2022年3月、ベネッセアートサイト直島に2つの新ギャラリーが開館 

■安藤忠雄氏が設計する直島での9つ目の建築「ヴァレーギャラリー」 ■杉本氏の多様な作品を鑑賞・体感できる「杉本博司ギャラリー 時の回廊」

 株式会社ベネッセホールディングス(本社:岡山県岡山市、以下:ベネッセ)はベネッセハウス(香川県香川郡直島町)の開館 30 周年となる 2022 年、新たに 2 つのアート施設を開館します。ベネッセアートサイト直島*における安藤忠雄氏設計の 9 つ目の建築となる「ヴァレーギャラリー」、そして 2006 年に開館したベネッセハウスパークにおける杉本博司氏の作品空間をさらに拡大・整備した「杉本博司ギャラリー 時の回廊」です。


 2021年10月9日(土)、近隣の報道関係者のみを対象とした記者発表を行いました。記者発表の内容は、11月4日(木)より、オンラインでご覧いただけます。閲覧方法などの詳細は広報までお問い合わせください。


■当日のプログラム
①記者発表︓杉本博司氏(現代美術家)、安達保(株式会社ベネッセホールディングス代表取締役会長CEO)、三木あき子(ベネッセアートサイト直島 インターナショナル・アーティスティック・ディレクター)が現地にて、福武總一郎(ベネッセアートサイト直島代表)が海外からオンラインにて、オープンに至る経緯や作品について説明。
②茶室披き:記者発表後、「硝子の茶室『聞鳥庵』」にて武者小路千家第15代家元後嗣、千宗屋氏を亭主に、小林眞一直島町長を正客として迎え、杉本博司氏の解説のもと開催。
③記念トーク:千宗屋氏、杉本博司氏による、茶室にまつわる記念トーク。

■ 記念トークは、11 月中旬よりベネッセアートサイト直島 公式サイトよりご視聴いただけます。
https://benesse-artsite.jp/

 







中央︓福武總一郎
 

 







左︓杉本博司 右︓安達保

 

 

【ギャラリーの紹介】
■ヴァレーギャラリー Valley Gallery
 山間に建つ新たな安藤建築とランドスケープ、草間彌生の《ナルシスの庭》と小沢剛の《スラグブッダ》

 







撮影︓宮脇慎太郎

「ヴァレーギャラリー」は、ベネッセハウスと地中美術館の間にある、李禹煥美術館向かいの山間に位置します。祠をイメージした安藤忠雄設計の半屋外建築と、その周辺の屋外空間一帯を含めたヴァレーギャラリーの整備により、自然の中に点在するベネッセハウスの各棟や美術館施設が繋がり、鑑賞者にエリア全体のランドスケープの体感を促し、海だけでなく、改めて季節ごとに異なる顔を見せる豊かな山の植栽を楽しんでいただきます。建物内外では草間彌生の《ナルシスの庭》が大規模に展示され、2006年より池の横に恒久展示されている小沢剛の《スラグブッダ 88-豊島の産業廃棄物処理後のスラグで作られた 88 体の仏》も一部改変して、自然・建築・アートの共鳴をより深く体験していただきます。

 

 

■杉本博司ギャラリー 時の回廊
Hiroshi Sugimoto Gallery:Time Corridors
杉本博司の多様な作品群を継続的かつ本格的に鑑賞・体感できる世界唯一のギャラリー

Hiroshi Sugimoto,Glass Tea House”Mondrian”, 2014
(c) Sugimoto Studio
The work originally created for LE STANZE DEL VETRO, Venice by Pentagram Stiftung

