トランプ関税、 企業への中長期的な影響「マイナス」が44.0% 不透明感強く、「分からない」も4割近くに 短期的には影響「なし」と見込む企業33.2%

トランプ関税に対する企業の意識調査(速報版)

株式会社帝国データバンク

株式会社帝国データバンクは、全国2万6,237社を対象に、「トランプ関税」に対するアンケート調査を実施した。なお、本レポートは速報版として、7月中旬頃に詳細版を発表予定

SUMMARY

トランプ関税に対して、短期的に企業の40.7%が「マイナス影響」、33.2%は「影響なし」とみている。他方、中長期的には44.0%が「マイナス影響」、38.5%が「分からない」と見込んでおり、多くの企業は不安を抱えている。政府は、国内産業への過度な負担を回避するため、米国との粘り強い交渉と企業支援策の強化を進める必要がある。

調査期間:2025年6月17日~6月30日(インターネット調査)
調査対象:全国2万6,237社、有効回答企業数は1万435社(回答率39.8%)


トランプ関税、中長期的にマイナスを見込む企業は、4割超

ドナルド・トランプ氏が2025年1月に米国大統領に再び就任して以来、様々な関税政策を世界へ向けて実行している。日本に対しても相互関税が課せられ、現在、上乗せ分は90日間の猶予期間中であるものの、関税率が一律10%に引き上げられている。そのほか、鉄鋼・アルミニウム製品や自動車・同部品への追加関税などが発動されており、日本企業への影響が徐々に表れつつある。

トランプ関税が自社の事業活動に与える短期的な影響(今後1年以内)について尋ねたところ、「マイナス影響がある」とする企業が40.7%、「影響はない」が33.2%を占めた。3社に1社は短期的には影響がないとみている。他方、「プラス影響がある」とする企業はわずか0.9%にとどまった。また、4社に1社は「分からない」(25.1%)と回答した。

さらに、中長期的な影響(今後5年程度)についても尋ねたところ、「マイナス影響がある」は44.0%と短期的なマイナス影響の割合を上回った。また、「分からない」が38.5%となった。一方で、「影響はない」とする企業は16.5%にとどまり、中長期的には、先行きの不透明感から「分からない」や、より具体的に「マイナス影響がある」といった見方に転じている企業が増加したことがうかがえる。

短期および中長期それぞれの状況において、関税の対象品目や関税率など不確実性が高いなか、企業は大きな不安を抱えている。7月9日に猶予された90日間が経過する予定だが、その時点で日本に対する相互関税が24%に戻るのか、10%が継続するのか、新たな関税が設定されるのか、現時点では予測が立たない状況と言える。また、トランプ関税による米国や中国のダメージなど間接的な影響も懸念される。

そうした状況において、日本政府は、国内産業への過度な負担を回避するために米国政府との交渉を強化・継続するとともに、企業からの声に耳を傾け、具体的な影響評価に基づいた支援策の検討を進めて行く必要がある。

<参考>企業からの声

「マイナス影響を見込む企業

  • アメリカに依存しすぎている現状を変更する必要がある(建設)

  • 工場などの米国移転や関税の影響による物価高騰は自社の業態に影響が発生すると考えられる(不動産)

  • 企業単体では、対応は不可能である。多方面に対して、できる範囲でリスクを分散させる(飲食料品・飼料製造)

  • 米国向け輸出はないため、直接的な影響は少ないが、自動車など主要産業の国内生産減少による需要減が懸念される(化学品製造)

  • 米国への進出を計画していたが、トランプ氏の発言で取り止めた(機械製造)

  • すでに中小零細企業には大きな影響がでており、実際に行き詰っている企業も多い(電気機械製造)

  • 目先のことに一喜一憂せず、本質的な観点から冷静に対処することが重要だと思う(飲食料品卸売)

  • 自動車をはじめ輸出が難しくなるので製造業では、売り上げ予測が立てられない。生産が減少傾向にあり、長期的に価格が下落すると思われる(再生資源卸売)

  • 米国輸入時にかかる関税の影響を受けた国内顧客(対米取引の減少)の収入減による売り上げ低下が懸念材料である(機械・器具卸売)

  • 直接の影響はないと思うが、物価高になり消費が落ちることによる間接的な影響が考えられる(各種商品小売)

  • 先の見通しが立たず、大手企業が設備投資を見送る話を耳にする。経済活動が縮小していく懸念を感じる(運輸・倉庫)

  • 急な方針変更など見通しが立たないことがつらい(情報サービス)

「プラス影響」または「影響はない」と見込む企業

  • 国内で生産する農産物を販売する会社にとっては、輸入品が届きにくくなることはメリットになる(飲食料品卸売)

  • 外圧的な内政への影響から、長期的には国内施策のゆがみの是正につながることも多いのではないかと期待(その他の卸売)

  • トランプ関税は最終的に、米国民が負担することになる。結果として、いずれトランプ関税は適正化へと向かいそう(建設)

  • 直接の影響がないのであまり気にしていない(不動産)

  • 特に影響はないと思っているが、今後の情報で影響が出てくるのかもしれない(出版・印刷)

  • 一時的なものと捉えており、いずれ落ち着くと考えている(機械・器具卸売)

  • 現状対策を検討する事は時期尚早(運輸・倉庫)

  • 国内向けのサービス業のため、現状特段の影響は表れていない(娯楽サービス)

  • いつもの通りマスコミの過熱報道によって被害をあおっているようにしか見えない。市場原理が働き、落ち着くところに落ち着くはずなので一喜一憂することは慎むべき(教育サービス)

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業種
サービス業
本社所在地
東京都港区南青山2-5-20
電話番号
03-5775-3000
代表者名
後藤 信夫
上場
未上場
資本金
9000万円
設立
1987年07月