凸版印刷、東京大学素粒子物理国際研究センターと「量子AI」に関する共同研究を開始
量子コンピュータの実用化を見据えて、量子機械学習に関する研究を推進
凸版印刷株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:麿 秀晴、以下 凸版印刷)は、国立大学法人東京大学素粒子物理国際研究センター(所在地:東京都文京区、センター長:浅井 祥仁、以下 東京大学ICEPP)と、「量子人工知能(以下 量子AI)」の社会実装に向けた共同研究を、2022年9月より開始しました。
「量子AI」は、演算に量子コンピュータを利用するAIのことで、言語・音声・画像などの各種データを利用し、比較的短い学習時間で高い精度の予測が可能になると期待されています。
凸版印刷は、東京大学ICEPPと連携し、量子機械学習(※1)の中でも量子カーネル法(※2)に着目し、凸版印刷の製造現場における高性能な不良検知や、自治体・医療機関・民間企業の窓口業務における無人化に向けた自然言語処理などへの適用を目指し、基本動作の技術検証を行います。
凸版印刷はDX事業において量子AIを活用し、データ利活用による製造業務の効率化を通じて、少子高齢化に伴う人材不足など社会課題を解決し、誰もが暮らしやすい社会の実現を目指します。
量子コンピュータは様々な産業に大きな変革をもたらす革新的な技術と期待され、その実用化に向け、ハードウエアやソフトウエアなどの開発が推進されています。
近年はICTの進化によって日々生み出されるビックデータが、AIによって分析・予測されています。しかし、AIによる分析・予測の正確さはデータの量・質・特性とAIの学習状況に左右され、データの前処理とパラメータの調整に時間を要します。効率的な分析・予測が求められている中で、量子コンピュータを利用したAIによる、学習速度や学習性能のさらなる向上が期待されています。
このような課題に対し、凸版印刷は、東京大学ICEPPと連携し、複雑なデータの分析を容易にする手法であるカーネル法を量子コンピュータによる演算で実現し、古典的な機械学習(※3)のタスクである分類や回帰に適用していきます。量子と古典のハイブリッド機械学習として高度化し、量子コンピュータと「量子AI」を、早期に社会実装することを目指します。
さらに、凸版印刷は共同研究開始と同時に、東京大学を拠点とする量子イノベーションイニシアティブ(QII) 協議会へ2022年9月から参画し、産学での情報連携と協力体制を強化していきます。
■ 共同研究の内容
量子カーネル法の産業上の応用分野を探索するため、東京大学ICEPP寺師弘二准教授と量子カーネル法の実現化手法とデータ特性との関係を共同で研究します。
(1)量子カーネル法の技術構築
少ない教師データからの学習精度の向上を目指す。
(2)量子カーネル法の評価・検証
量子カーネル法を活用し、製造現場における不良品データ収集時間の削減、学習時間の低減、不良検知精度の向上を目指す。
■ 二者の役割
凸版印刷
フォトマスクや半導体パッケージ基板などの開発や製造事業を通じて、精密印刷技術、微細加工技術及びナノインプリント技術など、ナノスケールの印刷加工技術や検査技術を培ってきました。このような知見を活かし、凸版印刷は不良検知のノウハウやデータを提供します。また、量子カーネル法に関する論文発表や権利化などを通じて、量子AIを産業応用し社会実装することで経済発展と社会課題の解決を両立し、Society5.0の実現に向けて取り組んでいきます。
東京大学ICEPP
量子カーネル計算の理論構築やモデル開発など量子AIに関する技術と知見を培ってきました。このような知見を活かし、東京大学ICEPPは、研究全体の統括・指導、量子カーネル計算の理論考察、開発モデルの実装と評価、機械学習モデルの開発、量子コンピュータ操作、論文発表補助、研究環境を提供します。また、ノイズがある小・中規模の量子コンピュータの現実的な活用を目指します。
■ 今後の目標
