インテックと慶應義塾大学SFC研究所、家庭向けオンライン診療・電力アグリゲーション分野における「Personal Generated Data(PGD)サービス」の共同研究を開始
~家電手帳®を活用したスマートルームを設置、社会実装を目指す~
専用システムではなく、汎用的な機器によるデータの収集や汎用的なサービスを利用し組み合わせたシステムでの構築を目指し、ユーザー自身の意志によってデータをコントロールできるサービスモデルの設計を目指します。
PGDサービスでは、重要インフラ※3である医療(オンライン診療)や電力(電力アグリゲーション)分野で以下のような活用シーンが想定されます。
<PGDサービスが想定する活用例>
・オンライン診療分野
個人が利用する家電などの利用状況から生まれるPGDをかかりつけ医に連携し、必要に応じて診療や問診等による健康に関するアドバイスをもらうことができます。
例えば、室内の温度が30度以上、トイレの利用がないなど個人の行動情報を提供し、閾値を超えた場合、エアコンを適切な温度に変更、水分補給を促すなど個人の生活行動を確認しながら高度な問診を含んだオンライン診療を可能にすることを目指します。
※今後、機器の認証や診療報酬制度等に関わる検討が必要。
・電力アグリゲーション分野
個人が家庭で使用する電力の大部分は家電の利用によるものです。その利用状況情報を電力アグリゲーターに提供し、例えば、電力需要が高まるタイミングを個人に通知し、運転モード設定を変更するなど、電力使用のピークをずらすことで電力需要の抑制や平準化への貢献を図ります。
※今後の制度整備や対応、機器の普及と合わせた検討が必要。
インテックとSFC研究所は、2020年5月に最先端のICTを活用した地域における課題解決を図るため、「地域ICTプラットフォーム・ラボラトリ(以下地域ICTラボ)」を開設しました。
PGDサービスの共同研究は、本ラボラトリで行う取り組みの1つであり、地域ICTラボでは、「慶應藤沢イノベーションビレッジ(以下SFC-IV)」内に、インテックが開発した家電手帳※4を活用したスマートルームを設置し、PGDサービスに関する研究開発を開始しています。
共同研究開始についてのプレスリリース
https://www.intec.co.jp/news/2020/0528_1.html
<PGDサービスのイメージ図>
家電の利用状況など生活行動の情報をPGDとして収集し、PGDサービスとして活用します。本研究では家電手帳で取得したデータをPGDと捉えて検証を行います。
■背景と目的
昨今、コロナ禍においてオンライン診療利用率の低迷、緊迫する電力需給における電力アグリゲーションの需要家への拡大等、社会の重要インフラである医療と電力は、大きな転換点を迎えています。
そこで、インテックとSFC研究所は、地域における重要インフラであるこれら2つの分野において個人が家電を使用したデータなど生活行動の情報を取得し、PGDサービスにおけるデータの利活用について検証を行うことにしました。共同研究では、全国の5,333万世帯(平成27年度 総務省統計局調べ)が医療インフラにおけるオンライン診療、電力インフラにおけるアグリゲーションシステムの技術に関する知識量や経済的な格差に関係なく、誰もが参加できることを目的としています。
■PGDの社会実装に向けたスマートルーム
SFC-IVの一室を実際に生活する部屋に見立てIoT家電や家具を配置しました。これらの家電は、ネットワークに接続されており、家電手帳アプリからモニタリング・リモコン操作することができます。家電手帳にてスマートルーム内の家電の管理・制御を行い、家電から取得した各種データをPGDとして捉え、先述例のように問診に利用するための技術検証や、デマンドレスポンス※5に対応させるために必要な要素の探索など、これらデータの利活用に向けた検証・研究を本スマートルームにて行っていきます。
<スマートルーム設置建屋外観>
<スマートルーム内部>
■今後の展望
SFC研究所とインテックは、社会制度の改正や汎用機器の普及を踏まえ、3~5年後にPGDサービスを社会実装できるよう共同研究を推進します。また地域ICTラボでは、本件に留まらず地域のさまざまな社会課題解決に向けた研究を行います。
SFC研究所は、社会制度や国政などの制度面だけでなく、技術的な標準化や制度の策定なども考慮し、両面を通じてPGDサービスの社会実装を目指します。
