【待望のシリーズ「ジル・ドゥルーズ講義録」、ついに始動!】 第1弾は知られざる芸術論。『ジル・ドゥルーズ講義録 絵画について』、11月19日発売。

2025年はジル・ドゥルーズ生誕100年、没後30年。現代思想の巨星が切りひらいた、比類なき「芸術論」!

河出書房新社

株式会社河出書房新社(本社:東京都新宿区 代表取締役:小野寺優)は、ジル・ドゥルーズ著『ジル・トゥルーズ講義録 絵画について』(ダヴィッド・ラプジャード編、宇野邦一訳)を2025年11月19日に発売します。

■ドゥルーズの「最新刊」! 生誕100年の今年最大の注目作

現代思想を代表するフランスの哲学者ジル・ドゥルーズ。彼の著作は日本でほぼすべて翻訳され、研究書も数多く出版されています。

そして、これまで未刊だった彼の大学での講義についても近年関心が高まっています。音声や文書の記録が残っていることが知られていましたが、彼の主著の版元であるフランスのMinuit社にて、いよいよ書籍化が開始されました。本書「絵画について」は、その記念すべき日本語版第1弾です。

著書では凝縮されていた議論が講義ではより詳細に展開され、さらにはその場でしか聴けない大胆なアイデアも。語る哲学者というドゥルーズの新たな側面を知ることができる、まさしく「最新」の著書。生誕100年、没後30年となる今年にふさわしい一冊と言えます。

この機会にぜひご注目ください。

■ドゥルーズ既読者にとっても新鮮な読書体験! 入門にも最適

講義録を編集したのは、ドゥルーズ晩年の愛弟子のひとりであるダヴィッド・ラプジャード氏。すでにドゥルーズ没後に、テクスト集の編集を担当した実績をもちます。本シリーズでも、主要著作との関係や、議論の背景などがよくわかる非常に詳細な注釈を加えるなど、見事な仕事を果たしています。

そして、「絵画について」の訳者は、ドゥルーズのもとで学び、講義に実際に参加していた経験をもつ宇野邦一氏。『アンチ・オイディプス』などのドゥルーズの著書の翻訳を多数手がけています。

本書では、まるで教室で講義を聴いているかのような、忠実な再現がなされています。ドゥルーズの著作の既読者にとっても、新鮮でエキサイティングな読書体験が味わえることは間違いありません。入門者にも、最初の一冊としておすすめです。

■「講義録シリーズ」第1弾は「絵画について」。クリエイターや美術ファンも必読

ドゥルーズの絵画に関する著作は、1981年に発表した『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』の1冊だけでしたが、その同年、彼は講義で集中的に絵画について論じていました。それをまとめたのが本書「絵画について」です。

言及されるのは、フランシス・ベーコンだけではありません。日本で人気が高く、展覧会がたびたび開催されるゴッホや印象派から、ミケランジェロやカラヴァッジョなどのイタリアの巨匠、カンディンスキーやモンドリアンやポロックなどの抽象画家まで、縦横無尽に論じています。

数多くの画家の仕事を斬新かつ深遠な視点で読み解き、私たちの理解を一新するような考察を繰り広げます。ドゥルーズ哲学に関心がある読者はもちろん、クリエイターや美術ファンも必読の書です。

そして、現在、講義録の第2弾「スピノザについて」も鋭意準備中です。今後の展開にもぜひご期待ください。

■本文より一部紹介

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《光と色彩(ゲーテの理論)──大洪水の翌朝──創世記を書くモーセ》 1843年出品 テート・ブリテン、ロンドン

「絵には巨大な、素晴らしい火の球が君臨しており、黄金の球が、絵全体の一種の引力を確固たるものにしています。なぜこのタイトルは私にとって重要なのか。〔中略〕要するにターナーは次のことを言うのに役立つのです。まさにここに実例があって、場合によって雪崩や嵐といった形でカタストロフを表象する絵画から、描く行為にかかわるもっと果てしなく深いカタストロフへの、最も深いところで描く行為を侵蝕するカタストロフへの移行が見られるのです。描く行為におけるこのカタストロフは、一つの誕生と不可分であることを付け加えておきます。なんの誕生なのか。色彩の誕生です。〔中略〕そう、絵画、描く行為は、カオスあるいはカタストロフを通過する。そして彼らは付け加えるのです。ただそのときにだけ、何かがそこから出てくる」(本文P.27-28より)

フィンセント・ファン・ゴッホ《ジョゼフ・ルーランの肖像》 1889年 クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー(オランダ)

