「東京芸術劇場&山田和樹 交響都市計画」──新シリーズスタート!水野修孝/『交響的変容』
2026年5月10日(日) 12:00開演 東京芸術劇場 コンサートホール
東京芸術劇場では2026年4月1日付で、山田和樹氏を音楽部門の芸術監督に迎え、開館以降初めて芸術監督を2人体制とし、新たに始動いたします(舞台芸術部門:岡田利規氏)。
開館以来初となる音楽部門の芸術監督就任にともない、音楽公演のさらなる創造発信をめざして、新プロジェクト「山田和樹&東京芸術劇場 交響都市計画」をスタートします。

かねてから邦人作品を積極的に取り上げている山田氏が芸術監督として最初に取り上げるのは、水野修孝作曲『交響的変容』です。この作品は、クラシック音楽、ジャズ、民族音楽など多様な要素を内包し、初演時(1992年)は総勢約700名の演奏家を要したという、邦人作品のなかでも内容・規模ともに最大級といわれる大曲です。
初演を務めた太鼓奏者・林英哲氏、東京混声合唱団、栗友会合唱団と、山田氏が深い信頼を寄せる読売日本交響楽団が一同に会し、この伝説的な作品に挑みます。
「近未来」「芸劇から世界への発信」「クロスオーバー」をテーマに掲げ、山田氏とともに新たな創造と挑戦へ踏み出す東京芸術劇場の音楽プログラム。新時代の始まりを告げる響きの大スペクタクルに、どうぞご期待ください。
山田和樹・次期芸術監督からメッセージ

史上最大の交響作品の蘇演がついに実現!!
世界を見渡してもこれほど大規模な作品は、ほとんどないだろう。それを日本人が創り出し、演奏を成し遂げたという驚き。
いつの頃からか、「大きいことはいいことだ!」という価値観が変容していき、コロナ禍がそれに拍車をかけ、最近では
大規模なプロジェクトは本当に少なくなってしまった。
だからこそ、人が集うことの原点に帰りたい。公共ホールは、人が集うためにこそ存在していて、社会性や人間性の復帰の
場を提供るという大事な役割を担っているからだ。
今こそ、大きい作品を上演して、舞台も客席も溢れかえるほどの盛り上がりと熱量を呼び起こしたい。そうなると、『交響的変容』ほどうってつけの作品はないのだ。
東京芸術劇場の芸術監督に就任するにあたり、この『交響的変容』公演をもって"交響都市計画"の
第一弾としたい。乞うご期待!!
次期芸術監督への3つの質問
Q1. 芸術監督としての最初の公演で、なぜこの作品を取り上げようと決めたのですか?
──以前に、水野修孝先生の交響曲第4番を日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会で指揮したとき、「これは自分が作曲したんじゃないだろうか?」という特別な感覚がありました。オーケストラから紡ぎ出される音が、あたかも自分の身体から生まれているような不思議な感覚があったのです。それ以来、水野先生の作品群の大ファンになりました。
この『交響的変容』はその中でも超弩級のサイズを誇る作品で、1992年に初演されて以来ずっと、その再演は”不可能”であるとされてきました。”不可能”と聞くと、何としてもそれを実現できないか、という本能レベルで吸い寄せられるものがあり、ずっと蘇演の機会を探していました。そこに東京芸術劇場の芸術監督就任がリンクしたという次第です。
水野先生は現在91歳にして大変お元気でいらっしゃいます。是非、水野先生の目の前で、自分の手によって蘇演を果たしたいという想いが強くありました。
とは言うものの、作品の巨大さもあり、並大抵の企画力や制作力では乗り越えられるものではなく、東京芸術劇場のスタッフの叡智を結集する必要がある作品です。東京芸術劇場全体が一丸となって贈る企画であり、芸術監督としての最初の公演で、是非そのチームワークの凄さを皆さんに見ていただきたいという思いも込めています。
Q2. 今回の上演にあたって、特に重視している点、チャレンジしたい点はありますか?
東京芸術劇場というサイズに合わせたアレンジを施しつつ、それでも作品が本来持っている壮絶さや鮮烈さを失わせないようにすることは僕にとって大きなチャレンジになってきます。
オーケストラは、すでにお互いに心の通い合っている読売日本交響楽団。合唱は、東京混声合唱団と栗友会合唱団。この二つの合唱団は初演の際のコンビネーションでもあります。日本大太鼓に林英哲さん。考えうる最高のキャスティングでの総力戦でお送りするこの舞台を、何としても成功させる必要があります。
自分自身もこれほどの巨大作品を指揮するのは初めてのことになるので、演奏会までまだ何ヶ月もあるものの、考えるだけで手が汗ばんでくるほどに、緊張と興奮を抑えられずにいます。
そして、作品自体が巨大であることもそうなのですが、この『交響的変容』から発せられるメッセージには、現代社会にとって意味深いものがあります。ただ大きい作品をやり切って良かったね、で終わるのではなく、あくまでその先を見据えていかなければなりません。Symphonic [交響的]なものは、Sympathy [共感]を生み出していきます。そこには調和と混沌が織りなす世界があります。世界情勢も油断ならなくなっている今こそ、ハーモニーという名の奇跡の価値を見つめ直せればと思っています。


