中央本線において超電導送電で営業列車に電力を供給します-超電導き電の実証試験-
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公益財団法人鉄道総合技術研究所(以下、鉄道総研)では、これまで超電導き電システムの研究開発を進めてまいりました。このたび、東日本旅客鉄道株式会社の中央本線日野駅・豊田駅間において、本システムの適用による営業線における実証試験を開始します。
1.営業線における実証試験について
鉄道総研では、2007年から超電導き電システムの開発に取り組んできました。これまで研究所内で車両走行試験を実施してきたほか、中央本線沿いに位置する鉄道総研の日野土木実験所内に超電導き電システムを試験敷設し、夜間帯に車庫回線へ接続して補機電力への送電(2017年度)※1、営業回線へ接続して夜間帯における試験列車(一編成)への駆動電力の送電(2019年度)※2を段階的に実施し、それぞれにおける電圧降下抑制等の機能を確認するとともに、営業線での運用に適したシステムへの改良を進めてきました。
※1 2018年8月 き電線の電気抵抗ゼロを目指し超電導き電システムの送電試験を実施
-中央本線において電圧降下抑制を確認-(https://www.rtri.or.jp/press/2018/is5f1i0000007d1r-att/20180802_001.pdf )
※2 2019年8月 超電導き電システムの電気鉄道(直流1500V)への適用試験を実施しました
-中央本線での走行試験を実施-(https://www.rtri.or.jp/press/is5f1i000000btv2-att/20190806_001.pdf )
2025年3月から都市圏鉄道の実環境となる中央本線の下り線に超電導き電システムを接続し、日野駅から八王子方面へ向かう営業列車に超電導ケーブルで電気を送る営業実証試験を行います。これまでの試験結果を踏まえ、営業列車に必要な電力を供給するためにケーブルや冷却システム等の性能向上を図っています。このシステムにより、営業ダイヤに応じた複数の営業列車の力行に必要な電力の供給や、ブレーキ回生により生じた電力の他列車への供給といった複合した電力を超電導ケーブルで送るなど、機能の実証を目的とした試験を実施し、超電導き電システムの課題を抽出してまいります。
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2.超電導き電システムについて
直流電気鉄道は、運行に必要な電力を3000V以下の比較的低い電圧で送るため、構造物と電力設備の離隔を小さく設計できます。また、き電回路も簡素化されるため、都市圏内の地下鉄や通勤路線で多く採用されています。しかし、大きな電流が必要となるため、電圧降下も大きくなる課題があり、電圧を維持し電力を安定供給するため、変電所の設置間隔を狭くする必要がありました。
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これに対し、最先端技術を利用した超電導き電システムは、ある一定の温度以下で電気抵抗がゼロとなる超電導材料を素材に用いた超電導ケーブルと、その冷却装置から構成され、変電所から送り出した電力の損失を抑制して車両へ送ることができます。また、電圧降下を抑制することから、将来的に鉄道路線沿いに設置されている変電所の集約化、回生エネルギーの有効活用や送電時のエネルギー損失の削減が期待されます。
本研究の一部は、鉄道総研が国土交通省の鉄道技術開発費補助金を受けて実施しました。超電導き電システムの研究開発は、これまで国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「戦略的イノベーション創出推進プログラム(S-イノベ) (JPMJSV0921)」・「未来社会創造事業(JPMJMI17A2)」、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託・助成事業を受けて実施しました。
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