【国立科学博物館】企画展「学習マンガのひみつ」開催のお知らせ
国立科学博物館(館長:篠田 謙一)は、2025(令和7)年10月10日(金)から11月9日(日)までの期間、下記のとおり企画展「学習マンガのひみつ」を開催いたします。
【詳細URL:https://www.kahaku.go.jp/event/2025/10gakushuumanga/】

近年、教育関係者やマンガファン、出版関係者など、さまざまな立場の人々から「学習マンガ」が注目されています。学校図書館や書店の児童書コーナーには、これらの書籍が並ぶ棚が大きな一画を占め、戦前からの古い歴史もあり、また大きな出版市場を形成しているジャンルです。しかしながら、これまでその全体像を俯瞰するような書籍や展覧会はありませんでした。本企画展は、“見えないマンガ”と言われる「学習マンガ」を、教育博物館として誕生した国立科学博物館にて、内容や表現方法の歴史的な変遷に注目し、「マンガで学ぶ」ことの可能性について多角的に紹介する初めての展覧会となります。
開催概要
企画展「学習マンガのひみつ」
【開 催 場 所】国立科学博物館(東京・上野公園)
日本館1階 企画展示室及び中央ホール
【開 催 期 間】2025(令和7)年10月10日(金)~11月9日(日)
【開 館 時 間】9時~17時
※入館は閉館時刻の30分前まで
【休 館 日】月曜日、10月14日(火)、11月4日(火)
※ただし10月13日(月)、11月3日(月)は開館
【入 館 料】一般・大学生:630円(団体510円)、高校生以下および65歳以上:無料
※本展は常設展示入館料のみでご覧いただけます ※団体は20名以上
※入館方法の詳細等については、当館ホームページをご覧ください
【主 催】国立科学博物館、京都国際マンガミュージアム、京都精華大学国際マンガ研究センター
【特 別 協 力】学習マンガ研究会
【協 賛】株式会社 Gakken、株式会社 KADOKAWA
【後 援】日本マンガ学会
展示紹介
~この展覧会における「学習マンガ」の定義について~
本展では、典型的な学習マンガとして、子どもを読者とし、義務教育の教科内容を解説したものを中心に扱います。具体的に言えば、書店のマンガコーナーではなく、児童書・参考書コーナーで売られており、学校や公共図書館などでも広く読まれているマンガです。さまざまな教科に対応したサブジャンルがありますが、今回は、「理科」「歴史」、そして「伝記」を扱った学習マンガに注目します。
第1部 学習マンガの歴史
第①章 学習マンガのはじまり 戦前~ 1950年代
戦中、「科学教育」が重視されるなかで、子ども向けマンガは、「荒唐無稽」なものとみなされ、排除されつつありました。学習マンガの源流のひとつは、「マンガが社会的に有用」であることを示そうと努力したマンガ家たちの取り組みにあります。戦後も、子ども向け娯楽マンガはしばしば「悪書追放」の対象となりましたが、一般書の全集ブームを背景に、教科学習を念頭に置いた子ども向け学習マンガシリーズも登場します。
第②章 学習マンガの拡大 1970年代~
1970 年前後から、「日本の歴史」といったタイトルのついた、学校での学習内容を意識した通史としての歴史科系学習マンガがシリーズとして登場します。一方、いわゆる学年誌や科学雑誌どに掲載されていた理科系学習マンガが、単行本シリーズとして刊行され始めます。1980 年代に入ると、子ども向けとして発展してきた学習マンガの手法を使った「大人向け学習マンガ」が“発明”されます。これらは、赤塚不二夫や石ノ森章太郎といった人気作家が手がけたことで、ベストセラーになるものも登場します。
第③章 学習マンガの新展開 2000年代~
2000 年代以降、一般的には子どもの娯楽でしかないと思われていたマンガそのものが「文化・芸術」として認識されるようになっていきます。教育現場においても、娯楽として発展してきたマンガが受け入れられるようになりますが、そのことで学習マンガのアイデンティティが揺らぎ、新たな方向性が模索され始めます。学習マンガの娯楽化は大胆なコマ割りを採用したり、「対決」や「冒険」といった少年娯楽の構造を導入したりするなど、表現方法や構造の大きな変化をもたらしました。また、海外出版社との共同制作が進むなど、学習マンガのグローバル化が進みます。
第④章 学習マンガの現在
教科教育をベースに発展してきた学習マンガですが、学校における教育内容の多様化とともに、学習マンガの扱う「学習」の範囲も拡大しつつあります。SDGs や人間関係、お金の知識など、大人向け自己啓発書で人気のテーマが子ども向けの学習マンガでも展開されるようになっています。一方、学習マンガの娯楽化は、同時に、娯楽マンガの学習マンガ化ももたらします。従来のストーリー娯楽マンガを学習のツールとして活用する教育プロジェクト「これも学習マンガだ!」が教育現場でも採用されるなど、ますます活況を呈する学習マンガからまだまだ目が離せません。
第2部 トピック紹介
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科博とマンガ
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植物系学習マンガの変遷
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植物学へといざなう学習マンガ
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身近になった植物マンガ
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これも学習マンガだ!
監修者

国立科学博物館 理事・副館長
栗原 祐司(くりはら ゆうじ)
専門は博物館学です。マンガや小説による博物館活動の理解促進と普及に努めています。近年は、個人博物館の持続可能な運営について研究しており、全国各地の多様な博物館を訪問しています。

国立科学博物館 植物研究部 陸上植物研究グループ研究員
永濱 藍(ながはま あい)
専門は植物生態学・分類学。植物の開花・結実期がどのような環境の影響を受けて形成され、変動しているのかを明らかにしたいと思っています。また、東・東南アジアにおける植物の多様性にも興味を持って研究しています。

京都精華大学 国際マンガ研究センター特任准教授/学習マンガ研究会
伊藤 遊(いとう ゆう)
専門はマンガ研究・民俗学。民俗学的な視点から、マンガ文化の「日常性」に関心を持っています。また、「京都国際マンガミュージアム」を中心に、国内外でマンガ展の制作も行ってきました。最新作はマンガミュージアムで開催中の「マンガと戦争展2」。

京都産業大学 現代社会学部教授/学習マンガ研究会
山中 千恵(やまなか ちえ)
専門は社会学、韓国ポピュラー文化・マンガ研究。教育と娯楽というふたつの要素が絶妙なバランスを保って成立する、「学習マンガ」の表現や歴史、グローバルな広がりに関心を持っています。また、韓国ドラマの研究も行っており、近著に『韓国ドラマの想像力』(共編著、人文書院、2024年)があります。

公益財団法人東洋文庫研究員/歴史学習マンガ家/学習マンガ研究会
瀧下 彩子(たきした さえこ)
東洋文庫では近代日中文化史をテーマとして、日中戦争前後の大衆文化の諸相を、当時のマンガや旅行案内・鉄道関係資料などから観察しています。一方で、学習雑誌に掲載するマンガの執筆に携わり、近年はGakkenやKADOKAWAの歴史学習マンガを担当しました。
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