【国立国際美術館】特別展「非常の常」2025年6月28日(土)から10月5日(日)まで開催
8人の作家の表現を通じて、常態化する非常事態の日々を見つめ、明日を生きる希望を探る
国立国際美術館は、2025 年 6月 28 日( 土)から 10 月 5日( 日 )まで、「非常の常」展を開催します。
私たちは今、常態化した非常事態を生きています。
理不尽な攻撃や突然のクーデター、地震、洪水、山火事などの自然災害によって、多くの人々が住む場所を失い、強制的な移住を余儀なくされています。未知のウイルスが突如私たちの生命を脅かした経験は記憶に新しく、それによる政治的混乱、人間関係の分断、日常の喪失は、今なお日々の暮らしに影を落としています。
生成AI など人工知能を含むテクノロジーが飛躍的に発達し、私たちが目にするイメージや情報の真正性の判断は、時に極めて困難になりました。さらに、情報の流通が複雑なアルゴリズムに支配され、サイバー空間での攻撃がいよいよ本格化したこの超高度情報化社会では、誰もが生の根底に不安を抱き、焦燥感や拠りどころのなさを抱えています。
こうした「非常の常」の時代を、私たちはどのように生きることができるのでしょうか。本展では、8 名の作家の表現を通じて、時代を見つめ、想像力を膨らませ、明日を生きる希望を探ります。

出品作家 ※変更となる場合があります
シプリアン・ガイヤール(1980 年生まれ、ドイツ/フランス拠点)
Cyprien Gaillard
潘逸舟(1987 年生まれ、日本拠点)
Ishu Han
クゥワイ・サムナン(1982 年生まれ、カンボジア拠点)
Khvay Samnang
キム・アヨン(1979 年生まれ、韓国拠点)
Ayoung Kim
リー・キット(1978 年生まれ、台湾拠点)
Lee Kit
高橋喜代史(1974 年生まれ、日本拠点)
Kiyoshi Takahashi
米田知子(1965 年生まれ、イギリス拠点)
Tomoko Yoneda
袁廣鳴(ユェン・グァンミン)(1965 年生まれ、台湾拠点)
Yuan Goang-Ming
本展の見どころ
◎展覧会を通して考える「非常の時代」
地震、山火事、洪水、津波、かつてない気候変動などの天変地異。
クーデター、侵略、戦争、突然の世界的経済危機など、地球上のあらゆる混乱は加速度を増しています。一見、穏やかで美しい風景を切り取ったかのような米田知子の写真が撮影されたのは、休戦状態で今も緊張が続く韓国と北朝鮮の間の非武装地帯(DMZ)。袁廣鳴(ユェン・グァンミン)は、居心地の良い居住空間が何者かによって次第に破壊されていく、戦争と背中合わせの日常を描き出しています。精霊を召喚するパフォーマンスで環境問題を鋭く批評するクゥワイ・サムナン、高度情報化社会と新自由主義が可能にしたギグエコノミーやプラットフォーム労働の問題を扱うキム・アヨンなど、さまざまな作品を通じて、世界で起こっている同時代的な危機や社会問題について考えます。



◎映像表現の新たな可能性を目撃する
本展では、8作家中7作家の作品が映像によるインスタレーション作品を発表します。
3D アニメーションと実写を組み合わせた短編映画のような映像で観客を魅了するキム・アヨン、作家自身による体当たりの行為を美しいモノクロ表現で見せる潘逸舟、作家の等身大のコミュニケーションを元にした映像作品を通じて、社会が抱える難題にアプローチする手がかりを探る高橋喜代史、創意を凝らした撮影技術で驚くべき精緻な映像世界を提示する袁廣鳴(ユェン・グァンミン)。クゥワイ・サムナンによる5チャンネルの映像インスタレーション作品、映像を絵画的に用い、詩的な美しさを湛えるリー・キットの新作インスタレーションなど、バラエティに富んだ映像の表現を一堂にご覧いただけます。