インテックは、本共同研究により技術や活用ユースケースの蓄積を図り、AI/IoT技術により医療や電力分野の発展に貢献いたします。
■慶應義塾大学サイバー文明研究センターが提唱するPGDサービス
SFC研究所地域ICTラボは、慶應義塾大学サイバー文明研究センターのプロジェクトの一つである「PGD (Personal Generated Data) を活用した健康管理・予防アーキテクチャ(医電アーキテクチャ研究)」において提唱する、「個人や個人が有する意図が、家電など汎用機器や身体や生活環境(購買)とのコミュニケーションを通して作り出された真正性が担保されたデータ(PGD)を制御し、個人が利用条件を決めたうえで、そのデータをサービス提供者との間で交換するという、プラットフォーム型のアーキテクチャ※6として提供されるサービス」に賛同しています。これまで社会の重要インフラは、専用システムやネットワークで構築されることが一般的でした。PGDサービスでは、専用システムではなく、汎用的な機器やサービスを組み合わせてシステムを構築し、ユーザー自身がその情報開示を介して、インフラの運用に参画するサービスモデルを目指します。
※1 オンライン診療:遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為をリアルタイムにより行う行為。
※2 電力アグリゲーション:特定卸供給事業における、発電又は放電を指示する方法だけでなく、需要の抑制を指示する方法により集約した電気を供給する事業。電力発電、送配電、小売に続く第四の新規事業として、国の制度化が進む。
※3 重要インフラ:内閣サイバーセキュリティセンターは「情報通信」、「金融」、「航空」、「空港」、「鉄道」、「電力」、「ガス」、「政府・行政サービス(地方公共団体を含む)」、「医療」、「水道」、「物流」、「化学」、「クレジット」及び「石油」の14分野を例示。
※4 家電手帳:「雑事から解放されたシンプルな暮らしを応援する」というコンセプトのもと、個人が保有するマルチメーカーの汎用機器でホームオートメーションを実現し、生活空間の快適性向上や余暇時間の増加を目指すインテックが提供するアプリ。
※5 デマンドレスポンス:電力の需要家側が電力使用を制御することで、電力需要パターンを変化させること。
※6 アーキテクチャ:大きなシステムを複数の下位システムを連結させて構築する際の各下位システム間の役割分担とインターフェース【下位システム間の連携方式】の設計(國領,1999 )。
※ 記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
※ 記載されている情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。
慶應義塾大学SFC研究所について(https://www.kri.sfc.keio.ac.jp/)
慶應義塾大学総合政策学部、環境情報学部、看護医療学部、大学院政策・メディア研究科、大学院健康マネジメント研究科の付属研究所として、21世紀の先端研究をリードしつつ、実社会と緊密なつながりをもちながら、学際的で有機的な研究活動を行うことをミッションとしています。
インテックについて(https://www.intec.co.jp/)
お客様の経営戦略に沿った情報化戦略の立案からシステムの企画、開発、アウトソーシング、サービス提供、運用保守まで、IT分野において幅広く事業を展開しています。インテックは、1964年の創業以来培ってきた技術力をもとに、AI、RPA等のデジタル技術の活用や、新たな市場の創造にも積極的に挑戦しています。常にオープンな姿勢で、人、企業、社会を技術でつなぎ、自らも変革しながら「豊かなデジタル社会の一翼を担う」企業としてお客様に新しい価値を提供してまいります。
◆本研究に関するお問い合わせ先
株式会社インテック テクノロジー&マーケティング本部 新事業開発部 担当:遠藤、澤田
E-Mail:dpt_shinjigyo@intec.co.jp
地域ICTプラットフォーム・ラボラトリ 事務局
E-Mail:sec@jkokuryo.com
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