10分に1人、予防可能な病気で命を落とすイエメンの子どもたち【報道参考資料】
ワクチン60万人分サヌア空港に到着
【2017年11月26日 サヌア(イエメン)/ アンマン(ヨルダン)/ ニューヨーク/ ジュネーブ 発】
昨日、ユニセフ(国連児童基金)のチャーター機が、命を守るワクチンを載せサヌア空港に到着しました。
この航空機は190万回分のワクチンを積んでいました。これらのワクチンはイエメン全土の予防接種キャンペーンを通じて60万人の子どもたちに届けられます。予防接種キャンペーンは、ジフテリア、百日咳、結核、肺炎、および髄膜炎から子どもたちを守ることを目的としています。
今回のワクチンの空輸は、ワクチンの備蓄が急激に底をつき始め、より多くの子どもたちが感染し死に至る危険性が高まる危機的な状況下のイエメンに到着しました。すでにイエメン全土では、10分に1人、予防可能な病気が原因で子どもが命を落としています。
本日、このワクチン空輸を受け、ユニセフ(国連児童基金)中東・北アフリカ地域事務所代表ヘルト・カッペラエレは、下記の通り報告しました。
* * *
今回、11月6日以来初めて、サヌア空港に人道物資を輸送することが出来ました。今日のイエメンは、子どもにとって地球上で最悪な場所と言えます。今日のイエメンでは、1,100万人以上のイエメンの子どもたちが、緊急的に人道支援を必要としています。それは、イエメンのほとんどすべての子どもを指します。
その理由は、明らかです。数十年におよぶ紛争、そして数十年におよぶ慢性的な開発の遅れです。
イエメンは地球上で最も水資源が不足している国です。さらに今日のイエメンは、世界で最も高いレベルの栄養不良を抱えています。この2年半にイエメン全土で起きていることは、当然ながら、以前から極めて悲惨だった状況をさらに悪化させただけです。ユニセフは、今イエメンでは10分に1人の割合で、予防可能な病気が原因で子どもが命を落としていると推定しています。イエメンの子どもの100万人近くが急性水様性下痢症とコレラの影響を受けていますが、前例のないほどの規模で発生したことは、驚くべきことではありません。イエメン全土のほとんどすべての水と衛生施設が破壊され、イエメンの保健制度は崩壊寸前だからです。
イエメンの戦争は、悲しいことに、子どもたちに対する戦争です。過去2年半だけで、5,000人近くの子どもたちが死傷しました。何千もの学校や保健施設が破損あるいは完全に破壊されました。200万人もの子どもたちが、急性栄養不良に苦しんでします。
しかしながら、今日、子どもたちに支援を届けることは、かつてないほど困難です。私たちは、昨日支援物資を輸送できたことに大変感謝しています。しかし、これは十分ではありません。はるかに多くの支援物資が必要とされています。
いま必要なのは、次の3つです。
- より多くの人道支援物資が必要です。昨日の成功は、一度限りであってはなりません。ユニセフは、何隻もの船をホデイダ港に向かわせています。船には、栄養不良に陥った子どもたちのための栄養治療食、井戸水を飲めるようにするための浄水剤、急性水様性下痢症とコレラを予防し治療するための医療品が積まれています。さらにジフテリアの流行を防ぐためのワクチンが緊急に必要です。ジフテリアの流行は主にイブ県に集中しているものの、急速に拡大しているからです。定期予防接種にもより多くのワクチンが必要です。昨日190万回分を輸送しましたが、残念ながらワクチンの備蓄は、底をつきかけています。
- 購入可能な価格の燃料も必要です。イエメンでは飲料水は主に、配水ポンプを通して運ばれます。しかし、公共の電線網が機能せず、発電機を使って配水ポンプを動かすために、購入可能な価格の燃料の必要性が高いのです。これは、支援物資を輸送することに加え、イエメン全土の弱い立場にいるすべての子どもたちに支援物資が届くようにすることもまた挑戦であることを意味しています。私たちは、支援を必要とする何百万人もの子どもたちに、いつでも支援を届けられるように無制限のアクセスを必要としています。
- 3つ目は、単刀直入です。子どもたちに対する戦争を終わらせることです。戦争を終わらせること。イエメンのすべての子どもに代わって、イエメンの今日の状況に責任を持つすべての当事者に対して、再度要求します。明日ではなく、今、あなた方の責任を果たしてください。
* * *
■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像