「ファン・ゴッホは絶えずこう言っています、現代の肖像は中間色で描かねばならない。ゴーギャンの定式、ファン・ゴッホの定式もまたあります。現代の平塗りの偉大な肖像画、鮮やかな色調を再現する平塗り、中間色を再現する肉と図像。このときそれが誰かを表象していること、それが肖像画であったりなかったりすることは、どうでもいいことです。なぜなら私の見方では、このとき画家は〔色環図の〕直径上の対立のもろもろの制限と近傍から近傍への進行の限界を超えたからです。鮮やかな色彩/中間色という同じ作用、それが与える法外な自由とともに、空間化するエネルギーであり、また重力エネルギーである新たな色彩の空間が獲得されたのです。私はほとんど言うでしょう、中間色の重さ、そして鮮やかな色の空間性と」(本文P.422-424より)

■目次

*年月日と世紀の表記について、本書は全て漢数字表記ですが、本プレスリリース上は可読性を鑑みアラビア数字で表記しました。

序文/ジル・ドゥルーズの著書の略称と使用された版のリスト

1981年3月31日講義

絵画におけるカタストロフ、ターナーからセザンヌへ──セザンヌの解読──セザンヌの二つの契機:カオスとの衝突という絵画以前の条件そしてカタストロフとしての描く行為──時間の総合としての絵──クレーの解読──クレーにおける灰色の点の二つの契機:灰色−カオスの点そして諸次元の灰色−母体の点──ベーコンにおける紋切り型との闘い、 そしてダイアグラムの概念──ファン・ゴッホのダイアグラム

1981年4月7日講義

前の講義の復習──白いページという主題の愚かさ──ジェラール・フロマンジェの方法──ミケランジェロ:具象に対する図像──諸力を描くこと:すなわちベーコンにおける睡眠の圧延力──叫びと嘔吐:汚辱とコンラッドの『ナーシサス号の黒人』──ベーコンの《絵画》(1946年)の分析:鳥と傘──二種類のアナロジー:共通のアナロジー(相似の移転)そして美学的アナロジー(相似の断絶)

1981年4月28日講義

ダイアグラムの五つの特性──(1)カオス−発芽──(2)手動的特性──眼から解き放たれた手──線−色彩という視覚的総体に対立する描線−染みの手動的総体としてのダイアグラム──(3)色彩に向かう染みと描線そして絵画的線、第三の眼──(4)相似なきイメージを産出すること──絵画的事実とマニエリスム──(5)穏健な道──ダイアグラムのもろもろの危険の要約──最大限のダイアグラムすなわちカオスの危険と抽象表現主義──最小限のダイアグラムすなわちコードの危険と抽象絵画、現代的生活のカオスと直面すること──穏健な道すなわちカオスの抑制としての図像的絵画

1981年5月5日講義

要約:ダイアグラムの三つの立場(表現主義の道、抽象の道、図像の道)、攪乱、コード、ダイアグラム──表現主義と手動的ダイアグラム(純粋な光学的空間に対して)──抽象絵画のコード──意味的統一性と二項的選択──手動的、触覚的、デジタル的──アナロジーとデジタル──デジタルコードの相同性──アナロジーと相似性──ベイトソンとイルカたち──アナロジーへのコードの接木──変調──ルソーの『言語起源論』の読解

1981年5月12日講義

アナロジーの三つの形態の復習と再検討、すなわち(物理的)相同性によるアナロジー、(有機的)内的関係によるアナロジー、(美学的)変調によるアナロジー──アナロジックとデジタル──変調の概念とそのヴァリエーション、すなわち鋳型、モジュール、変調──もろもろの空間−信号──エジプト的空間(地、図像、輪郭)──立方体のエジプト的拒否

1981年5月19日講義

ゲーテの色彩の(発生的)三角形と(構造的)色環図についての提案──色彩主義の短い歴史:ドラクロワと印象主義者たち──形、地そして輪郭──ゴーギャンの《美しきアンジェル》──触知的な眼あるいは第三の眼:現代絵画におけるエジプトの回帰──エジプト世界の死そして平面の分離──触覚−光学的ギリシア芸術

1981年5月26日講義

前の講義の短い復習、すなわちアナロジー、変調、空間−信号──ギリシア人と有機的線──ギリシアの彫像におけるリズムと内的鋳型──肉と色彩──二つの空間すなわち16世紀と17世紀(ヴェルフリン)──色彩を変調すること──ドラクロワ、印象主義者と後期印象主義者

