院をしたとき」(30.6%)、「親の介護が必要になったとき」(30.2%)が上位となり、いずれかを選択された方は46.8%でした。約半数が親の病気や介護を機に必要に迫られてやっと話し合っています。
Q.介護について親と話し合ったきっかけ(複数回答)
介護について親子で話すことで、介護のイメージはポジティブに
介護のイメージは、前述の通りネガティブなイメージで捉えられていますが、親⼦で介護について話し合った経験がある人は、親世代では「家族の絆を深める」「感謝」(同率21.2%)など、⼦世代では「親孝⾏」(35.3%)や「恩返し」(25.8%)などのポジティブな気持ちが、話し合っていない人に比べ高くなっています。介護について親⼦で話し合うことで、介護のイメージはポジティブなものへと変わるようです。
介護の不安解消のためにできることは、介護サービスに関する正しい情報収集や「家族での話し合い」
介護経験者1,000 人に、介護に関する不安の解消につながることを挙げてもらいました。
1 位「⾏政・⾃治体の介護関連サービスについて情報を入手」(58.5%)、2 位「介護サービスについての基礎知識を⾝につけておく」(57.6%)など、まずは介護に関する情報・知識を得ておくことが上位に挙げられ、次いで「介護費⽤の準備をしておく」(47.8%)、「介護の方針を決めておく」(47.3%)、「家族や兄弟・姉妹で話し合う」(46.2%)が続いています。具体的な準備と並⾏して、家族で話し合うことが、介護の不安解消に向けた第一歩となるようです。また、「介護に関する親の希望を聞いておく」は全体では40.9%ですが、介護経験がある⼦世代の⼥性では56.8%と高くなっています。親の⽴場に⽴って考えることも忘れたくない視点の一つです。
Q. 介護不安解消のためにできること(複数回答)
Q. 介護不安解消のためにできること(親子・男⼥別)(複数回答)
子世代就業者の介護︓外部サポート利⽤意向が低く、抱え込みやすい
親が要介護になったとき、子世代の就業者の半数は「仕事の調整」を心配
20〜50 代の⼦世代は、現役で仕事に就いている人が多い世代です。今回の調査対象者のうち、⼦世代の就業者(公務員・会社員・⾃営業・⾃由業を選択した629 人)に、親が要介護になったと仮定して不安を感じることを聞くと、介護を⾏う家族の「精神面」(55.6%)や「体⼒面」(51.0%)の不安と並んで、「仕事を調整しないといけない」(50.1%)を挙げた人が過半数います。⼦世代の就業者にとって、親が介護状態になることは、精神面や肉体面の不安だけでなく、「仕事」に関する不安が⼤きくなっています。
Q. 子世代の就業者に聞く、親が要介護になったとき不安を感じること(複数回答)
⼀方で、「外部介護サービスを利⽤すべき」「早めに医師や⾃治体に相談すべき」などの意識が低く、デイケアなど外部サービスのサポートを望む声は低い
介護経験がない親世代・⼦世代1,000 人に介護に対する考え方を聞くと、全体では53.5%が「外部介護サービスを利⽤するべきだと思う」と答えたのに対し、⼦世代の就業者では47.8%と5.7 ポイント低くなっています。また、「早めに医師や⾃治体に相談するべきだと思う」も、⼦世代の就業者は31.2%と全体結果(43.3%)より12.1 ポイントも低くなっています。⼦世代の就業者は、デイケアなどの外部サービスのサポートを望む声が低くなっています。
次に、⼦世代に親が要介護となったときに望むサポートについて聞き、就業者と専業主婦・主夫を比較しました。すると、「デイケアなど短時間でも依頼できるサービス」(就業者57.6%︓専業主婦・主夫75.4% 17.8 ポイント差)、「⾏政の⽀援」(就業者54.8%︓専業主婦・主夫69.4% 14.6 ポイント差)など、就業者は専業主婦・主夫に比べ外部サポートに頼らない・頼りたくない傾向が⾒られ、わずかとはいえ4.0%は「サポートは必要がない」と答えています。また、「介護休業制度などの職場のサポート」を望むと答えた就業者も35.1%と少なく、周りのサポートやサービスを受けない・受けたくない傾向がうかがえます。
Q. 子世代の仕事別、親が要介護になったときに望む介護サポート (複数回答)
子世代の就業者は「子どもは親の暮らしをサポートすべき」という気持ちが強く、介護を抱え込みがち
