イラク:危機的状況にある保健システム~モスルの子ども75万人、保健ケア受けられず【プレスリリース】
ユニセフ、保健分野での活動加速へ支援要請
【2018年2月6日 モスル(イラク)発】
モスルとその近郊に暮らす75万人もの子どもたちが、基本的な保健サービスを受けることが困難な状況に置かれています。暴力は収まりつつあるものの、ニナワ県では十分に機能している保健施設は10%に満たないのです。また、現在機能している施設は、その許容能力をはるかに超えて稼働しています。
イラクでの3年間にもおよぶ激しい暴力は、多くの保健施設を破壊しました。2014年の暴力激化以降、60カ所以上の保健施設が繰り返し攻撃され、子どもたちや家族への基本的保健サービスに深刻な混乱をきたしています。
「イラクの保健システムは危険な状態にあります。妊婦、新生児、そして子どもたちにとって、本来予防や治療が可能な症状が、急速に生死に関わる状態に悪化するのです」とモスル市最大のアル・カンサ(Al Khansa) 病院を訪問した、ユニセフ(国連児童基金)イラク事務所代表ピーター・ホーキンスは述べました。「医療施設は、その許容能力を超えた稼働を余儀なくされており、また命を守るために必要な薬が圧倒的に不足しています」
ユニセフはイラク政府と共に、暴力の影響を受けたり、家を追われた子どもたちや家族が彼らの生活を取り戻すために必要な保健サービスを提供するために、プライマリーヘルスケアを提供する施設への支援を加速させています。
ユニセフは、モスルの2カ所の病院で小児科・栄養科病棟を修復、子ども25万人分のワクチンを貯蔵できる冷蔵庫を提供、そしてすべての5歳未満児を対象とした予防接種キャンペーンを支援しました。県内のほとんどの保健センターは、子どもたちへの予防接種を再開しました。
「人々が帰還を始める中、保健や教育また暴力の影響を受けた子どもたちへの特別ケアなどの基本的サービスが整っていることが必要不可欠なのです」とホーキンスは言います。
来週クウェートで開催されるイラク復興支援会議は、イラク政府と国際社会が、子どもへの社会サービスに対する予算配分の増加などを通じて、復興の中心に子どもを据えるための絶好の機会です。
「私がモスルの病院で目にしたのは、心を痛めるものであると同時に感銘を受けるものでもありました。最も困難な状況下にも関わらず、産まれたばかりの子どもたちに可能な限り最善の人生のスタートを切ってもらうべく尽力する保健スタッフの創造力と献身的な姿勢は目を見張るものでした。そして彼らもまた、命を守る活動を続けるために支援を必要としています」(ホーキンス)
ユニセフは、2018年にイラクの子どもたちのために、保健施設を修復・建設する支援活動に1,700万米ドルを要請しています。
■ユニセフの対イラク支援(保健分野):
ユニセフはニナワ県全土で、子どもの予防接種用のワクチンを貯蔵するための冷蔵庫160台を提供しました。
ニナワ県の子ども約50万人にポリオとはしかの予防接種を、また子ども約18万人に緊急栄養対策としてビタミンA補助剤を提供しました。
昨年、ユニセフはパートナー団体と協力し、子ども100万人以上を含む、240万人のふるさとを離れることを余儀なくされた弱い立場にある人々に対して、水、食糧および衛生キットを含む命を守る支援を提供しました。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)
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