芦ノ湖で無線通信を活用したデジタル監視・管理の実証を開始
<*>Low Power Wide Area:低消費電力で長距離のデータ通信を可能とする無線通信技術
1. 実証に至った背景
芦ノ湖は、神奈川県南西部にある県内最大の湖で、ニジマスやブラウントラウト、ヤマメ、わかさぎなどの釣り場としても有名です。
芦之湖漁業協同組合では、芦ノ湖における限りある漁場資源の保護と遊漁者同士のトラブルを防止するため、漁業規則を定めています。しかしながら、届け出を行わない不法操業者が多く存在することから、それらを早期発見するための巡回監視が必要不可欠となっています。
また、芦之湖漁業協同組合は、遊漁者に対してホームページ上で湖水の水温状況を情報提供していますが、その水温計測にかかる稼働負担が課題となっています。
一方、NTT東日本は、「地域に密着した現場力とテクノロジーの力で、夢や希望を感じられる持続可能な循環型の地域社会を共創」することをパーパスとして掲げ、デジタル技術の更なる活用を取り組んでおり、802.11ah(Wi-Fi HaLow™)を活用した実証を畜産場や都市型農場(ほ場)をフィールドに実施している中で、より遠距離の通信環境下での検証が必要となっていました。
そこで、LPWA通信のノウハウに長けているフルノシステムズとIIJと連携し、芦ノ湖における監視強化および管理稼働効率化を目的に実証を開始することになりました。
2. 実証概要
(1) 期間:2024年4月19日 ~ 2024年5月31日<予定>
(2) 場所:芦ノ湖湖岸
(3) 役割分担:
・NTT東日本 神奈川事業部:全体総括(検証設計、機器設置、運用管理など)
・フルノシステムズ :802.11ah(Wi-Fi HaLow™)関連機器およびサービス提供、運用
・IIJ :LoRaWAN®関連機器およびサービス提供、運用
・芦之湖漁業協同組合 :実証フィールド提供、監視・管理の運用稼働把握
(4) 実証ポイント:
① 「802.11ah(Wi-Fi HaLow™)」によるカメラ監視
・1km以上離れた対岸との映像データの通信状況把握
・監視カメラの人物検知やモーション検知を活用した「違法・不法操業者の監視」
② 「802.11ah(Wi-Fi HaLow™)」と「LoRaWAN®」による水温センシング計測
・水温センサーを活用したホームページでの情報提供運用
<芦ノ湖フィッシングセンターURL_https://www.ashinoko-fc.co.jp/afc/info.html>
(5) システム構成イメージ図
(6) 機器設置イメージ図
(7) 機器設置状況等
(8) 芦之湖漁業協同組合による実証への期待感
「新しい時代の漁場管理や湖上安全管理において期待できる新しい技術として、この実証事業にご協力させて頂きました。
各ポイントのリアルタイムな映像と水温等の情報提供だけでなく、事故や災害における映像の記録まで活躍の場は多岐に渡り、また今後予測される慢性的な人材不足という課題に対しても活用できるものと思われます。」 【福井 達也 組合長】
「芦ノ湖の周囲にカメラがあることで、関係者等から釣船等の船の監視や水上の安全管理等が望まれます。また、水温測定に関しても、湖の各所での変化を釣り人に案内することや漁師の漁業に活用することが期待されると考えています。現時点における課題解決や要望に対応しながら、更なる発展として、水中カメラ等の活用も検討したいです。」【大場 基喜 副組合長】
「監視カメラは事務所に居ながら湖上の様子を確認できるほか、万が一、トラブルがあった際に録画画像を確認できて、大変便利になる。また、将来禁漁区などの監視にはうってつけで、初動のスピードが格段に上がると考えています。水温データもリアルタイムに確認できることで、漁業者へ湖各所の情報がスピーディーに提供できるようになると釣果にも違いが出てくると思います。」
【高梨 五十六 参事】
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