 「杉本博司ギャラリー 時の回廊」は、ベネッセハウス パークにおける杉本博司作品の展示空間を周辺のラウンジやボードルーム、屋外にまで拡げ、杉本の多様な作品群を継続的かつ本格的に鑑賞できる世界的にも他に例をみないギャラリーとなります。ベネッセアートサイト直島の黎明期より様々な形でアート計画に参加してきた杉本の当地との関わりを背景に、既存の《松林図》や《観念の形003オンデュロイド:平均曲率が0でない定数となる回転面》などに、主要な写真シリーズや、ヴェニス、ヴェルサイユ、京都で展示され人々を魅了してきた硝子の茶室《聞鳥庵》が新たに加わります。また、ラウンジおよびボードルームは杉本が主宰する新素材研究所のデザインによりカフェ機能も備えて、一新されます。

 

【建築家・アーティストより】
安藤忠雄(ヴァレーギャラリー Valley Gallery)

撮影︓矢野勝偉
 

 プロジェクトは福武總一郎氏らと共に、敷地を確認することから始まった。そして決まったのが、李禹煥美術館のある倉浦に向かう谷筋の一角、春先にはヤマツツジに覆われる斜面に囲われた美しい場所 だ。建物は、地形に応じて 30 度に開いた台形平面を持つ。コンクリートの壁による二重構造を成す建物は、12mm 厚の鉄板屋根で覆われる。鉄板にはシフトや切込みといった幾何学的操作により開口が穿たれており、建物内部に、雨や風、光といった自然の呼吸をそのままに取り入れる。小さくとも結晶のような強度をもつ空間をつくろうと考えた。

杉本博司(杉本博司ギャラリー 時の回廊 Hiroshi Sugimoto Gallery: Time Corridors)
 新設の硝子の茶室「聞鳥庵」を臨むカフェラウンジの改修にあたっては、極力安藤建築のディーテールを保全した上で、その空間に置かれる家具の彫刻化に挑みたいと思います。
まず私が最近発見した 3 種類の特殊な樹の説明をいたします。

神代杉の根方
神代杉は縄文杉とも呼ばれる樹木の半化石化したものを指します。この神代杉は紀元前 466 年に東北の活火山「鳥海山」が大爆発し、その時の地震によって大規模な山体崩壊が起こり、原生林の大木の一つだったこの巨大杉が地中に埋もれて眠ること 2400 年あまり、最近になって発掘されたものです。埋没時の樹齢を 1600 年と推定すると 4000 年前に発芽した杉ということになります。まさに神代の時代に生をうけたのです。

屋久杉の幹
過酷な環境で育った屋久杉は大木が多く、樹齢 1000 年以上の樹が屋久杉と呼ばれます。近年世界自然
遺産に登録され伐採は禁止されました。この屋久杉は樹齢 1500 年程、大分以前に伐採されたもので樹齢により内部が空洞化したものです。

Hiroshi Sugimoto, Caribbean Sea, Jamaica, 1980, gelatin-silver print, 119.4 x 149.2 cm
(c) Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi
 

栃の樹の側
栃木県の名の由来となる栃の樹はこの地方で伐採され樹齢は推定 600年。白く波打つ木肌が美しい。
この 3 種の樹木は様々な鳥の声を聴きながら時を渡ってきたに違いありません。神代杉の 4000年、屋久杉の 1500年、栃の樹の 600年、そして今、ここに杉本ギャラリーカフェラウンジにおける彫刻テーブルとして、時間の経過そのものを体現するのです。
「時の回廊」では、時間を遡る感覚を体感できるのです。巨木は我が国において、神の依代として信仰の対象になってきました。神代杉は縄文人によって、屋久杉は弥生人によって、栃の木は室町期の人々によって拝まれていたのだと思います。私はこの樹々達を「三種の神樹」と名付けました。

 