◎世界的に活躍する注目作家の話題作・新作を紹介
台湾のヴィデオ・アートシーンを牽引してきた映像作家の袁廣鳴(ユェン・グァンミン)は、昨年のヴェネチア・ビエンナーレ台湾館のために制作・発表した話題作《日常戦争》(2024 年)を、国内の美術館では初めて展示します。
韓国のキム・アヨンは、本展出品作《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》(2022 年)で、アルス・エレクトロニカ賞のニュー・アニメーション・アート部門にて2023 年にゴールデン・ニカ賞(グランプリ)を受賞。昨年は韓国の国立アジア文化殿堂(ACC)にて第一回のフューチャー・プライズを受賞しました。現在、世界各国で個展が開催される、世界的に注目される作家です。
《日常戦争》《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》は、いずれも国立国際美術館に昨年度所蔵され、本展で初のお披露目となります。
香港出身、台湾に拠点を置き世界的に活躍するリー・キットは、2018 年に原美術館(東京)で開催され大きな話題となった個展「僕らはもっと繊細だった。」(We used to be more sensitive.) 以来の、国内の美術館でのまとまった新作の発表となります。新作タイトルは「僕らはもっと分別があった。」(We used to be more sensible.) 、ぜひご期待ください。



関連イベント
○「高橋喜代史《フリー・スイカ・バー》パフォーマンス」
日 時:2025 年6 月28 日(土)、10 月5 日(日)いずれも14:00 より
(終了時間未定、ただし最長17:00 まで)
会 場:国立国際美術館正面玄関前 ※雨天の場合、内容を変更し館内で実施
参加費無料
参加者にはスイカジュースを配布します。
○トーク・イベント「非常の時代のアテンション」
日 時:2025 年 8 月 3 日(日)14:00‒16:00( 予定)
会 場:B1 階講堂
登壇者:岡田温司(京都大学名誉教授)、石谷治寛(広島市立大学芸術学部准教授)、
大木美智子(ロンドン大学専任上級講師)、橋本 梓(本展企画担当、当館主任研究員)
定 員:100 名
(当日10:00 からB1 階インフォメーションにて整理券を配布します(お一人様1 枚))
参加費無料
○ドキュ・アッタンシアター#大阪
日 時:2025 年8月24 日(日)14:00‒16:00(予定)
会 場:B1 階講堂
定 員:100 名
(当日10:00 からB1 階インフォメーションにて整理券を配布します(お一人様1 枚))
企画協力:ドキュ・アッタン
ミャンマーでは2021 年の軍によるクーデター以後、多くのジャーナリストやアーティストが国を追われ、命を奪われる状況にあります。
ドキュ・アッタン(Docu Athan)は、ミャンマーで拘束された経験を持つジャーナリストの北角裕樹とドキュメンタリー作家の久保田徹の発案から生まれた、ミャンマー人のクリエイター(ジャーナリスト/ 映像制作者/ アーティストなど)支援のためのオンラインプラットフォームです。アッタンはミャンマー語で声や意見を意味します。
オンラインプラットフォームのみならず、上映会を開催して作品を日本に紹介するなど、さまざまなかたちで制作を支えることで、ミャンマーのクリエイターたちが集う場としての役割を果たすことも目的としています。ウェブサイトでは作品を無料で視聴できるほか、クリエイターに寄付を行うことができる仕組みが設けられています。
今回の上映会では、ミャンマーのクリエイターたちによる映像作品の上映会 に加え、2025 年3 月28 日に発生したミャンマー地震での現地の様子についても報告する貴重な機会となります。
○展覧会見どころ解説
日 時:2025 年9 月15 日(月・祝)14:00‒15:00(予定)
会 場:B1 階講堂
講 師:橋本 梓(本展企画担当、当館主任研究員)
定 員:100 名
参加費無料
開催概要
会 期:2025 年6 月28 日(土)‒10 月5 日(日)
会 場:国立国際美術館 地下3 階展示室(〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-55)
開館時間:10:00‒17:00、金曜・土曜は20:00 まで ※入場は閉館の30 分前まで
休館日:月曜日(ただし7 月21 日、8 月11 日、9 月15 日は開館)、
7 月22 日、8 月12 日、9 月16 日
主 催:国立国際美術館
協 賛:ダイキン工業現代美術振興財団
助 成:一般財団法人安藤忠雄文化財団
観 覧 料:一般1,500 円(1,300 円)大学生900 円(800 円)
( )内は 20 名以上の団体及び夜間割引料金(対象時間:金曜・土曜の17:00‒20:00)
高校生以下・18 歳未満無料(要証明)
心身に障がいのある方とその付添者1 名無料(要証明)
本料金で、同時開催のコレクション展もご覧いただけます。
交通アクセスはこちら
https://www.nmao.go.jp/visit/admission/
一般のお客様からのお問い合わせ先
国立国際美術館 TEL:06-6447-4680(代表)
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