凸版印刷は、東京大学ICEPPと連携し、量子カーネル法による量子AIの研究開発を進め、少ないデータでも高い学習性能をもつ高効率なAIの実現を目指します。そして「量子AI」の社会実装によって、人材不足など社会課題を解決し、誰もが暮らしやすい社会の実現を目指していきます。
■ 量子イノベーションイニシアティブ(QII) 協議会について
QII協議会は東京大学を拠点とし、2020年7月に設立されました。本協議会は、量子コンピュータの社会実装を世界に先駆けて実現するため、当該技術に関わる産学官の協力を促進し、相互の情報交換を密にし、日本国内のレベルアップと実現の加速化を図ることを目的としています。
https://qii.jp/
■ 「Erhoeht-X®(エルへートクロス)」について
「エルヘート」は、当社創業の原点である当時の最先端印刷技術「エルヘート凸版法」から名付け、語源であるドイツ語の「Erhöhen(エルホーヘン)」には「高める」という意味があります。
凸版印刷は、これまで培ってきた印刷テクノロジーの更なる進化とともに、先進のデジタルテクノロジーと高度なオペレーションノウハウを掛け合わせ、データ活用を機軸としたハイブリッドなDX事業を展開し、社会の持続可能な未来に向けて貢献していきます。
※1 量子機械学習
量子機械学習は「量子情報の手法を利用した機械学習」であり、量子AIのエンジンと言える。現在は、量子と古典のハイブリッド機械学習が主流であり、量子カーネル法や量子変分回路を用いる手法などが提案されている。
※2 量子カーネル法
計算コストを上げることなく、データを高次元の特徴空間に埋め込むことで、データの処理を可能にするカーネル法を、量子コンピュータによる特徴量マッピングや内積計算を用いることで実現する手法。複雑な量子回路を構成した場合、古典的に計算が困難な内積をカーネル関数として用いることができる。
※3 古典的な機械学習
量子コンピュータに対して、現在の通常使用されるコンピュータを古典コンピュータと呼び、データから機械(古典コンピュータ)が自動で学習し、データの背景にあるルールやパターンを発見する方法。機械学習は教師あり、教師なし、強化学習に分けられ、特に教師あり学習は分類や回帰を目的に用いられる。
* 本ニュースリリースに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。
以 上
凸版印刷は、東京大学ICEPPと連携し、量子機械学習(※1)の中でも量子カーネル法(※2)に着目し、凸版印刷の製造現場における高性能な不良検知や、自治体・医療機関・民間企業の窓口業務における無人化に向けた自然言語処理などへの適用を目指し、基本動作の技術検証を行います。
凸版印刷はDX事業において量子AIを活用し、データ利活用による製造業務の効率化を通じて、少子高齢化に伴う人材不足など社会課題を解決し、誰もが暮らしやすい社会の実現を目指します。
■ 共同研究の背景
量子コンピュータは様々な産業に大きな変革をもたらす革新的な技術と期待され、その実用化に向け、ハードウエアやソフトウエアなどの開発が推進されています。
近年はICTの進化によって日々生み出されるビックデータが、AIによって分析・予測されています。しかし、AIによる分析・予測の正確さはデータの量・質・特性とAIの学習状況に左右され、データの前処理とパラメータの調整に時間を要します。効率的な分析・予測が求められている中で、量子コンピュータを利用したAIによる、学習速度や学習性能のさらなる向上が期待されています。
このような課題に対し、凸版印刷は、東京大学ICEPPと連携し、複雑なデータの分析を容易にする手法であるカーネル法を量子コンピュータによる演算で実現し、古典的な機械学習(※3)のタスクである分類や回帰に適用していきます。量子と古典のハイブリッド機械学習として高度化し、量子コンピュータと「量子AI」を、早期に社会実装することを目指します。
さらに、凸版印刷は共同研究開始と同時に、東京大学を拠点とする量子イノベーションイニシアティブ(QII) 協議会へ2022年9月から参画し、産学での情報連携と協力体制を強化していきます。
■ 共同研究の内容
