イエメンで最大規模の飢饉迫る ~ 食糧や燃料、商業輸入の早期再開を【共同プレスリリース】
ユニセフ等国連機関代表共同声明
【2017年12月2日 ジュネーブ/ローマ/ニューヨーク 発】
サウジアラビア主導の連合軍により封鎖されていた紅海沿岸のイエメンの港が部分的に解除され、最も助けを必要としている人々に対し、命を守るための支援活動を再開することが可能になりました。しかし、深刻な状況にあるイエメンの人道危機において、これは数百万人の命を犠牲にする人道的悲劇の発生を遅らせるに過ぎず、それを阻止することはできません。食糧、燃料、医薬品の商業目的の輸入を早急に再開しなければ、何百万人もの子どもやおとなは大規模な飢餓、病気や死の危機に晒されるでしょう。
商業輸入が制限されることで、燃料、食糧やその他の必需品が不足し、結果価格が上昇し人々の生活を脅かしています。小麦粉の値段は30%上昇し、燃料は2倍、給水トラックに積まれた水は600%の価格となっている地域もあります。
7つの都市で、水道システムの燃料がなくなり、現在はその供給において人道支援団体に依存した状態となっています。他の都市でも、もし封鎖が解除されなければ直に同様の状況に陥り、1,100万人の人々が安全な水を手に入れられなくなります。
また、別の地域では、人々は値上げが続く給水トラックの水を買うために食糧消費を危険な水準まで抑えたり、基本的な需要を満たすために汚染された水に手を出しています。これによって、特に子どもたちの病気へのリスクが高まっています。
機能している保健施設は半数に満たず、このまま燃料や水の供給が改善されなければ、さらに多くの病院や保健センターが閉鎖されることになります。すでにコレラの疑われる症例が約100万人に達し、2,200 人が感染により死亡しました。主要6都市における下水処理システムの復興が遅れており、今後、コレラの再燃が危惧されます。
イエメンは、近年で最大規模の飢饉の危機に晒されており、約40万人の子どもたちが重度の急性栄養不良に陥り、死のリスクは一層高まっています。イエメンに対し緊急に食糧支援を行わなければ、800万人以上の人々が餓死する可能性があります。9割の食糧が輸入されているイエメンでは、紅海沿岸の港を通じた商業輸入の不足によってさらに300万人が餓死の危機に直面するでしょう。数カ月以内に、飢饉がさらなる拡大を見せる可能性が高まっています。
この差し迫った悲劇を食い止めることは可能ですが、そのためには連合軍が直ちに行動しなければなりません。近頃、ホデイダ港への停泊が食糧を運ぶ船3隻に対して認められましたが、燃料タンカー4台及び食糧を運ぶ船10隻は入港許可を待っています。私たちはともに、紅海沿岸におけるイエメンの港を直ちにすべて開港し、人道物資や不可欠な商業物資の輸入と自由な流通を実現させることを連合軍に要請します。
連合軍に対して、数百万人の人々の命を守るため、制限のない輸入を直ちに許可することを要請します。
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共同声明は、ユニセフ(国連児童基金)事務局長アンソニー・レーク、WHO(世界保健機関)事務局長テドロス・ アダノム・ゲブレイェスス、UNDP(国連開発計画)総裁アヒム・シュタイナー、UNHCR(国際連合難民高等弁務官事務所)国連難民高等弁務官フィリッポ・グランディ、WFP(国連世界食糧計画)事務局長デイビッド・ビーズリー、IOM(国際移住機関)事務局長ウィリアム・スウィング、人道問題担当国連事務次長(Under-Secretary-General for Humanitarian Affairs)/緊急援助調整官(Emergency Relief Coordinator)マーク・ローコックによるものです。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)
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