クリーブランド美術館蔵「南蛮屏風」の高精細複製品を長崎県に寄贈 長崎歴史文化博物館内の一般開放エリアにて展示
キヤノン株式会社(以下、キヤノン)と特定非営利活動法人 京都文化協会(以下、京都文化協会)は、「綴プロジェクト」(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)の第17期作品として制作した、クリーブランド美術館蔵「南蛮屏風」の高精細複製品を、長崎県へ寄贈します。寄贈作品は、2025年3月8日(土)から3月16日(日)まで長崎歴史文化博物館の一般開放エリアに展示されます。

■ 「南蛮屏風」の高精細複製品をキヤノンのイメージング技術と京都伝統工芸の融合により制作
日本に渡来したヨーロッパ人との交易の様子を描いた「南蛮屏風」は、16世紀後半から17世紀初期にかけて数多く制作され、国内外で100点以上の作品が現存すると言われています。その中でも、本作品は、登場人物が300人以上に上り、人物描写が多彩であることに加えて、南蛮船周辺のダイナミックな荒波の動きなど、華麗で装飾的な表現が見られることが特徴です。桃山時代(17世紀初期)に描かれたもので、左隻に入港する南蛮船や交易品、右隻に上陸した南蛮人の行列、それを興味津々に出迎える日本人の男女という構図がとられています。
また、本作品は、江戸時代後期から台頭した長崎を代表する商家の6代目当主で、実業家・文化人であった永見徳太郎の旧蔵品であり、同氏が南蛮屏風研究に突き進む原動力となった作品として広く知られています。永見徳太郎のコレクションの中でも、特に重要な作品として長く愛蔵された本作品は、その後、流転の運命をたどりましたが、現在は海を渡り、米国のクリーブランド美術館に所蔵されています。このたび、高精細複製品を制作することで、永見の故郷であり、南蛮貿易の中心地であった長崎への里帰りが実現しました。
制作にあたっては、キヤノンのフルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」でオリジナルの文化財を撮影し、独自開発のカラーマッチングシステムを用いた画像処理を行った上で、12色の顔料インクを搭載した大判インクジェットプリンターで出力しています。さらに、京都の伝統工芸士が金箔などを用いた装飾を施し、屏風に仕立てることで、オリジナルの文化財を限りなく忠実に再現しています。
■ 長崎歴史文化博物館にて寄贈作品を展示
寄贈作品は、2025年3月8日(土)から3月16日(日)まで、江戸時代から近代にかけての海外交流に関する資料や、南蛮芸術の収集と研究につとめた永見徳太郎ゆかりの作品を多く扱う長崎歴史文化博物館のエントランスホールに展示(※)されます。この展示では、写真撮影やガラスケース無しで間近での鑑賞を楽しむことができます。また、本作品は、その後も同館内常設展の海外交流史を紹介するゾーンで展示(※)されるほか、県内各地での特別展示や、地域連携による体験プログラムをはじめとした教育分野などでの活用が予定されています。
※ エントランスホールへの入場は無料です。常設展は別途観覧料が必要です。開館時間や展示場所の詳細については、長崎歴史文化博物館のホームページをご覧ください。(https://www.nmhc.jp/)
〈「綴プロジェクト」について〉
「綴プロジェクト」は、キヤノンと京都文化協会が2007年より共同で推進している文化支援活動です。日本古来の貴重な文化財には、歴史の中で海外に渡った作品や国宝として大切に保管されている作品など、鑑賞の機会が限られているものが多くあります。「綴プロジェクト」では、キヤノンの入力、画像処理、出力に至るイメージング技術と、京都伝統工芸の匠(たくみ)の技との融合により、オリジナルの文化財を忠実に再現した高精細複製品を制作しています。制作した高精細複製品は、文化財にゆかりのある社寺や自治体、博物館などへ寄贈し、寄贈先での一般公開や学校教育の現場など、さまざまな場面で活用されています。これまでに、葛飾北斎や俵屋宗達、尾形光琳の作品など、60作品を超える高精細複製品を制作しました。
詳細は、「綴プロジェクト」のホームページをご参照ください。 https://global.canon/ja/tsuzuri/
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