量子カーネル法の産業上の応用分野を探索するため、東京大学ICEPP寺師弘二准教授と量子カーネル法の実現化手法とデータ特性との関係を共同で研究します。
(1)量子カーネル法の技術構築
少ない教師データからの学習精度の向上を目指す。
(2)量子カーネル法の評価・検証
量子カーネル法を活用し、製造現場における不良品データ収集時間の削減、学習時間の低減、不良検知精度の向上を目指す。
■ 二者の役割
凸版印刷
フォトマスクや半導体パッケージ基板などの開発や製造事業を通じて、精密印刷技術、微細加工技術及びナノインプリント技術など、ナノスケールの印刷加工技術や検査技術を培ってきました。このような知見を活かし、凸版印刷は不良検知のノウハウやデータを提供します。また、量子カーネル法に関する論文発表や権利化などを通じて、量子AIを産業応用し社会実装することで経済発展と社会課題の解決を両立し、Society5.0の実現に向けて取り組んでいきます。
東京大学ICEPP
量子カーネル計算の理論構築やモデル開発など量子AIに関する技術と知見を培ってきました。このような知見を活かし、東京大学ICEPPは、研究全体の統括・指導、量子カーネル計算の理論考察、開発モデルの実装と評価、機械学習モデルの開発、量子コンピュータ操作、論文発表補助、研究環境を提供します。また、ノイズがある小・中規模の量子コンピュータの現実的な活用を目指します。
■ 今後の目標
凸版印刷は、東京大学ICEPPと連携し、量子カーネル法による量子AIの研究開発を進め、少ないデータでも高い学習性能をもつ高効率なAIの実現を目指します。そして「量子AI」の社会実装によって、人材不足など社会課題を解決し、誰もが暮らしやすい社会の実現を目指していきます。
■ 量子イノベーションイニシアティブ(QII) 協議会について
QII協議会は東京大学を拠点とし、2020年7月に設立されました。本協議会は、量子コンピュータの社会実装を世界に先駆けて実現するため、当該技術に関わる産学官の協力を促進し、相互の情報交換を密にし、日本国内のレベルアップと実現の加速化を図ることを目的としています。
https://qii.jp/
■ 「Erhoeht-X®(エルへートクロス)」について
「Erhoeht-X®(エルヘートクロス)」とは、凸版印刷が全社をあげ、社会や企業のデジタル革新を支援するとともに、当社自体のデジタル変革を推進するコンセプトです。
「エルヘート」は、当社創業の原点である当時の最先端印刷技術「エルヘート凸版法」から名付け、語源であるドイツ語の「Erhöhen(エルホーヘン)」には「高める」という意味があります。
凸版印刷は、これまで培ってきた印刷テクノロジーの更なる進化とともに、先進のデジタルテクノロジーと高度なオペレーションノウハウを掛け合わせ、データ活用を機軸としたハイブリッドなDX事業を展開し、社会の持続可能な未来に向けて貢献していきます。
※1 量子機械学習
量子機械学習は「量子情報の手法を利用した機械学習」であり、量子AIのエンジンと言える。現在は、量子と古典のハイブリッド機械学習が主流であり、量子カーネル法や量子変分回路を用いる手法などが提案されている。
※2 量子カーネル法
計算コストを上げることなく、データを高次元の特徴空間に埋め込むことで、データの処理を可能にするカーネル法を、量子コンピュータによる特徴量マッピングや内積計算を用いることで実現する手法。複雑な量子回路を構成した場合、古典的に計算が困難な内積をカーネル関数として用いることができる。
※3 古典的な機械学習
量子コンピュータに対して、現在の通常使用されるコンピュータを古典コンピュータと呼び、データから機械(古典コンピュータ)が自動で学習し、データの背景にあるルールやパターンを発見する方法。機械学習は教師あり、教師なし、強化学習に分けられ、特に教師あり学習は分類や回帰を目的に用いられる。
* 本ニュースリリースに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。
以 上
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