ソフトウェア業の倒産、過去10年で最多 前年度の1.4倍に増加、人件費高騰が小規模事業者を直撃
「ソフトウェア業」の倒産動向(2024年度)
<調査結果>
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2024年度に発生した「ソフトウェア業」の倒産は220件に達し、前年度から1.4倍に増加。特に小規模事業者の倒産が目立つ
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DX・デジタルツールの導入が進む一方で、システムエンジニアの不足が深刻化し、人件費高騰が小規模事業者を苦しめている
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2030年にかけてデジタル人材の減少と高齢化が進行するとの予測のなか、事業継続に向けて高度なスキルを有する人材育成が今後のカギを握る
株式会社帝国データバンクは、ソフト受託開発・パッケージソフトウェア業を指す「ソフトウェア業」の倒産発生状況について調査・分析を行った。
集計期間:2000年4月1日~2025年3月31日まで
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産

2024年度「ソフトウェア業」倒産は220件、前年度比1.4倍
「ソフトウェア業」の倒産が急増している。2024年度(2024年4月〜2025年3月)の倒産件数は220件に達し、前年度の154件から1.4倍に増加した。過去10年間で初めて200件を超え、3年連続で増加する結果となった。特に、従業員数が「10人未満」の企業が全体の8割以上を占めており、小規模事業者の淘汰が進んでいる実態が浮き彫りとなった。

国内企業の多くが人手不足に直面するなか、業務効率化を目的としたDX・デジタルツールの導入が進み、業界全体では旺盛なIT投資の需要に支えられ好調に推移している。しかし、深刻なシステムエンジニア(SE)不足がソフトウェア業界を苦しめている。
帝国データバンクの調査では、「情報サービス業」で正社員の人手不足を感じている企業の割合は2025年3月時点で72.2%に達し、全業種でトップだった。人手不足により案件の受注が困難になるだけでなく、「人材教育に時間を割けないため育成が進まず、より高度な案件の受注に向けた土台づくりができない」との声も上がっている。加えて、2030年にかけてデジタル人材の数は減少し、かつ高齢化が進行するとの予測もあるなど、今後も人手不足が改善する材料は乏しい。
さらに人手不足は人件費の高騰を招き、小規模事業者を中心に大きな影響が生じる可能性がある。毎月勤労統計調査によると、「情報サービス業」における月の所定内給与(所定外給与・特別給与を含まない)は2024年平均で37万4377円となり、全業種平均の26万2325円を大きく上回っている。大企業を中心にAIやデータサイエンスなど高度なスキルを有するデジタル人材に対して、高額な報酬が提示される事例が増加しており、新卒社員で年収1000万円を上回るケースもあるという。人材獲得競争の激化により、賃上げ機運に追いつくことが難しい中小・小規模事業者に逆風が吹いている。

業界全体は好調であるものの、今後も深刻なSE不足や人件費高騰を背景に、人材の採用・育成が進まない企業では厳しい局面が続くとみられる。転職エージェント各社の発表では、転職者数の増加が顕著となることが予想され、より高度なスキルを有する人材の輩出と定着を見据えた人材育成が欠かせない。
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