■各施設コンセプトと展示について 三木あき子
 境界や聖域とされる谷間に沿うように建てられたヴァレーギャラリーは、祠をイメージした小さな建物です。二重の壁による内部空間は内省的である一方、海側のシーサイドギャラリーと同様、半屋外に開かれ、光や風など自然エネルギーの動きも直接的に感じ取れます。今回、その屋内外に展示される《ナルシスの庭》は、草間彌生が 1966年のヴェネチア・ビエンナーレでパビリオン外の芝生に大量のミラーボールを敷き詰め、世界的注目を集めることになった記念すべき作品です。一方、恒久展示である小沢剛の《スラグブッダ》は、直島の歴史に残る八十八か所の仏像をモチーフとし、豊島で不法投棄された産業廃棄物を焼却処理した後に最終的に生じるスラグを素材に 2006年に作られました。安藤建築と、周囲の自然や地域の歴史を「映し出す」これらの作品が響き合い、改めて自然の豊かさや共生、無限と有限、根源的な祈りの心や再生などについて意識を促します。なお、建物内部の展示は数年ベースで展示替えを行う予定です。
 杉本博司ギャラリーは、杉本博司の直島における長年にわたる取組みが、作家の究極の作品とも言える小田原の《江之浦測候所》の生まれるきっかけとなった経緯から、創作活動のひとつの原点とも言える直島と江之浦を繋げる形で構想されました。江之浦測候所が建築と作庭などが中心となっているのに対し、本ギャラリーは、杉本博司の代表的な写真作品やデザイン、彫刻作品などを継続的かつ本格的に鑑賞できる世界的にも主要な展示施設です。これにより、直島では、護王神社などと合わせて、より幅広く杉本の多様な活動に触れていただくことが可能になります。「時の回廊」とは、建築空間や自然環境を回遊し体感することを促す安藤建築の特徴や、杉本博司が追求し続ける時間に対する問い、そして彼らの長年にわたる直島との関係性などを反映し、宿泊者や鑑賞者に自然の変化や壮大な時間の流れを体感、歴史や生きることについて思索を巡らせてもらうことを意図するものです。同施設も長期的な一部展示替えが想定されています。

 

Yayoi Kusama, Narcissus Garden, Stainless steel spheres, Installation View at The Glass House (New York), 2016 Copyright of Yayoi Kusama, courtesy of Ota Fine Arts
 

Hiroshi Sugimoto, Opticks 020, 2018,
type-C print, 119.4 x 119.4 cm
(c) Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi


■ヴァレーギャラリー施設情報
[概要]
名称:ヴァレーギャラリー / Valley Gallery
場所:香川県香川郡直島町琴弾地
延床面積:96.25 ㎡
開館:2022年3月
鑑賞料金:ベネッセハウス ミュージアムの入館料に含む
[建築]
設計:安藤忠雄
施工:鹿島建設
[第一期展示作品]
草間彌生 《ナルシスの庭》1966/2022 年( JT International SA 寄贈・公益財団法人福武財団所蔵)
小沢剛 《スラグブッダ 88 -豊島の産業廃棄物処理後のスラグで作られた 88 体の仏》2006 年(恒久設置)
アートディレクション:三木あき子

■杉本博司ギャラリー施設情報
[概要]
名称:杉本博司ギャラリー 時の回廊 / Hiroshi Sugimoto Gallery:Time Corridors
場所:香川県香川郡直島町琴弾地(ベネッセハウス パーク内)
延床面積:1372.4 ㎡
開館:2022年3月
鑑賞料金:検討中
[建築]
改修設計:新素材研究所
施工:AGB、イシマル
[作品](予定)
既存作品:《カボット・ストリート・シネマ、マサチューセッツ》1978年、《カリブ海、ジャマイカ》1980 年、《ワールド・トレード・センター》1997 年、《光の教会》1997年、《チャペル・オブ・ノートルダム・デュ・オー》1998年、《セント・ベネディクト・チャペル》2000年、《松林図》 2001年、《観念の形 003 オンデュロイド:平均曲率が 0 でない定数となる回転面》2005年、《五輪塔》2009年、《硝子の茶室「聞鳥庵」》2014年
新規展示作品:《Hyena-Jackal-Vulture》1976年、《華厳の滝》1977 年、《Past Presence 070, Grande Femme III, Alberto Giacometti》2016年、
《Opticks》2018年、《光学硝子五輪塔》2011-2012年、その他護王神社模型など。その他の作品詳細は開館時に発表予定。なお、作品は今後状況に応じて数年毎に展示替えを行う予定。
アートディレクション:三木あき子