親世代と⼦世代の就業者に、⼦どもは親の暮らしをサポートすべきかと聞くと、「そう思う」と答えた親世代は45.0% ですが、⼦世代の就業者では67.1%と高くなっています。外部サービスのサポートを望まず、親の暮らしをサポートすべきという意識が高い⼦世代の就業者。もしも親の介護が必要になったとき、一人で抱え込んでしまうことが心配されます。
Q.子どもは親の暮らしをサポートすべきだと思う
(「そう思う」「ややそう思う」と答えた人のスコア)
■専⾨家のご意⾒
NPO 法人となりのかいご 代表理事・川内 潤さんに聞く 介護の視点のずらし方
あなたの介護は親のため︖ それとも⾃分の不安解消のため︖
介護マインドを変えるため、“介護は誰のためにするのか”という部分を⾒直してみてはいかがでしょうか。「親のための介護」とおっしゃる方が多いと思うのですが、⾃分の不安を解消するために手厚い介護をされている方も中にはいるようです。例えば、脳梗塞で倒れた親御さんの介護をしている方で、起き上がって転ぶことを心配するあまり、「転んだら危ないから」と親御さんが動き回ることを止めてしまう。親としても、⼦どもに心配はかけたくないので、本当は動きたくても、動かないようにする。親孝⾏だと思ってやっている“手厚い介護”が、親御さんが何をしたいかという考えではなく、⾃分の不安を解消するための“リスク管理”になってしまい、親御さんを寝たきりにしてしまうケースもあるのです。
「⽬が離せない」のはあなたのマインドが原因︖ “⾒ない・知らない”スタンスも必要です
「うちの親は目が離せなくて」とおっしゃる方も多いのですが、目が離せない状態なのではなく、あなたが目を離せないというマインドになってはいないでしょうか︖ 親が転んでけがをした。そんなシーンを⾒たら、ますます“リスク管理”を強めてしまいます。あなたがどんなに介護を頑張っても、親の⽼いが改善するわけではありません。それであれば、介護はプロに任せて、普段は“⾒ない・知らない”というスタンスで、冷静になることも必要です。⾃分の不安解消のための介護になっているかどうかは、介護が始まってしまうと⾃分では気付けないものです。介護が始まる前に、 “⾒ない・知らない”というスタンスが家族の関係性を良好に保つこともあるという、そういったスタンスも必要であることを頭に入れておいておくことも⼤切です。
「Cool Heads but Warm Hearts」 介護には優しさと冷静さの両方が必要です
「Cool Heads but Warm Hearts」は経済学者の⾔葉ですが、「心は温かく共感性を持って、でも頭の中は常に冷静に」というのは、介護の極意としても引⽤される⾔葉です。日本人は、介護は家族でやるべきだと潜在的に刷り込まれていますが、介護職は⾃分の家族の介護はやるものじゃないと教わります。「Warm Hearts」に頼る家族だけの介護は本当に難しい。「Cool Heads」のために外部のサービスを利⽤してみてください。例えば地域の掲⽰板を⾒ると、⾃治体主催の介護予防に関する講座や体験会が開催されています。ちょっとだけ意識を外に向けてみると、頼れる情報がたくさんあります。一人で抱え込まずに「Cool Heads」に頼ってみましょう。
介護におけるKPI は「良好な家族関係の維持」 家族の価値観で全然違います
ビジネスではKPI(Key Performance Indicator︓重要業績評価指標)という⾔葉をよく使いますが、介護におけるKPI は「良好な家族関係の維持」に尽きます。ですが、どれだけ⾃分が頑張ったかを重視する人が少なくないのです。KPI の設定を間違うとビジネスが破綻するように、介護もうまくいきません。家族にはさまざまな形があり価値観も異なります。介護の方法もこれが正解というものはありません。⾃分の親⼦関係を棚卸しして、うちの家族には何が最適なのか⾒直してみると良いのではないでしょうか。
その他の調査結果とこれまでの「親子で向き合う介護レポート」(2023 年度、2022 年度)はこちらからご覧いただけます。
ダスキン ヘルスレントURL : https://healthrent.duskin.jp/
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