Q3. 就任にあたってのメッセージで、山田さんは「池袋から世界への発信」をテーマに掲げられていました。芸術監督として、劇場から今後どのようなことを世界に発信していきたいですか?
──「池袋から世界へ」、「東京から世界へ」、「日本から世界へ」と言うのは簡単なのですが、実際にはとても大変なことです。
東京芸術劇場にはすでに卓越した企画力と制作力が備わっていますが、世界を見据えるには、さらに想像力と創造力を結集させて掛け合わせていく必要があると思っています。それには自分の力だけでは不十分なのです。
和を尊ぶ日本人としての長所をもってして、過去の歴史に学びつつ、新しい価値を生み出していかない限り、世界の扉はなかなか開かれないでしょう。
なので、芸術監督という自分の役割としては、東京芸術劇場という場が、湧水の如く、人材とアイディアが生み出される場になることを目指していくことにあると思っています。一朝一夕にはいかず、すぐには結果も出ないかも知れませんが、今それを目指していかなければならないという使命感のようなものを感じています。
いつかは世界に向かって、東京芸術劇場がプレゼンツするプロジェクトを持って”道場破り”みたいなことが出来たら良いですが(笑)、具体的なことはまだまだこれからになります。抽象的ではありますが、世界のどこにもなかった日本独自のアプローチを礎にした舞台を生み出すことが出来たら最高ですね。

山田和樹・次期芸術監督 プロフィール
2009年第51回ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。ほどなくBBC交響楽団を指揮してヨーロッパ・デビュー。同年、ミシェル・プラッソンの代役でパリ管弦楽団を指揮して以来、破竹の勢いで活躍の場を広げている。2012年~2018年スイス・ロマンド 管弦楽団の首席客演指揮者、2016/2017シーズンからモンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督、2023 年4月からバーミンガム市交響楽団首席指揮者兼アーティスティックアドバイザーを務め、その後、2024年5月には同団音楽監督に就任。近年は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン交響楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、クリーブランド管弦楽団、ニューヨーク・フィルハーモニックなどにデビュー。2026/2027シーズンより、ベルリン・ドイツ交響楽団首席指揮者兼芸術監督に就任予定。日本では、東京混声合唱団音楽監督兼理事⾧、学生時代に創設した横浜シンフォニエッタの音楽監督として活動、2026年4月1日より東京芸術劇場の芸術監督(音楽部門)に就任予定。第56回(2024年度)サントリー音楽賞受賞。
出演者プロフィール
読売日本交響楽団
1962年、クラシック音楽の振興と普及のために読売新聞社、日本テレビ放送網、読売テレビのグループ3社を母体に設立された。創立以来、世界的な指揮者、ソリストと共演を重ねている。現在、常任指揮者をドイツの名匠S.ヴァイグレが務め、名誉顧問に高円宮妃久子殿下をお迎えし、サントリーホールなどで演奏会を多数開催。事業提携を結んでいる東京芸術劇場では《土曜・日曜マチネーシリーズ》を開催し、好評を博している。またシアターオペラへの出演や教育関連事業など、多彩なプロジェクトを共同で開催している。2017年11月にはS.カンブルラン指揮のメシアン『アッシジの聖フランチェスコ』(全曲日本初演)がサントリー音楽賞などを受賞。22年12月には文化庁芸術祭大賞を受賞。演奏会などの模様は日本テレ「読響プレミア」で放送されている。

東京混声合唱団
1956年に創設された日本を代表するプロ合唱団。音楽監督は山田和樹。東京・大阪での定期演奏会、内外のオーケストラとの共演やオペラへの出演、青少年を対象とした鑑賞音楽教室、海外公演を含む年間150回の公演のほか、数多くのレコーディングやテレビ、ラジオへの出演がある。レパートリーは、創立以来行っている作曲委嘱活動で生まれた250曲を超える作品群をはじめ、内外の古典から現代作品までと幅広く、各地の合唱団との合同演奏、指導者派遣等も精力的に行っている。文化庁芸術祭大賞、音楽之友社賞、毎日芸術賞、京都音楽賞、レコード・アカデミー賞、サントリー音楽賞、中島健蔵音楽賞などを受賞。