■建築家・アーティスト略歴 ※アルファベット順
安藤忠雄

1941年大阪府生まれ。1969年安藤忠雄建築研究所設立。建築家、東京大学名誉教授。プリッカー賞(1995年)、UIA(国際建築家連合)ゴールドメダル(2005年)をはじめ国内外で受賞多数。代表作:1989年「光の教会」(大阪)、1992 年「ベネッセハウス」(直島)、2000年「淡路夢舞台」(淡路島)、2002年「フォートワース現代美術館」(アメリカ)、2004年「地中美術館」(直島)など。

草間彌生
1929年長野県生まれ。前衛芸術家、小説家。幼少期から幻視・幻聴を体験し、網目模様や水玉をモチーフした絵画を制作し始める。1957年に渡米、ネット・ペインティング、ソフト・スカルプチュア、鏡や電飾を使ったインスタレーションやハプニングなど多様な展開を見せ、前衛芸術家としての地位を確立。様々なオブセッションを乗り越え、単一モチーフの強迫的な反復と増殖による自己消滅という芸術哲学を見出す。近年ではテート・モダンやポンピドゥー・センターなどで大規模回顧展を開催。

小沢剛
1965年東京都生まれ。ユーモアを交えながら歴史や社会を鋭く批評する絵画、写真、映像、インスタレーションといった多様な手法の作品で知られる。東京藝術大学在学中から、風景の中に自作の地蔵を建立し、写真に収める《地蔵建立》開始。90年代初頭より《相談芸術》や牛乳箱を用いた超小型移動式ギャラリー《なすび画廊》を開始。1999年には日本美術史の名作を醤油でリメイクした《醤油画資料館》、2001年より女性が野菜で出来た武器を持つポートレート写真のシリーズ《ベジタブル・ウェポン》、2013年より、歴史上の実在する人物を題材に、事実とフィクションを重ね合わせ、物語を構築する「帰って来た」シリーズを制作。2007年より中国、韓国の作家とともに結成した「西京人」の活動も展開。

杉本博司
1948 年東京生まれ。1970年渡米、1974年よりニューヨーク在住。活動分野は、写真、彫刻、インスタレーション、演劇、建築、造園、執筆、料理と多岐に渡り、世界のアートシーンにおいて広く支持を得ている。杉本のアートは歴史と存在の一過性をテーマとし、そこには経験主義と形而上学の知見をもって、西洋と東洋との狭間に観念の橋渡しをしようとする意図があり、時間の性質、人間の知覚、意識の起源、といったテーマを探求している。世界的に高く評価されている作品は、メトロポリタン美術館(NY)やポンピドゥー・センター(パリ)など世界有数の美術館に収蔵。代表作に「海景」、「劇場」、「建築」シリーズなど。

【参考情報】

「ベネッセアートサイト直島」について https://benesse-artsite.jp/

「ベネッセアートサイト直島」は、瀬戸内海の直島、豊島、犬島を舞台に株式会社ベネッセホールディングス(岡山県岡山市)、公益財団法人福武財団(香川県香川郡直島町)が展開しているアート活動の総称です。アートを媒介とした地域づくりに三十数年にわたって取り組んでおり、地域に暮らす人々とともに新しい価値を生み出し、「Benesse=よく生きる」を世界へ発信しています。ベネッセアートサイト直島は、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けて策定したベネッセグループの「サステナビリティビジョン」においても、重点活動の1つとして、「地域との価値共創」の中核を担っています。

※以下、メディア関係者限定の特記情報です。個人のSNS等での情報公開はご遠慮ください。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります。

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。
※内容はプレスリリースにより異なります。

  1. プレスリリース >
  2. 株式会社ベネッセホールディングス >
  3. 2022年3月、ベネッセアートサイト直島に2つの新ギャラリーが開館