イエメン:最悪のコレラ流行と最大規模の人道危機【共同プレスリリース】

コレラ感染の疑い40万人、死者1,900人

コレラが疑われる症状があり、病院で治療を受ける子ども(2017年7月25日撮影) © UNICEF_2017_Moohialdin Fuad Alzekriコレラが疑われる症状があり、病院で治療を受ける子ども(2017年7月25日撮影) © UNICEF_2017_Moohialdin Fuad Alzekri

【2017年7月26日 アデン/サヌア(イエメン)発】

 紛争が続く中コレラが拡大し世界最大規模の人道危機に見舞われるイエメンを、ユニセフ(国連児童基金)事務局長アンソニー・レーク、世界食糧計画(国連WFP) 事務局長David Beasleyならびに世界保健機関(WHO)事務局長Tedros Adhanom Ghebreyesusが訪問し、以下のとおり共同声明を発表しました。

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 ユニセフ、国連WFP、WHOの3つの国連機関を代表する私たちは、イエメンの人道危機の規模の大きさを自らの目で見て、イエメンの人々の支援のための協力体制をさらに強化させるために、合同でイエメンを訪問しました。

 世界最悪のコレラの流行は、世界最大の人道危機の中で起きています。この3カ月だけで、40万件のコレラが疑われる症例が発生し、その関連で1,900人近くの人が死亡したと記録されています。必要不可欠な保健、水と衛生の施設は、この2年以上にわたる紛争により麻痺し、病気が感染する絶好の環境を作り出してしまいました。

 飢饉の発生が、この国の目前に迫っています。人口の60%は、次の食事をどこでどう手に入れられるのかわからずにいます。イエメンの200万人近い子どもたちは急性栄養不良の状態に陥っています。栄養不良に陥った身体はコレラに感染しやすくなり、病気が栄養不良を悪化させる、という悪循環に見舞われます。

 私たちは、ある病院で、息をする力すらも残っていないような子どもたちに逢いました。大切な子どもの病状を憂い、家族に食べさせるために奮闘している家族と話をしました。そして、車で町を通った際に、いかに保健や水の施設など必要不可欠なインフラが破損・破壊されているかを目の当たりにしました。
 

コレラが疑われる症状があり、保健センターで治療を受ける子どもたち(2017年7月12日撮影) © UNICEF_UN071656_Fuadコレラが疑われる症状があり、保健センターで治療を受ける子どもたち(2017年7月12日撮影) © UNICEF_UN071656_Fuad

 このような混沌とした状態の中、約1万6,000人の地域ボランティアたちは、一件一件家をまわり、下痢やコレラから身を守るための情報を提供しています。医師、看護師や重要な役割を果たしている保健員たちは、命を守るために昼夜問わず働いています。

 3万人以上の保健員たちは、この10カ月間、給料の支払いを受けていません。それでも、多くは働き続けています。私たちは、イエメン当局に、早急に保健員たちに給料を支払うよう要請しました。彼らがいなければ、助かるはずの命が救えなくなってしまうことを危惧しています。私たち国連機関は、このように極めて献身的な保健員たちに奨励金や給付金などを提供できるよう出来る限りのことをしていきます。

 私たちは、地域当局やNGOが、私たちのような国際人道支援機関の支援を受けて、非常に重要な仕事をしている様子も見ることができました。私たちは下痢治療センターや経口補水所を1,000カ所以上設立しました。また、栄養補助食や点滴液、救急車を含む医療関連物資の配送を進めると同時に、病院や地域保健所ならびに上下水道網の修復など、必要不可欠なインフラの再建も進めています。私たちは世界銀行との革新的なパートナーシップのもと、現場で必要とされる支援の提供と地域の保健施設の維持を支援しています。

 希望はまだあります。コレラが疑われる症状に陥っても保健サービスを受けられる人の99%は生き延びています。そして、今年、重度の急性栄養不良に陥る可能性のある子どもは、38万5,000人と推定されます。

 しかし、依然として悲惨な状況は続いています。毎日、何千人もが病気にかかります。病気の感染を止めるためには、継続した支援が必要です。イエメンの80%近くの子どもたちが早急に人道支援を必要としています。

 私たちは、アデンとサヌアでイエメンの指導者たちに会いました。彼らに、紛争の影響を受けている地域に人道支援従事者が入れるように求めました。そして、何よりも、紛争の平和的政治的解決を図るように強く求めました。

 イエメン危機はかつてないほどの支援が必要です。命を守り、今後の危機に備えるためにも、私たち3機関は、イエメン当局やパートナー団体と協力して、新しい形での活動の調整に取り組んでいます。

 私たちは、国際社会に対して、今こそイエメンの人々への支援を倍増することを求めます。それを達成できなければ、今私たちの目の前で起きている大惨事は、多くの命を奪うだけに留まらず、この国と未来の何世代もの人々に長きにわたり傷跡を残すことになるのです。

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■ユニセフについて
 ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
 公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)

 

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会社概要

URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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