戦争の記憶を留めておきたい――黒柳徹子氏と田原総一朗氏が「戦争体験」と「戦争責任」を語る『トットちゃんとソウくんの戦争』本日発売

「眠いし、寒いし、おなかがすいた」
太平洋戦争が始まったとき、黒柳徹子、小学2年生。田原総一朗、小学1年生。
2人がはじめて「戦争体験」と「戦争責任」を語りあった。

 

 

戦争の記憶を留めておきたい――黒柳徹子氏と田原総一朗氏の、強い思いが1冊にまとまった。タイトルは『トットちゃんとソウくんの戦争』。改憲勢力が議席が3分の2を占めることになった参議院議員選挙投票日の翌日、2人が語ったことは――。


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田原 この本をつくるにあたり、去年の終わりぐらいから、おたがいの戦争体験を話してきましたが、僕には黒柳さんの「スルメ味の戦争責任」という言葉が、とても印象に残っています。

黒柳 私が通っていた小学校は、東京の自由が丘にありました。駅前の広場では、戦地に赴く兵隊さんが毎日のように見送られ、出征していったんですが、子どもがそこに参加すると、焼いたスルメの脚を1本もらえたんです。いつもお腹をすかしていた私は、そのスルメ欲しさに、みんなと一緒に大きな声で「ばんざーい!」と叫びながら日の丸の小旗を振り、何人もの兵隊さんを戦地に送りだしました。戦争が終わり、それからずいぶん時が経ったある日、私はふと考えました。私が兵隊さんを見送ったのは、スルメの脚が欲しかったからですが、兵隊さんたちは「見送ってくれるこの子たちのために戦うんだ」と言いきかせて戦地に赴いたのでは、ということに思い至ったんです。兵隊さんが戦死したなら、責任の一端は私にもあるはずだし、私は兵隊さんの思いを裏切ったことにもなります。これは私の「戦争責任」というものではないだろうか、そう考えるようになりました。

田原 戦争中、僕はずっと「この戦争は正しい戦争だ。アメリカなどの悪い国々をやっつけて、アジアの国々を独立させるために戦うんだ。みんなも大人になったら戦争に参加し、天皇陛下のために死になさい」と教えられていました。ところが戦争が終わって9月の新学期に学校に行くと、同じ教師から「あの戦争は悪い戦争だった。悪いことが書いてある教科書は、墨で黒く塗りつぶしなさい」と言われた。このとき感じた、大人の言うことだからといって簡単に信じてはいけないという思いは、その後の私の人生の原点になっています。正しい戦争なんて存在しない、そう確信しています。

黒柳 私たちは戦争を知っている最後の世代ですよね。「眠いし、寒いし、おなかがすいた」。私たちが小学生のときに体験した、配給や疎開や空襲などの戦争の記憶を、若い方たちにぜひ読んでいただきたいと思います。

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『トットちゃんとソウくんの戦争』目次より――
まえがき スルメ味の戦争責任(黒柳徹子)
戦争のあしおと
・1933年東京に生まれた少女が見たもの(黒柳徹子)
・1934年彦根に生まれた少年が考えたこと(田原総一朗)
戦争の記憶
・トモエ学園と疎開先の日々(黒柳徹子)
・国民学校の日々(田原総一朗)
戦争とテレビ
・テレビに出ることは平和につながる(黒柳徹子)
・テレビにできることがある(田原総一朗)
あとがき 「正しい戦争」なんて存在しない(田原総一朗)

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【黒柳徹子=トットちゃん】
東京都生まれ。俳優、司会者、エッセイスト。東洋音楽学校声学科卒業後、NHK専属のテレビ女優第1号として活躍。1981年に刊行された『窓ぎわのトットちゃん』(講談社)は国内だけで800万部を超える戦後最大のベストセラーになり、世界35ヵ国で翻訳されている。『徹子の部屋』(テレビ朝日)の放送は1万回を超え、同一の司会者によるテレビ番組の最多放送記録を更新中。1984年よりユニセフ親善大使となり、のべ37ヵ国を訪問し、飢餓、戦争、病気などで苦しむ子どもたちを支える活動を続けている。

【田原総一朗=ソウくん】
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。岩波映画製作所、東京12チャンネル(現テレビ東京)を経てフリーに。以後、活字と放送の世界で精力的に活動を続けている。現代史関係のおもな著書に、『日本の戦争』(小学館文庫)、『私が伝えたい日本現代史1934-1960』『同1960-2014』(ポプラ新書)など。児童書では『おじいちゃんが孫に語る戦争』(講談社)などの著書がある。深夜の討論番組『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)の司会は、1987年の第1回放送から務めている。

 
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