1981年6月2日講義

色彩の諸体制、そしてその諸特性──測色計の三つの方法──絵画における色彩の諸体制すなわちルネサンスの体制──17世紀の二つの体制、カラヴァッジョの体制、ルーベンスの体制──色環図の二重の経路──スーラとピサロ──セザンヌと色彩──ファン・ゴッホ、ゴーギャンそして中間色:色彩−構造と色彩−重さ

訳者あとがき/人名索引

■著編訳者紹介

ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze)

1925-1995年。フランスの哲学者。1969年よりパリ第8大学教授。西欧哲学の伝統を批判的に継承することで創造した「差異」「強度」「内在」「生成変化」などの概念は、今日にいたるまで、さまざまな領域へ絶大な影響を与え続けている。著書に、『差異と反復』『意味の論理学』『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』『襞』(以上、河出書房新社)『シネマ』(法政大学出版局)や、フェリックス・ガタリとの共著『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』『哲学とは何か』(以上、河出書房新社)などがある。

ダヴィッド・ラプジャード(David Lapoujade)

1964年生まれ。フランスの哲学者。現在、パリ第1大学教授。晩年のドゥルーズに学んだ愛弟子のひとり。ドゥルーズ没後の著作『無人島』『狂人の二つの体制』『ドゥルーズ 書簡とその他のテクスト』(以上、河出書房新社)の編者をつとめる。著書に、『ドゥルーズ 常軌を逸脱する運動』(河出書房新社)『ちいさな生存の美学』『壊れゆく世界の哲学──フィリップ・K・ディック論』(以上、月曜社)など。

宇野邦一(うの・くにいち)

1948年生まれ。立教大学名誉教授。専門は、フランス文学・思想、映像身体論。京都大学を経て、パリ第8大学でドゥルーズのもとで学ぶ。著書に『ドゥルーズ流動の哲学』『非有機的生』(以上、講談社)『パガニスム──異教者のエティカ』(青土社)など。訳書に、『アンチ・オイディプス』『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』『襞』といったドゥルーズの著作のほか、サミュエル・ベケット『どんなふう』、ジャン・ジュネ『ヘリオガバルス』(いずれも河出書房新社、後者は共訳)など

■書誌情報

書名:ジル・ドゥルーズ講義録 絵画について

著者:ジル・ドゥルーズ

編者:ダヴィッド・ラプジャード

訳者:宇野邦一

仕様:46判/上製

ページ数:本文448ページ/口絵4ページ

初版発売日:2025年11月19日

定価:4,180円(本体3,800円)

ISBN:978-4-309-22979-9

https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309229799/

出版社:河出書房新社

□近刊予定

○2025年11月10日発売

河出文庫『経験論と主体性 ──ヒュームにおける人間的自然についての試論

ジル・ドゥルーズ著 木田元・財津理訳

ドゥルーズが22歳で執筆した研究論文をもとにした、初期の重要な著作。哲学者としての早熟さと、のちの思想の萌芽がうかがえる、独創的なヒューム論。新たに訳語を見直し、初めて文庫化。

定価:1,650円(本体1,500円)  ISBN:978-4-309-46823-5

https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309468235/

〈ジル・ドゥルーズ生誕100年記念出版〉

ドゥルーズ+ガタリの主著、現代の最重要思想書を、一巻本・愛蔵版として!

○2025年12月下旬刊行予定

『アンチ・オイディプス ──資本主義と分裂症

ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ著 宇野邦一訳

「器官なき身体」から、国家と資本主義をラディカルに批判しつつ、分裂分析へ向かう本書はいまこそ読みなおされなければならない。無意識論、欲望論、身体論、国家論、資本論、芸術論……。来るべき思考と実践へ向けてマグマのような文体で書かれた20世紀最大の思考の挑発。

予価本体6,500円(税別)  仕様:A5判/上製/480頁  ISBN:978-4-309-22983-6

○2026年2月刊行予定

『千のプラトー ──資本主義と分裂症

ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ著 宇野邦一他訳

ドゥルーズ/ガタリによる極限的な思考の実験。リゾーム、抽象機械、アレンジメントなど新たな概念によって宇宙と大地をつらぬきつつ生を解き放つ。顔貌性、そして逃走線の考察から生成変化をめぐりつつ、宇宙の時を刻むリトルネロへ向かい、絶対的な脱領土化の果ての来たるべき生と民衆を問う。

予価本体8,000円(税別)  仕様:A5判/上製/720頁  ISBN:978-4-309-23176-1

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業種
情報通信
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東京都新宿区東五軒町2-13
電話番号
03-3404-1201
代表者名
小野寺優
上場
未上場
資本金
3000万円
設立
1957年05月