【国立科学博物館筑波実験植物園】企画展「つくば蘭展」開催のご案内

文化庁

2025年11月21日 14時00分

　国立科学博物館筑波実験植物園（園長　遊川知久）では、12月7日（日）から12月14日（日）に企画展「つくば蘭展」を開催いたします。【詳細URL：https://tbg.kahaku.go.jp/tenji-event/nid00002827.html】

　世界有数の野生ラン保全施設である筑波実験植物園が保有する「つくばコレクション」から、開花中の貴重な野生種を約200点、加えて協力団体の方々が丹精込めて育てた、普段見ることのできない最新の園芸品種・失われつつある貴重な古典品種などを約300点、計約500点を公開する企画展を開催します。世界各地の絶滅危惧種など野生種が一堂に会する場は他になく、ランの驚くべき多様性を感じることのできる展示として国際的に高い評価を得ています。

　また特別企画として、「まさかこんなところに！？都市生態系のラン－つくばと東京の里山から」を開催します。ナチュラリスト・中山博史氏が撮影した、身近な野生ランを自生環境とともに捉えた貴重な写真や、つくば市と東京都の都市で自然とランを守る取り組みなどを紹介しつつ、身近な場所に息づくランを通して、都市の自然の今を知り、未来へどうつないでいくか、皆様とともに考えていきたいと思います。

企画展「つくば蘭展」開催概要

【目　　的】世界有数の野生ランの保全施設である筑波実験植物園の「つくばコレクション」から、

　　　　　　美しい花、珍しい花をおよそ200点公開します。また協力団体の方たちが丹精込めて

　　　　　　育てた最新の園芸品種などとあわせて約500点のランをお楽しみいただけます。

　　　　　　また今回は都市生態系のランにフォーカスを当てた特別展示を開催します。

【名　　称】企画展「つくば蘭展」

【主　　催】独立行政法人国立科学博物館筑波実験植物園

【共　　催】つくば市

【協　　力】つくば洋蘭会

　　　　　　水戸市植物公園蘭科協会

　　　　　　らん友会龍ケ崎

　　　　　　神代植物公園植物多様性センター

　　　　　　水戸市植物公園

　　　　　　筑波大学つくば機能植物イノベーション研究センター

【出　　展】東京都環境局・株式会社バイオーム　

【会　　期】2025年12月7日（日）～12月14日（日）　計8日間（期間中休園日なし）
【場　　所】国立科学博物館筑波実験植物園

　　　　　　（教育棟、熱帯資源植物温室、多目的温室、園内、研修展示館）

【詳　　細】https://tbg.kahaku.go.jp/tenji-event/nid00002827.html

展示構成

①【多目的温室】世界のめずらしい野生ラン

（ア）筑波実験植物園野生ランコレクション展示

　世界有数の野生ラン保全施設である筑波実験植物園の「つくばコレクション」から、美しい花、珍しい花をおよそ200点公開します。

（イ）植物園で研究しました「南硫黄島から来た絶滅危惧種・シマクモキリソウの保全」（研究紹介）

　2017年、絶海の孤島・南硫黄島から79年ぶりに見つかったシマクモキリソウ。絶滅したと考えられていた種の貴重な再発見でした。植物園で花を交配し、種子から育てた次世代株が開花しはじめました。菌と共に培養する共生培養と、菌の代わりに糖類を入れて培養する無菌培養の手法を用いて、繁殖に成功した研究成果をご覧いただきます。

（ウ）ランの香りでひと休み（体験コーナー）

　ランはあらゆる植物の中で最も花の香りが多彩です。魅力的な香りを放つ種類のランを揃えました。好きなランの香りを選んだり、どんな動物がランの香りに誘われるのか考えたりと、クイズ感覚で楽しみながらおくつろぎください。

②【熱帯資源植物温室】世界の美しいラン

（ア）つくば洋蘭会・水戸市植物公園蘭科協会・らん友会龍ケ崎　作品展示

　愛好団体の方たちが丹精込めて育てた作品の数々をおよそ300点展示。最新の園芸品種もご覧いただけます。

（イ）つくば洋蘭会企画展示

　ランの殖やし方はさまざま。あっと驚くテクニックも。ポイントを実物とともに紹介します。

③【研修展示館１階】

「まさかこんなところに！？都市生態系のラン－つくばと東京の里山から」（第１会場）

（ア）中山博史写真展

　ナチュラリスト・中山博史さんが、身近な野生ランを自生環境とともに捉えた貴重な作品を展示します。キンラン、シュンラン、マヤラン・・・都市の変貌する自然で生きぬくランのさまざまなシーンをご覧ください。

④【研修展示館２階】

「まさかこんなところに！？都市生態系のラン－つくばと東京の里山から」（第２会場）

（ア）身近な野生ランを知る・守る・伝える

　環境の変化にとても弱いラン科は、日本でも世界でも絶滅のおそれのある種がもっとも多い植物です。過酷な都市環境にランがどのように適応しているか明らかにすることは、絶滅から守るために欠かせません。私たちが調査・研究した成果を中心に、ランを守るサイエンスのいまを紹介します。

（イ）都市の自然とランを守る－つくばと東京の取り組みから

　生物多様性条約第15回締約国会議で採択されたように、都市の生態系と生物多様性を守ることは、日本と世界の重要な目標になっています。つくば市でも今年「生物多様性つくば戦略」が策定されました。つくばでの自然とランを守る取り組み、そして先行して開発の進んだ東京での取り組みをあわせて紹介します。

展示予定の植物と写真

シマクモキリソウ第2世代を初公開！

　シマクモキリソウLiparis hostifoliaは小笠原諸島の固有種。絶滅したと考えられてましたが、2017年、南硫黄島から79年ぶりに見つかりました。世界でも当園のみで生息域外保全しています。人工交配、種子発芽、育成、開花に成功し、このたび次世代株を初公開する運びとなりました。

南太平洋・バヌアツで発見した新種

　当園は1996～2001年にかけて南太平洋の島国バヌアツで、世界で初めて植物の総合調査を行いました。一連の調査で収集した生きた植物を今も栽培しています。このコレクションの中から新種として発表したものを中心に展示します。いずれもこの調査でしか採集されたことのない種と考えられており、よそでは見ることのできない貴重品です。

マラクシス・イワシナエ　Malaxis iwashinae

調査隊長を務めた元園長・岩科司に因んで1998年に発表した種です。