沖縄三線文化継承プロジェクト―技術貢献と共創―が「This is MECENAT 2025」に認定

ヤマハ株式会社

ヤマハ株式会社(以下、当社)は、当社が参画する「沖縄三線文化継承プロジェクト―技術貢献と共創―」(以下、当プロジェクト)が、公益社団法人企業メセナ協議会が定めるメセナ活動「This is MECENAT 2025」に認定されたことをお知らせいたします。(認定日:2025年6月26日)

当プロジェクトの概要

当プロジェクトは沖縄県三線製作事業協同組合(三線組合)が中心となり、琉球大学、沖縄県立芸術大学、沖縄県立博物館・美術館、当社が参画するほか、東京文化財研究所がアドバイザーを担う五者共同研究プロジェクトです。三線に関する課題を解決し、文化を継承するため、材料・楽器のふるまい・感覚や技能・表現など多角的なテーマに取り組んでいます。「This is MECENAT 2025」においては「モノ(楽器)」と「ヒト(感性)」を研究対象に、各領域の専門家が連携して研究を推進し、伝統文化の未来を「ともに創る」ことを目指している点が高く評価されたものと考えています。

This is MECENATについて

「This is MECENAT」は、企業などが取り組むメセナ(芸術文化振興による心豊かなより良い社会づくり)活動を有識者の審査により認定する制度です。全国各地で多様に展開されている企業メセナの社会的意義を示すことを目的として、2014年にスタートしました。認定された活動には「メセナマーク」が発行されるとともに「This is MECENAT」サイト(https://mecenat-mark.org/)に掲載されます。近年、メセナは芸術文化支援をはじめ、環境、福祉、地域活性化など社会課題の解決に向けて、活動領域が拡大しています。

当社が沖縄三線の文化継承に取り組む背景

沖縄を象徴する伝統楽器・三線には、製造や流通において多くの課題が顕在化しています。例えば、沖縄の職人の手で作られた三線と、市場流通の約7割を占める安価な海外産の三線とのすみわけは重要な課題の一つです。また職人の後継者不足や、三線の材料である黒檀の枯渇も大きな課題となっています。
こうした現状に危機感を抱いた三線組合が中心となり、科学的な視点で三線の特性をひも解く当プロジェクトがスタート。当社は三線組合の呼びかけに賛同し、2023年から楽器と感性研究のプランニング及び技術提供という立場で参画しています。

2025年度の活動計画

当プロジェクトは研究活動が軸となっていますが、研究に留まらず、得られた成果を社会に実装することを重視しています。今年度は、2023年から継続してきた各研究の深化に加え、研究成果の社会実装を目標に、以下2つのテーマに注力する予定です。

1新素材での三線パーツ製作の試み

当社の技術を活用した新素材によるパーツ製作のトライアルを行う予定です。本トライアルは「材の枯渇」へのアプローチだけでなく「職人の技能伝承・後継者育成」につながる取り組みとしても、意義があると考えています。

2.レクチャーコンサートの開催

当プロジェクトの取り組み紹介や実演を織り交ぜた、レクチャーコンサートを2026年3月頃に開催予定です。レクチャーコンサートを通じて、三線や琉球伝統文化の魅力に触れられる機会を創出するとともに、当社の文化継承に対する姿勢や取り組みを発信してまいります。

これまでの主な活動

当プロジェクトではこれまでに、当社が長年蓄積してきた楽器・感性研究のアセット(技術・知見、実験施設・設備や計測機器など)を活用し、主に以下3つの研究に取り組んできました。

1.木材の物性調査

三線の材料である黒檀の資源枯渇が著しく、代替木材の確保が急務となっています。また、これまでの物性評価では音響学的な視点での分析が不足していました。そこで本調査では当社の木材の分析技術を活用し、さまざまな樹種を計測・分析することで、三線の材料にとって重要な特徴を明らかにすることを試みています。分析対象の木材には、伝統的な材料だけでなく、これまで三線に使用されていなかった国産の木材や、ギターやクラリネットなどの西洋楽器で使用される木材も含みます。

タッピング法による振動試験

2.三線のふるまい可視化

三線の楽器としての挙動を科学的に明らかにすることは、より適切な材料選定を可能にし、三線の基準作りや製作技能の可視化につながります。研究では当社の楽器の分析技術を活用して楽器そのものの仕様の違いが音や振動に与える影響を計測・分析することで、三線の楽器としての挙動を科学的に明らかにしようと試みています。また職人ならではの製作技能を可視化することも重要なポイントとなります。例えば「皮の張り加減」のように繊細な感覚によって調整されるものに対して、物理・心理の両側面からその関係をひも解いて可視化することにも、当社の研究を活用しています。

レーザードップラー振動計による計測

3.音色の表現語調査

音色や演奏で得られる体感など、三線にまつわる演奏家と職人の共通認識を構築することにも取り組んでいます。ここでは、演奏家と職人それぞれが用いる多様な表現語を収集・整理し、沖縄ならではの語彙も含め、両者をつなぐコミュニケーションツールとしてまとめることを目指しています。

これらの研究は、三線の材料確保や製作技能の継承、三線の価値や特徴を伝えるツールの制作に寄与するものであり、継続的に取り組むことにより、三線をとりまく文化の継承や発展に大きく貢献できるものと考えています。また当プロジェクトを通して得られる経験は、今後、当社が社会課題解決の手法を模索するための大きな手がかりになると考えられます。
当社は今後も、社会・文化の持続的な発展に向けてさまざまな活動に取り組んでまいります。

当プロジェクトの詳細は下記サイトをご参照ください。
https://www.yamaha.com/ja/stories/for-our-future/okinawa-sanshin-cultural-heritage/

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会社概要

ヤマハ株式会社

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URL
https://www.yamaha.com/ja/
業種
製造業
本社所在地
静岡県浜松市中央区中沢町10番1号
電話番号
-
代表者名
山浦 敦
上場
東証プライム
資本金
-
設立
-