アフガニスタン:年間9,500人の乳幼児が下痢で死亡ートイレと手洗いで救える命も【プレスリリース】
コミュニティ主導型の衛生習慣改善に期待
【2017年11月2日 カブール、ニリ(アフガニスタン)発】
アフガニスタンで下痢症が原因で死亡する5歳未満児の数は初めて年間1万人を切ったものの、依然として毎日26人の子どもの命を奪っていると、本日ユニセフ(国連児童基金)は発表しました。
「下痢症が原因で命を落とすことは、特に悲劇的です。なぜなら、ほとんどの下痢症は、簡単に防ぐことができるからです」とユニセフ・アフガニスタン事務所代表アデル・ホドルは述べました。「トイレを使い手洗いすることが、まさに生死に関わるのです」
アフガニスタンの5歳未満児の死亡数は毎年8万人で、下痢症が原因で死亡する数は約12%を占める9,500人です。
すでに約120万人の子どもが栄養不良に陥り、子どもの41%が発育阻害の状態にあるアフガニスタンでは、感染性下痢症に関連する危険性が激化しています。不適切なトイレや衛生環境が栄養不良を招き、子どもたちは下痢を起こす感染症にかかりやすくなり、結果として栄養不良が悪化します。
「安全な水と改善されたトイレなどの衛生施設を村や町で使えるようにすることが大変重要です」とホドルは言います。「同時に、コミュニティ主導型の衛生習慣の改善に向けた努力が、簡単かつ最も効果的に命を守る方法なのです」
アフガニスタンでは、情勢不安が続き人道支援が届けられない地域もあり、開発は遅れているものの、前進も見られます。アフガニスタン中部のダイクンディ州ニリ(Nili)地区は、11月1日の式典において国内初の「屋外排泄ゼロ地区」を宣言しました。
ニリ地区全体の町や村は、コミュニティ主導の包括な衛生アプローチを採択し、家族が家の周囲でトイレとして利用している場所を特定しました。家族は、驚き、恥辱、誇り、そして嫌悪が混在する中、家にトイレを作る決断をします。コミュニティ全体での約束と近隣人々からのプレッシャーにより、通常3カ月から6カ月後には、コミュニティ全体が屋外排泄をやめ、すべての人のためのより健康な環境づくりに貢献します。
ユニセフ・アフガニスタン事務所は今年、すでに国内の500以上のコミュニティに対して、屋外排泄ゼロ地域として宣言し承認されるための支援を実施しました。世界的な調査によると、畑などの屋外での排泄をやめてトイレを使うようになったいくつかのコミュニティでは、発育阻害率が23%までの割合で減少しました。下痢症の発症率を減らすことで、家族が子どもがよくかかる病気の治療にかける医療費を大幅に削減します。
アフガニスタンは、栄養問題への取り組みでも前進を見せ、10月16日には「Scaling Up Nutrition(SUN)」と呼ばれる栄養改善に取り組むグローバルなイニシアチブに参加する60番目の国となりました。SUNとは、政府、市民社会、国連、支援国・団体、企業および研究者が協力して、それぞれが行っている事業の範囲や成果を相互に共有・拡大することで栄養の改善を図るものです。
ユニセフとパートナー団体は、アフガニスタン全土のすべての地区に対して、コミュニティ主導の包括な衛生アプローチを取り入れるよう呼びかけ、支援国・団体に対しては、国内の最も弱い立場にある子どもたちの生活を改善し命を守るための運動を支援するよう求めています。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)
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