栗友会合唱団
栗友会は栗山文昭を音楽監督兼指揮者とする12の合唱団<合唱団響、コーロ・カロス、宇都宮室内合唱団ジンガメル、Youth Choir Aldebaran、女声合唱団青い鳥、うつのみやレディーシンガーズ晶<AKIRA>、松本女声アンサンブルAZ、女声合唱団九月の風、女声合唱団彩、合唱団るふらん、Tokyo male choir KuuKai、宇都宮おとこコーラス粋狂座>で構成。各団は演奏会、演奏旅行、レコーディングなど、また<栗友会合唱団>としてオーケストラとの共演やTokyo Cantatへの参加などの活動を行う。

林 英哲(太鼓)
1971年 太鼓集団の発足に参加、76年に小澤征爾指揮ボストン響と共演、78年にはブロードウェイでのロングラン公演など、数多くの国内外公演で主演。1982年、独奏の太鼓奏者として活動開始。84年には、水野修孝作曲《交響的変容》第3部にて、史上初の和太鼓協奏曲ソリストとしてカーネギーホールにデビューを果たした。以降、2000年にはワルトビューネでベルリン・フィルと共演するなど、国内外のオーケストラと数多く共演。海外公演は50数カ国に及ぶ。2020年のNHK大河ドラマ「麒麟が来る」のメインテーマなどに参加。CD、DVD、著書も多い。芸術選奨文部大臣賞、松尾芸能賞大賞、旭日小綬章、福岡アジア文化賞大賞、中国文化賞ほかを受賞(受章)。2026年に演奏活動55周年を迎える。

水戸博之(総合監修)
北海道江別市出身。東京音楽大学作曲指揮科(指揮)卒業。これまでに札幌響、仙台フィル、山形響、新日本フィル、東京フィル、東京響、読売日本響、神奈川フィル、オーケストラアンサンブル金沢、名古屋フィル、中部フィル、京都市響、大阪フィル、関西フィル、広島響、九州響等に客演。2023年2月しまね県民オペラ2023にて《ラ・ボエーム》を指揮し、オペラデビューを飾る。また合唱指揮者として東京混声合唱団、新国立劇場合唱団と共演を重ね、同団定期演奏会の他、多くのオペラ公演などで合唱指揮を務めた。現在、東京混声合唱団常任指揮者、東京音楽大学指揮科非常勤講師。

公演概要
公演名称
山田和樹&東京芸術劇場 交響都市計画 水野修孝/『交響的変容』
日時
2026年5月 10日(日) 12:00開演(11:00開場/16:30終演予定)
会場
東京芸術劇場 コンサートホール(〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-8-1)
出演
山田和樹(指揮・プロデュース/東京芸術劇場 次期芸術監督(音楽部門))
読売日本交響楽団
東京混声合唱団、栗友会合唱団(合唱指揮:栗山文昭、碇山隆一郎)
林 英哲 (太鼓)
武藤厚志(ティンパニ/読売日本交響楽団)
水戸博之(総合監修)
WEBサイト
https://www.geigeki.jp/performance/concert327/
チケット料金
S席17,000円 S音かぶり席*16,000円 A席15,000円 B席13,000円 C席11,000円 D席9,000円 高校生以下1,000円
U25(25歳以下)S席8,500円 S音かぶり席8,000円 A席7,500円 B席6,500円
*S音かぶり席:打楽器の間近の席のため、大音量となります。あらかじめご了承ください。
チケット発売
芸劇メンバーズ先行(WEB先着)発売/11月22日(土) 10:00 ~ 28日(金) 23:59
一般発売/11月29日(土) 10:00
チケット取扱
東京芸術劇場ボックスオフィス
TEL:0570-010-296(休館日を除く10:00-19:00)
窓口:休館日を除く10:00-19:00
WEB:https://www.geigeki.jp/t/ ※24時間受付(メンテナンス時間を除く)
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/geigeki/
イープラス https://eplus.jp/geigeki/
ローソンチケット https://l-tike.com
主催:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
事業提携:読売日本交響楽団
協力:東京音楽大学、豊島区仏教会、株式会社 全音楽譜出版社
東京芸術劇場
公式WEBサイト https://www.geigeki.jp
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