主要レジャー施設の4割「チケット代」今年値上げ、前年から倍増 フリーパスは平均約5千円、3年で2割高一般券との料金格差は3千円超える
2025年「主要レジャー施設(テーマパーク)」価格調査

株式会社帝国データバンクは、全国の主なレジャー施設におけるチケット料金動向について調査・分析を行った。
※2025年7月17日10時 タイトルを修正しました
SUMMARY
2025年に入場料の値上げが判明した国内主要レジャー施設は71施設で、前年の37施設から1.9倍に増加。特にテーマパークでは100施設中51施設が値上げし、初めて半数を超えた。一般券の平均価格は1695円(前年1626円)、フリーパスの平均価格は4846円(前年4597円)。ダイナミックプライシングの導入が進み、フリーパス料金は5000円に迫る。
[調査対象]全国の主なレジャー施設(遊園地・テーマパーク・動物園・水族館)計192施設。
なお、2024年調査(190施設)から、新たに「ちいかわパーク」「ジャングリア沖縄」の2施設を対象として追加した。
一般券(入場料)=チケット料金のうち、施設へ入場するための金額。
フリーパス=チケット料金のうち、入場料に加え、別に設定される1Dayパス料金または回数券料金(入場料が未設定時のみ)。
[注2] 「遊園地」は、大規模な体験型アトラクション(遊具)を有するテーマパークを含む
[注3] 一部施設での料金設定および施設区分の定義変更を行ったため、2024年以前の価格について再集計を行った。
修正後の数値は本調査データに反映されている
主要レジャー施設の「チケット料金」値上げ、前年から倍増
国内の主要レジャー190施設(テーマパーク、水族館、動物園)のうち、2025年に入場料などの「チケット料金」を値上げする施設は71施設・37.4%判明した。前年(37施設・19.5%)に比べ、値上げとなるレジャー施設は1.9倍に増加し、2023年以降の調査で最多だった。なお、国内主要レジャー施設において2025年内に設定された入場料・フリーパス料金としての最高額は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン「1デイ・スタジオ・パス(大人1名当たり)」の1万1900円。

施設別に値上げした割合をみると、「テーマパーク(遊園地を含む)」は対象100施設のうち、51施設がフリーパスを含めたチケット代について値上げした。2024年(23施設)から倍増し、調査開始以降で初めて値上げ施設が全体の半数を超えた。「水族館」「動物園」(各10施設)も、それぞれ前年から値上げとなった施設数が増加した。
価格改定前後のチケット料金をみると、チケット種別や施設ジャンルによって傾向が分かれた。2025年におけるレジャー施設全体の「一般券(入場料)」平均価格(大人1名)は1695円だった。2024年平均(1626円)に比べ4.2%・69円上昇し、2022→23年における価格差と同水準だった。このうち、遊園地・テーマパークで多く導入されている、入場料とアトラクション乗り放題がセットとなった「フリーパス」の平均価格(最高額)は4846円となり、5.4%・249円増となったほか、全チケット種別で最も高額だった。

5月のGW期間や夏休み期間などのハイシーズン料金や、土日祝料金などダイナミックプライシング(変動料金制)の導入が進み、フリーパス料金は大人1名あたり5000円に迫っている。他方、一般券については価格の据え置きといった動きが多くみられた。この結果、一般的な入場料とフリーパスの平均価格差は、2022年の2571円・2.7倍から、2025年には3151円・2.9倍に拡大するなど、チケット種別間の料金格差が広がった。
施設ジャンル別にチケット料金平均をみると、最も「一般券」平均が高いのは「水族館」の2158円となり、前年平均から91円・4.4%増加した。調査開始以降で初めて2千円を超えた前年を上回り、チケット料金の上昇傾向が続いた。「テーマパーク」では1622円となり、前年平均から74円・4.8%増加した。入場料平均で最も低いのは「動物園」で、2025年は1427円にとどまり、最高値の水族館に比べて700円超の価格差となった。動物園では、2022年時点(1283円)に比べると1割近い値上がりとなっているものの、テーマパークや水族館に比べると価格の伸びは緩やかだった。飼料代の高騰など物価高の影響で、動物園でも入場料を引き上げる動きが広がっているものの、運営事業者が市町村など自治体・公営企業のケースが多く、値上げ幅が少額にとどまるケースが目立った。
テーマパークチケットの「プレミアム化」が進む 課題は「客単価」と「満足度」の両立
値上げが「モノ」から「サービス」へと波及する動きが広がり、花火大会などコト消費にも「一部有料化」や「プレミアム化(高額化)」の動きが急速に進んでいる。値上げの背景には、電気代や人件費をはじめとした運営コストの高騰がある一方、繁忙期や土日祝日などに通常と異なる料金設定を行う「変動料金制(ダイナミックプライシング)」の導入・拡大、「待ち時間の短縮」など付加価値の高いチケット種別で上限価格を引き上げるなど、施設内の混雑緩和を目的とした値上げもみられる。テーマパークに比べると集客力の弱い動物園などの施設では、大幅な価格引き上げに課題もあるものの、レジャー施設全体では大規模な施設を中心にこれまでの客数=「量」から客単価=「質」を求める傾向が強まり、2026年以降も値上げの動きが続くものとみられる。
他方で、「若者のテーマパーク離れ」に代表される、特に若年層における高額な価格設定に対する来園意欲の減退や、価格に対する期待値とのズレから、コアなファンや既存顧客のリピート率が低下するといった動きもみられる。一部施設ではチケットの値上げが続く一方、顧客の満足度が低下するといった現象もみられ、売上アップと満足度のバランスにジレンマを抱えている。価格に見合う価値を来園者に提供できるかが、チケットの値上げを軸とした収益確保において重要となる。
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